2015/06/18

東横イン in プノンペン開業直前、泊まってみました

怒濤の祝日連休ラッシュ(4、5月)が過ぎ去って、事業的にはようやく走り時となった我らがカンボジア。 で、本日は6月唯一の単体祝日でまたお休みである。

本日のお題は王様の御母様の御誕生日を祝う祝日。 まあ本日についてはたぶんそれ以上の深堀り要素はない(と思う)が、はたして直系ロイヤルファミリーの誕生日を祝日とするこの国のルール(?)は、1親等まで(子供は王位継承者のみ)という制約があるのか、もしくは兄弟姉妹を除く2親等まで含まれるのか、少し興味を引かれるところである。


1親等までだとすると、次の王位継承の際に祖父母となるシアヌーク前国王・王妃の誕生日が祝日でなくなる事になるが、建国の父とその奥様の生誕祭を平日化できる気概は当国政治家達にはなさそうだ。


で、2親等まで広がるとすると、次期王様から見て御祖父母・御両親の生誕祭(1日 X 4名 =4日)と次期王様ご本人の生誕祭(現行ルールを踏襲するとすればお一人分で3日間)で合計7日の祝日が割り当てられるはずである。  

王位継承の度に2日ずつ祝日が加算されることになる、気がする。 果てなき増殖ポテンシャルを隠し切れないカンボジアの祝日・・。

でも興味を引かれる度合いが少しである理由は、まだ現在独身であられる(はずの)現国王の御結婚やら次期王位継承やらが多分まだまだ先の話で、当面の事業運営にあまり関係ないからだ。


と、またつい長くなってしまった冒頭の祝日ネタ。。もうしばらく(9月まで)祝日ないので今回で当面打ち止めかと思われます<(_ _;)>



まあそれはさておき、本日のテーマは6月19日開業が目前に迫った日系ビジネスホテル「東横INNプノンペン」。 


開業直前の昨日17日、無料モニター宿泊プランに参加する機会を頂き、一泊体感してきたので、その感想を備忘録。



東横INNプノンペン 正面玄関。イオンモールの近く。


ホテルの概要としては、23階建て(最上階は展望レストラン)、客室総数328室、客室内やユニットバスの仕様は日本の東横インとほぼ同じ、価格帯は以下;

・デラックスツイン:USD59
・ツイン/ダブル:USD49
・デラックスシングル:USD39
(上記全て税込みとのこと)

単身でお邪魔させて頂いたのだが、割り当てて頂いたお部屋は眺めの良い18階のツイン。 部屋のポテンシャルをフル活用しきれず申し訳ありませんでした。



モニター無料宿泊客受付中。やはりメインは在住邦人。


なお本稿では、サービス業の開業当初(特にプレオープン・ソフトオープンなどのお試し期間)に必然的に発生するオペレーションや設備類の不備、サービス対応の手落ち、等については言及しない。


それらの不備や手落ちに対して主に在住邦人社会でランダムに発生するフルボッコ酷評総攻撃「プノンペンの洗礼」について、本稿はあくまで対岸の火事として(無事鎮火する事を祈りつつ)傍観するスタンス。 


理由は、営業開始してコナれてきたら解消されるであろう不備や手落ち情報はアーカイブとして残るブログ情報には不向きであるから、というだけで、それ以外に他意はなく、自由かつ活発な意見交換には基本的にポジティブな傍観者である筆者ですw



準備が間に合わなかった内容はしっかり張り紙で事前通知


で本題に戻ると、割当られたツインのお部屋に最初に入った印象は、まあ案の定、カンボジアのローカル・他外資系ホテルに比べて「狭っ・・。」という感じ。 



何か広めに写ってしまっている気がするが(まさに自画自賛ですみませんw)、ファーストインプレッションはやはり「狭っ」でした。。


とはいえ、いわゆる「東横イン」(筆者が抱いているイメージとしては、いわゆる普通のビジネスホテル)なんだし、運営会社側も「日本とほぼ同じ仕様」と言っているんだから、別に期待ギャップがあったわけではない。やはりそうなんだ、という所感。


むしろ、この狭い空間によくぞここまで過不足なくファシリティを設置できたもの、、と感心。 空間に無駄がなさすぎるw



ベッド下まで収納エリア化。しかもそのアドバイス付きw
なぜかカンボジアのホテルのセキュリティボックスは複雑な使用方法のものが多い(気がする)が、ここのは極めてシンプル。


ドライヤーのコードは長さがやや足りなかった(私見)


で、かなり感心したのは水回り。 

「シャワーの水圧、水量、水温の3大要素」がここまで快適かつ独立変数的に調整できるホテルはカンボジア現地ではなかなかお目にかかれない。 

シャワー差し込みが角度別に2つに分かれているのに驚き。。さすが日系の細やかさw


筆者の知る限り、通常のカンボジア現地ホテルにおけるこの3大要素は、お互いゼロサム的に影響を及ぼし合ったり(水量を増やすと水温が下がる、みたいなw)、強い意志を持っているかのように宿泊客の意図にすり寄らない選択を求めてきたり(冷水 or 熱湯、みたいなw)、とかく一筋縄ではいかないヤツらのはずである。 
それをここまで制御できているとは、それだけで筆者としては脱帽です。


ユニットバスも、見た目はかなり狭くて小さいのに、入ってみると意外と快適に湯につかれた(筆者身長は184cm、痩身とは言えないw)。 何か空間を最大限活用するノウハウ的な技術があるんだろうか。。



入ってみると意外とゆったり浸かれたり。。(さすがに足は伸ばせないがw)


朝食は最上階23階の展望レストランにて。 景色は当然ながらかなり良い。 宿泊客じゃなくても(夜とか)利用できるのだろうか。。



無料モニター宿泊客で賑わう最上階展望レストラン


23階から眺めるプノンペン。

食事はいわゆる普通のビジネスホテル的なビュッフェ。 まあ、期待ギャップは特になし。

控えめな取り方だったのは単に痩身になりたい(けどなれてない)からw


で、今回泊まったツインルームのお値段としては通常価格でUSD49・・・うーん、さて。。



今回感じた印象を端的にまとめると、以下の要件に当てはまる短期ビジネス出張者にとって、デラックスシングルUSD39はかなり魅力的な気がする。

・部屋の広さやくつろぎ感よりも、水回り・衛生面・設備機能性を重視
・会社方針的もしくは職位的に、出張予算が大盤振る舞いではない
夜は会食・外食メインで、部屋では夜1人で寝るだけ
(デラックスシングルの部屋は見てないが、おそらく日本仕様と同様だと思うので)

まさにいい感じのビジネスホテルじゃん、そういい感じのビジネスホテルなんです、というお話でした。



和風テイストな地上階ロビー


筆者的がまだカンボジア(に限らず東南アジア全般)に出張ベースで来ていたころ、ホテル予算はかなり厳しめに設定しつつ「(筆者にとっては)デッドスペースでしかない広いお部屋はいらないから、シャワーが快適でシーツが奇麗であって欲しい・・」とよく感じていたが、まさにそういう類の方々にはオススメだと思われます。



なお、同じくモニター宿泊されておられた知人数名から伺ったところ、やはり部屋の整備が未完成なお部屋も多かったようで、筆者に割り当てられた部屋はおそらく”当たり”の部類に属するようである。

 
前述の通り初期不良系の内容については過度に言及しないが、ちなみに筆者の部屋はテレビのリモコンが作動せず、部屋に入りルームキーを差し込み口に挿すと勝手についてくれるテレビの電源を消す事が出来なかったので、やむなくコンセントを抜かせて頂きましたw


そういえば明日19日は、フンセン首相、ヘンサムリン国民議会議長と並んで長くカンボジアの指導者の地位におられた(かつ最長老であられた)チアシム人民党党首・上院議長の公式追悼日(本年6月8日御逝去)。


公的機関は喪に服するためお休みだが、民間企業は(ほぼ)通常営業。 
新たな祝祭日にはなるかどうかは不明である。。。結局祝日ネタで締めてしまって恐縮です。


チアシム上院議長との面談(2009年11月)。いろいろとお世話になりました。。合掌。


2015/06/06

カンボジア 農業 最前線:なぜ農業がツラいのか今 in カンボジア

最近になって夕方あたりに本格スコールも降り始め、ほんの少しだが涼しくもなり、ようやく雨期入りを感じさせ始めた我らがカンボジア。 確か昨年もこれくらいの時期から雨期入りしたように記憶している。

従来は4月終わりから雨期入りするというのがカンボジア季節感の定説だった(と思う)が、1ヶ月ほど遅らせる方が現状に合っているようにも思える。

今年の乾期後半の暑さ&長さは例年に比べかなり異例だった(というような事をここ2、3年ずっと言っている気がする・・)。 天候に大きく左右される農業従事者にとっては極めて洒落にならない事態である。

実際、野菜類を手がけられている農業事業者の方々の中には甚大な被害に見舞われたケースもあったようだ。 
こうも暑さが続けば、爪に火を点すように大事に使っていたであろう貯水池の水も干上がるだろうし、暑過ぎて発芽にも至らなかった野菜畑もあった模様。 
雨待ち・雨頼りにならざるを得ないケースが多いカンボジア農業のイタい所だ。

一方、先週のぞかせて頂いたドリアン畑の気のいいおばちゃん(カンボジア人)曰くは、今年は暑さが続いたせいでドリアンの収穫が止まらず「お金をどこに置いておけばいいか困ってるわww」と笑いも止まらない感じだった。 ドリアンとはそういう果物なのか、、と感心しつつ、農業事業のハイリスクっぷりに感じ入らざるを得なかった。


天候だけではなくマーケットの事情にも大きく左右される農業事業。

カンボジア現地報道で、カンボジアの米の輸出(ヨーロッパ向け)がミャンマー米の台頭に押されて減少し始めている、とのニュースが流れたが、読んでいて悲しくなったのはその価格。

カンボジアの長粒白米(いわゆる普通の米)の輸出価格(たぶんFOB価格)が430米ドル/トンで、ミャンマーの米はそれより20米ドルほど安いらしい、という話。
(※FOB=Free On Board、本船渡し条件。 売る側が輸出船にモノを乗せた段階で売り渡した事にする条件。航海中のリスクは買主が被る。

430米ドル/トン。。
大規模な精米工場を構え多くの農家を囲ってモミ(脱穀する前の外皮に包まれた状態のコメ)を安く吸い上げている事業者じゃないと利益は出すことは出来ない価格水準である(たぶん)。

筆者がカンボジア米の輸出(ヨーロッパ向け)を手がけていたとき、輸出価格はまだ500米ドル台だった。 


あれは3年前。。200トン弱でも結構大変だった、、がおかげさまでいろいろな事が分かった。


その後、コメの輸出価格が下がっていく中で、ライセンスから通関業務まで含め全て自分達でやったのでいつでも自分達でまた輸出再開できるというスタンスで、再び価格が上がるのを待ちつつ、他の事業(農機販売など)に専念していたが、、、まさか上がるどころかここまで下がっているとは。。


2008年、同じ長粒白米で国際価格指標となるタイ産中級米のFOB価格はなんと1000米ドル/トンを超えていた。 
当時、世界食糧危機が声高に叫ばれていて、コメ産出国は輸出禁止措置などを採って自国にコメをキープしていた。




で、カンボジアはいち早くその禁輸措置を解除し(2010年)、コメを「ホワイトゴールド(白い黄金)」とまで持ち上げ、2015年までに正規に100万トン輸出するという「ライスポリシー」を大きな国策として掲げた。  

当時、フンセン首相の嗅覚は、再び大きく値上がりするであろうコメこそが、カンボジアが外貨獲得するための重要戦略物資となるのでは、、という匂いを感じ取った、、んじゃないかと思う。
(そんな話をオンラインビジネスマガジン『JBPress』に寄稿したのも懐かしい。

その後、コメの輸出価格は下がるに下がって、今や先述の430ドル/米ドル。 アテが外れるもいいところだ。
その間に起こった、タイ政権の悪評高いコメ政策やら、インドやミャンマーの台頭、などは、当然予測できるものでもない。 残念ながら良い流れが来なかった(むしろ逆流だった)としか言い様が無い状況である。

2015年末(あと半年・・)まで、当然ながら達するわけがないカンボジア米正規輸出100万トン。。ライスポリシーの落とし所はまあ、フンセン首相が豪腕でねじ伏せる話になろうかと。


市場やら天候やら、制御できない諸要素に左右される農業ビジネス。。。まあ、いろいろな要素に左右されるのは農業に限った話ではないけれど。
こういった波の上下をうまく対処しながら、沈む事なくじっと堪えた先に、来る(かもしれない)大きな波にしっかり乗れるかどうか。

・・・というような振り返りに思いを馳せるきっかけをくれた、430ドル/トンという数字でした。
以上、特にオチはないです(いつもないかw)。


本ブログも本稿で88本目( 八十八)、、がコメ(米)の話題になったのは本当に偶然w
クドい話に長い事お付き合い頂きましてありがとうございます <(_ _)>


2015/05/27

まさかの摘発、、カンボジア首位陥落か?:和牛輸出とカンボジア

カンボジアの事情通ならほぼ誰もが知っている話で、当然違法行為である(と思う)のだが、まあカンボジア的にも日本的にも支障がない(と思う)ので特に怒られないんだろうな(今までは)、、くらいに思っていたら、意外にも中国当局が摘発に踏み切った。

時事ドットコムからの抜粋引用になるが、その摘発とは最近出た以下のニュースの話;
ーーーー
中国公安省の公式サイト・中国警察網によると、上海市公安局や税関などは3月、上海市で安全基準に適合しない日本産牛肉を販売したとして、日本企業を摘発し、容疑者30人を拘束、牛肉などの冷凍品13トン(約5億9000万円相当)を押収した。

 調べによると、この企業は2013年10月から日本産牛肉をカンボジアに輸出し、タイとラオスを経由して、「果物」や「ハム」などの名目で、上海に搬入。97トンを中国で販売していたという。

・・日本産牛肉をめぐり、日本企業による大掛かりな違法行為が摘発されたのは今回が初めてとみられる。
ーーーー

カンボジアは目下、祝日の数おいて断トツの世界一の座にいる(はず、たぶん未公認)だが、その他にもいくつかNo.1の座を保持しており、その1つが「日本からの和牛輸出先シェアNo.1」である。 

これはしっかり公認された日本一の座であり、たまに日本の大手新聞でもそのように記述されたりする。
ちなみにこれ以外の首位の座だと、例えば「日本近海で座礁・炎上する貨物船の船籍シェアNo.1」がある。  ニュース報道でよく目や耳にする「カンボジア」という単語は、未だにこういう不名誉な話が多かったりする。

座礁・炎上船籍シェアNo.1」の話は疑問の余地なく不名誉な極みの話ではあるが、この「和牛輸出先シェアNo.1」の話も同じく極めて不名誉な称号である(私見)。 
「輸出先トップなのに何が不名誉?」という問いもありえるかと思うが、当然ながらカンボジアが高級な和牛を他国よりも多く輸入して楽しめるほどリッチな国になっているわけがない。


中国は日本で発生した牛海綿状脳症(BSE)の影響を受け、2001年から日本産牛肉の輸入を禁止している。 もう15年近くの間、中国では正規に輸入された和牛にありつけないはず、という事になっている。

が、当然、北京や上海あたり(に限らず中国主要都市)ではお金さえ払えれば高級な和牛料理を十分に堪能できる。 
外資系飲食事業者がせっせとハンドキャリーしてコツコツ料理しているケースもあったりするが、日本以外のところから輸入された(事になっている)和牛も中国の輸入禁止規制の枠外とされている。 
また牛肉以外の名目がインヴォイス等に記入された輸入品ならそもそも検知不能となる(日本からの輸出では有り得ないが)。


日本政府は2020年までに農林水産物の輸出を1兆円に増やす計画を掲げている。

 2012年には日本からの牛肉輸出額は過去最高の約50億円に到達し、農水省がまとめた品目別輸出戦略では牛肉輸出額を2020年に250億円(約5倍)まで伸ばそうと企んでいる。

2012年時点で「主な輸出先」として記載された国は「カンボジア、ラオス、香港」と、カンボジアがしっかり筆頭の地位を保持している。 
冷凍牛肉ではカンボジアの輸出先のシェアとしては約6割超(2011年)と、現在の祝日数なみの断トツ1位である。

日本は2013年5月に国際獣疫事務局(OIE)から「無視できるBSEリスクの国」に認定され、日本産牛肉の安全性が国際的に認められたことを積極的にアナウンスし、輸出解禁に向けて各国に働きかけてきた。
日本の国益的に、日本から正規に輸出される牛肉類の増加は多いに奨励されるべき事である。 

一方、カンボジアとしては日本から正規に和牛を輸出される先に指定される事に何の問題もないし、更に農業生産物を筆頭とする農林水産物の輸出拡大は大きな国策の柱の1つでもある。カンボジアからの輸出が伸びるのは、こちらも多いに奨励モードである。


日本もハッピー、カンボジアもハッピー、だから特に誰も何も言わないんだろうな。。。と何となく思っていたが、なんと中国側から摘発の手が伸びた。 まあ、当然といえば当然の話だが、中国にとっても何らかハッピーな「三方良し」的な話だから安泰なんだろうと邪推していた(筆者の愚考)だけに、今回の摘発は(筆者的には)意外だった。

たぶん中国は利害関係の絡みが多重層的過ぎて、誰かにとってのハッピーと他の誰かにとってのアンハッピーとのバランスが少し傾いた、、的な話で今回の摘発に行き着いた、という類の事なんだろうと邪推される(筆者の愚考)。

ちなみに2007年〜2009年の間、同じく日本からの冷凍牛肉輸出先としてはベトナムが断トツで、シェアは9割を超えていた。
が、日本で発生した口蹄疫の影響で2010年4月にベトナム政府が日本からの牛肉輸入を停止してから、当然ながらベトナムの名はランキングから消えた。
その直後の名前が上がってきたのが、我らがカンボジアと隣国のラオスである。

更にちなみに、ベトナム政府は2014年3月27日付けで、39の日本側牛豚肉輸出施設の登録を承認し、日本産の牛肉・豚肉・牛および豚の内臓のベトナムへの輸入を解禁した。
またもやベトナムが牛肉輸出先シェア筆頭の座に返り咲くかどうか、、と他人事ながら少し興味を抱いていたが、そもそもの取引スキーム自体が消滅してしまう可能性がある今回の摘発。

真相は全く分からない(筆者は専門外である)分野なので、「和牛輸出 to/from  カンボジア」にまつわる話をランダムに列挙しただけとなってしまった本稿(筆者の愚考による取引スキームの概要邪推は一切書いていません、今回)。  毎度ながら分かりづらくて申し訳ありません。。。しかも写真もなし。

ご参考まで、和牛輸出先シェア(※金額ベース)の図を以下(確か2012年度)。 なお香港は中国本土に先駆けて2007年に日本からの牛肉輸入を解禁している(確か)。



筆者的にはこの日本牛肉輸出先からカンボジアのNo.1の名前が消えて、もっと何か真に名誉あるNo.1の座にいつか就いてもらいたい、と願ってやまないが・・・まあ大きなお世話かw


2015/05/24

インバウンドの猛威、本当にスゴいのは・・:日本滞在備忘録

5月も後半に差し掛かっているにもかかわらず暑さがむしろ激化しているような気もするカンボジア首都プノンペン。

教科書的には、カンボジアは雨期と乾期に分かれていて、11月後半〜4月後半までの乾期のうち後半3ヶ月(2、3、4月)が暑季とも呼ばれる暑い乾期期間であり、3月〜4月が最も暑い季節、、ということになっている。  
で、5月にもなれば雨期の到来を告げるスコール的な雨がザッと降り始め、雨が上がった後は少し涼しくなりますよ、、というような説明をよくさせて頂いていた。

この気候周期が昨年くらいからちょっと崩れて来ている気がする。 4月が終わり5月に入って更に暑さに拍車がかかる、というような。 

というわけで、筆者が「5月には涼しくなりますよ」と訳知り顔でお伝えしてしまった方々にはこの場を借りて陳謝いたします。。暑くてすみません。


一方、5月は日本ではとても過ごしやすい季節。 それを目指してというわけではなく、5月半ばのカンボジアの大型連休(シハモニ国王誕生祭)の機能停止期間を利用して1週間ほど日本出張に行ってきたのだが、滞在中にかなり新鮮で強烈なインパクトを受けた事があった。
カンボジアネタとは直接関係ないが、備忘録的に本稿にアップさせて頂こうと思います。


「中国人による『爆買い』」「インバウンド活況」などとネット記事ではよく見かけていた来日外国人の台頭inジャパンだが、今回それをまざまざと体感させて頂いた。


そろそろカンボジアでも着られる夏の装いが出並び始める頃、ということで向かったユニクロ銀座店。 混雑を回避するつもりで、以前の記憶ではガラ空きな時間帯だったはずの平日(金曜だった)夕方16:30くらいに店舗に行ってみると、


ユニクロ銀座店、レジ大行列。 日本人と思しき御客様は確認できず。


目視で正確な識別はできないが、ほぼ中国・台湾系な雰囲気の御客様達


とてもではないが並ぶ気になれず、何も買わずに撤収したが、御客ばかりか店内で「いらっしゃいませー」と声を上げている店員さんもほぼ外国人。 日本人店員はレジの内側で見られた程度。 いやここまでとは、、と衝撃を受ける。


で、諸々所用あり一泊で向かった信州某所。 
「長野新幹線」が「北陸(長野経由)新幹線」と名を変えて初めて乗る形になったが、金沢まで延長した新しい線路に乗っかる事なく長野手前で下車。


北陸(長野経由)新幹線。 なかなかに走り早そうな面構え。


「長野新幹線」の「長野」を残したい派 vs「北陸新幹線」でいいじゃないか派
のガチバトルの結果、大人の着地点・・?

途中立ち寄った軽井沢あたりで、心地よい涼しさのあまり林道を散策。この辺りはやや隔離感・退廃感を隠し切れない無人別荘散在地帯で、暗くなったらけっこうコワいが明るいうちは静かな散歩道、、というイメージがあった。

が、そこにも、明らかに散歩中というより物色中という空気で歩き回る彼の国の人々が。。


言葉は理解できなかったがおそらくは中国・台湾からの方々。


滞在したホテルにも団体様が。。総勢60名とのこと。
ビュッフェレストランは少数・日本人客とは分かれておりました。

他にも、滞在中にお会いした方々の言によれば、お台場の商業施設あたりもほぼ完全に「日本人 > 外国人観光客(中国・台湾・韓国が多いらしい)」となっていて、施設内には大きな「Duty Free Shop」があるらしい、など、どうやら日本は各所随所で「インバウンド勢の猛威」を体感できる(せざるを得ない)状況になっているようだ。


カンボジアに戻る際に使った中国東方航空(上海経由 プノンペン行き、筆者が愛用して久しいフライト)の成田チェックインカウンターには、大量の「爆買い」土産を運んで本土にお帰りになる方々の列が。 
かなり多く目についたのは「炊飯器」。 機内にハコごと持ち来られている方もいらっしゃった。 美味しくご飯が炊ける和製炊飯器の大人気の程がうかがい知れる。

中国東方航空は、成田発中国行きの便だけ(のはず)、エコノミーの一元客であっても「1人23Kg荷物を2つまで預け入れ」可能だ。 中国人「爆買い」シフトとしか考えられない(筆者邪推)。


・・・とまあ、日本に押し寄せる「インバウンドの猛威」を体感させて頂いた貴重な経験であったわけだが、いろいろと納得・感心をもって考えさせられる事が多々あった。


まずやはり、日本は諸々が安い。 というかコスパの良さが際立っている。

とある中級クラスの居酒屋に入って改めてメニューを眺めてみると、例えばグラスワインが450円前後、小皿のおつまみが350円〜500円前後、と、まあ日本的には普通の価格帯であったわけだが、現状の円ドル為替レート(約120円/ドル)で換算してみると、軒並み3〜4米ドル代。 

カンボジア(首都プノンペン)のみならず、おそらく隣国タイやベトナムでも、和食という括りで見るとかなりお得感満載の価格水準であるはずだ。 
しかも味や品質、店員のキビキビ感、きっちりしたサービス対応を考えると(英語対応のみ難ありかもしれないが)、アジア諸国から来られる外国人観光客から見ると極めてお得なアメイジング・ジャパン体験なんではないだろうか。


で、更に(というか一番)感心したのは、この「インバウンドの猛威」を見事に余す事飲み込んでいる日本の有力物販・サービス業の「インバウンド対応力」のスゴさ。

ユニクロの外国人店員対応のみならず、信州のホテルあたりでもしっかり中国人スタッフ(ややたどたどしいが日本語も話せる)を用意し、完全に外国人訪問客シフトで体制を組んでいる。

免税店化など諸ルールの活用も含め、購買力的に草食化している感満々の日本人をよそに肉食系インバウンド外国人達の購買意欲を見事なまでにマネタイズしている。

つまり、「インバウンド(来日外国人)が爆買い in ジャパン」しているというより、日本のイケてる事業者達が「インバウンドに爆売り in ジャパン」しているのだ。 やるなジャパン。


円安の是非は多くの識者・賢者皆様が百家争鳴しておられ、筆者の愚考など入り込む余地は全くないが、だいたい教科書的には以下と言われる(と思う)。

「円安になると日本を支える輸出型企業はハッピー vs 海外からモノを輸入して国内販売している国内向け企業はアンハッピー」

が、上記の議論にこの「インバウンド購買力」は要素として組み込まれているのだろうか。
「円安になると、外国人がたくさん日本にインバウンドしてきてたくさんモノ・サービスを買ってくれます」という要素はあまり聞いた事がない気がする(筆者が薄学なだけかも知れない)。

確かに円安になると、海外から輸入する原材料等が高くなって、販売価格を値上げしないと国内向け企業はツラい。 
が、インバウンド勢の購買力inジャパンも円安のおかげで引き上がるわけだから、彼等はその値上げを十二分に飲み込んでしまうのでは?

となると、円安は
①日本を支える輸出企業:ハッピー
②インバウンドに爆売りできる国内向け企業:ハッピー
③インバウンドを取り込めない国内向け企業:アンハッピー
という受け止められ方をするのかもしれない。

今まで、②と③はともに「円安アンハッピー」派と思われていたが、②の方はむしろ「円安ハッピー」派に転じられる可能性がある。
②、③ともに国内向け企業だが、エクセレントカンパニーがどちらに多いかというと、おそらくは②の方に違いない。

もしかすると今日本では「円安万歳派」にかなり有力な勢力が加わってきている、、のかもしれない。 


為替レートとは通貨と通貨の交換比率であり、国家間の国力で決まります的な直感的にわかりやすい理由だけで決まる事は実はない(だから一般大衆が思う方向には進まない)。

為替レートの変動は、短期的理由・長期的理由、マクロな理由・ミクロな理由、など各々な理由が絡み合って生じるが、ミクロなレベルの極致である「同じモノが国内と海外で同じ価格にならないとおかしい」という当たり前の話(購買力平価)に長期的には落ち着くことが立証されている(らしい)。 

今目の前で起こっているインバウンドの爆買い(= インバウンドへの爆売り)は、一物一価の法則から見たアンバランスに起因している、、、となると、さて今後の円の価値の推移は。。 

よくわからないので、備忘録はここまでといたします。 



2015/05/14

また来た連休の合間にぜひ・・:激化する和食店サバイバル in カンボジア

さてまたもや大型連休を満喫中の我らがカンボジア。

今回の連休は5月13日(水)〜5月15日(金)の祝日(だけで3連休)と、それに続く土日も含めた大型5連休。 
なお弊社は一般的なカンボジア民間企業と同じく土曜日半ドンだが、この半ドンを有給休暇で休む従業員を当然ながら止める事はできない。 被雇用者に分厚く手厚いカンボジア労働法に定められた正当な権利の行使機会である。

連休のお題目は「シハモニ国王誕生日祭」。 カンボジアの王様の御誕生日を祝う祝日である。 実際の御誕生日は本日5月14日だそうなのだが、何故その前後もお休みなのかは定かではない(筆者が知らないだけでカンボジア国民は皆知っている一般常識かも知れない)。

ちなみに現国王シハモニの父君にあたるのは「殿下」の名称で親しまれカンボジア国民からは「独立の父」と称されたシアヌーク前国王。 カンボジアはよく知らずとも「シアヌーク殿下」という響きが耳に残っておられる諸兄もおられるかもしれない。

この偉大なる前国王の誕生日(10月31日)も2011年までは祝日だった。 
そして2011年10月15日、偉大なる前国王が崩御されると、お亡くなりになった前国王の誕生日(10月31日)が平日化し、その代わり(?)に命日にあたる10月15日が新たに「シアヌーク前国王記念日」として祝日となった。 

ちなみに日本では昭和天皇(1989年1月7日 崩御)の誕生日である4月29日は、崩御前の「天皇誕生日」という名称から「みどりの日」と変更されつつ、引き続き祝日となっている。 
国家の象徴が崩御された際、誕生日をそのまま祝日とするか、誕生日→命日を祝日とするか、まあ日本は前者でカンボジアは後者ということになるが、祝日を純減させないというスタンスは共通である。
更にちなみに今の日本の天皇誕生日は12月23日(祝日)。 クリスマス・イブ・イブ(イブの更に前日、筆者造語)にあたるこの日、カンボジア的に3連休化(できれば前後でなく後2日で)したらすごい事に・・と妄想は膨らむが、決して実現はしないだろう。

で、カンボジアの話に戻ると、この誕生日→命日への祝日移行の勢い余ってポンと出てきたオマケのように、10月23日が「パリ和平協定締結記念日」として唐突に祝日として新設された。
偉大なる前国王が崩御されて、祝日が1つ減って2つ増えた。 まさかの純増である。

現国王が仮にお亡くなりになり次の国王が即位される時には、果たしていくつ祝日が増えるか想像がつかない (なお10月29日は現国王の即位記念日で既にお休みです)。 

誕生日、命日、即位、+α(オマケでポン)、、、新世代国王が生まれるたびに幾何級数的に増殖するかも知れない数々の記念日という名の祝日。
さすがは世界一祝日の多い国(おそらく)カンボジア、おそるべき祝日誕生の連鎖。 何かバイオホラーに出て来る遺伝子系の生命体のような強烈な自己増殖本能を感じざるをえない。 

シハモニ国王におかれましては、何卒くれぐれも健やかかつ長期的に現国王として君臨頂き、世界一の祝日数を楽しむカンボジア国民と、彼等を年間通じて(祝日も含め)雇用する外資系民間企業を暖かく見守っていて頂きたい。

・・3稿に渡って冒頭を祝日ネタで飾ってしまった本稿だが、世界一祝日が多いカンボジア発のブログならでは、ということでご容赦頂きたい。 またカンボジア企業経営者にとってはそれほどの頭が痛い重要ファクターである事もお察し頂ければ幸いである。


さて相変わらず冒頭が長くなってしまったが、本稿では筆者が以下の素晴らしい雑誌に恐縮ながら駄文を寄稿させて頂いた事を、雑誌発行元N社長の度胸 寛大な御高配に敬意と感謝を込めて少しご紹介したい。




カンボジアに進出される企業・事業主を対象としたビジネスフリーマガジン「カンボジア・ビジネス・パートナーズ」。今回で2号目となる。

カンボジア現地において、法律・会計・IT・通信・物流・不動産、などなど各業界で実際に実務を担っている最前線の専門家・プロに、直近のカンボジア各業界事情について直接インタビューした情報がまとめられている。 

寄稿させて頂いた(そのバーターで弊社紹介も載せて頂いた)身であるので、客観的立場からの評価とはみなして頂けない事は重々承知してはいるが、我田引水と割り引いて聞いて頂いたとしても、ビジネス的にはかなり参考になるリアルタイム情報が満載である(と思う)。 

しかもフリーペーパー(タダ)である。 薄めのカンボジアビジネス情報本等をわいて出て来る前から駆逐してしまう(結果的にわき出てこれない)予防的価格破壊をこれ以上ない形で実現してしまったN社長、さすがです。

これからカンボジア事業進出を検討されている方にも、既に進出されている方にも、筆者の寄稿は度外視したとしても、連休の合間のお手隙な時間にでもぜひご一読をお勧めしたい。 JICA、JETROなどのカンボジア事業進出相談窓口にあたる場所や、コスタカフェやキリヤカフェなど一部カフェに置いてある、とのこと。

なお、本誌は完全なビジネス誌なので、お店情報やグルメ情報などの生活情報をお求めの方は、ぜひ他社様による有力生活情報フリーペーパーをご参照頂きたい(それらもかなり充実してます)。


祝日ネタとN社長の偉業紹介ですっかり長くなってしまったので、蛇足ながら筆者の寄稿駄文については以下をご参照頂きたい(有難くもご興味持って頂ける方がおれましたら・・)。


雑誌に掲載されている本文と(ほぼ)同じウェブサイト版である。 (ほぼ)と書いたのは、いくつか最終修正が反映されていない部分(かなり細かい部分)もあるようなので、一言一句同じではない、程度の意味であり、内容は同じである。


なぜ筆者が寄稿させて頂く事になったか、の経緯は、本誌創刊号の出版時(昨年中頃)に遡る。 ありがたくも本ブログを読んで頂いていたらしいN社長からご連絡頂き、要約すると以下のような感じで話が進んだ。

<創刊号>
N社長「ブログ読んでます、ブログみたいな感じでなんかぜひ書いてください。この前イオンモールできたんで、イオンのこと何か、3ページくらい。」
筆者「いいすよ」 
(→ 「イオンモールプノンペン開業、その示唆に富む舞台裏」)

<今回>
N社長「また何か書いてください。 フェイスブックで飲食系アップいろいろされてるんで、飲食系で何か。」
筆者「いいすよ」

※ なお上記要約はかなりはしょっており、N社長からは極めて丁重にご対応頂いた。N社長、ニュアンス違ってたらすみません。。<(_ _;)>


テーマ提案はN社長より頂いたうえで、内容は完全丸投げ 全面信頼ベースでお任せ頂いた。
内容については、文字数調整のための微修正(主にクド過ぎる部分の削除・・)を頂いたのみで 、ほぼ完全に筆者が書いたままであり、内容の不正確さ・稚拙さ等は全て筆者に責任があります。 改めて、N社長の度胸 寛大な御高配に感謝したい。


で、連休多過ぎなカンボジアを昨日脱出した筆者は、現在日本にて諸々業務中である。
で、やっぱ刺身かな今夜は♩


2015/05/06

「それでも安いTシャツ買いますか?」善意が導く悲惨な未来:カンボジア バングラ 縫製業

今日もまた祝日です、我らがカンボジア。

今日をお休みにする大義名分は「農耕祭(Royal Ploughing Day)」。 雨期に入り農耕スタートさせるタイミングということで、農業を営む各地で土に鍬を入れる儀式などが執り行なわれるらしい。

で、国中が注目(?)する農耕祭式典のハイライトは「国王の牛」を主役にしたセレモニー。 

選ばれし「国王の牛」の前にいくつか(確か7枚)のお皿を並べ、牛に選ばせる。 米が乗った皿を選んだら豊作(だったかな・・)、とか、何にせよ今年の農作物の出来を占う重要な役割を国王の牛が担うらしい。 

なんでもテレビで生中継までされるとか。 長いクメール正月休みモードからようやく「そろそろ本気出す」モードになりかけている(はずの)国中の農家の空気を盛り上げるor盛り下げる、を一切の牛任せにする、ごまかしの効かないぶっつけ本番イベント。 お酒の皿を選んだらあまりよろしくない、というのは確かだったと記憶している。

このセレモニー、国王御自ら毎年地方に出向かれて式典に臨席されるらしく、今年はどうやらバッタンバンに御降臨されるよし。 で、当然バッタンバン市内の道路はほぼ封鎖される事になるそうだ。 移動経路考えないと。


ところで、筆者がフェイスブック(FB)を始めたのはもともと本ブログと同様、カンボジアのビジネス環境やら経済状況やら自身の事業についてやら、何かカタめなマジメ情報を発信していこう、という趣旨からであり、実際に始めたのは本ブログよりもかなり前からである。

そしてやはり本ブログ同様、趣旨・方針がズレてきて、今や食べ歩きグルメ情報inカンボジアor日本しか閲覧者の印象に残らないヤワラかい類の何かになってしまっている、というのが客観的な現状かと思われる。(ただまあ一応それなりにマジメな話をアップしたりもしていますw)

で、そのFBでつながっている某友達が「いいね!」を押したが故に筆者のFBタイムラインにも現れた、筆者的には見ず知らずの方のとあるFB投稿がふと目に止まった。

ちなみにFBで友達が「いいね!」を押した非友達の投稿が自分のタイムラインに出て来る法則(というかアルゴリズム?)はどういう規則に基づいているのか。。。全部が出て来ているわけではないようだし、そのセレクションの法則(というかアルゴリズム?)が常々少し気になってはいる。(ご存知の方いらっしゃったら教えてください<(_ _)>)  

それはさておき、そのとあるFB投稿とは、以下の記事をアップされて状況を憂いておられる類のものだった。

「それでもあなたは激安Tシャツを買いますか?ドイツで行われた自動販売機を使った社会実験」 

ざっくり要約すると;
ーーーー
ドイツのベルリンの広場に道行く人がつい買ってしまいたくなるほどの激安価格Tシャツが買える自販機を設置。 
お金を入れてボタンを押すと、お目当てのTシャツが出て来る前に、自販機に付いてるモニターにそのTシャツを作っている新興国(バングラデシュ)の過酷な労働環境や労働者の労働時間・時給情報が映像で流される。
で、その映像の後に「それでもあなたはTシャツ買いますか? または寄付しますか?」の選択肢が提示され、多くの人々が「寄付」を選んだ。
ーーーー
・・・というような内容である。


2013年4月にバングラデシュの首都ダッカ近郊で起きたビル崩落事故を風化させないための国際的キャンペーン、という位置づけで行われたらしいこの社会実験。 

崩落したビルは本来5階建てのところ8階まで無理な増築を施され、ビル内では多くの縫製工場労働者が過酷な労働を強いられており、彼等の多くが犠牲者となった、らしい。

縫製業とは全く縁のない筆者であるが、カンボジアはバングラデシュと並び称されるくらい縫製業が盛んな国であり、遠い彼方の話には感じられない内容ではあるし、またビル崩落事故で犠牲となった多くの方々には謹んで哀悼の意を表させて頂きたい。


だが、この社会実験に関してだけ言えば、これが事実として行われた実験だとすれば、そもそもの実験趣旨にかなりの違和感、と共にある種の危険性を感じてしまう。

実験の主催者が明確に意図しているかしていないかはともかく、この社会実験は極めて分かりやすい以下のメッセージを発信するはずだ。

①安いTシャツを作るため縫製業者が過酷な労働を強いている 
→ ②その過酷な労働環境に起因して大事故が起こり多くの犠牲者が出た
→ ③この悲惨な事故および労働者の苦しみの原因は縫製業者の所業にある
→ ④そんな縫製業者が売るTシャツを買う(=縫製業者に利益を提供し労働者酷使を継続させる)べきではない


この端的なメッセージの拡散がうながす未来のシナリオは、
「こうして新興国で労働者を酷使する縫製業者が売るTシャツ(や他の商品)を誰も買わなくなり、商品が売れなくなった縫製業者は滅び、労働者は劣悪な環境から解放されました、めでたしめでたし」
というハッピーエンド、かと思われる。

が、これは本当にハッピーエンドだろうか。


私見ではあるが、ここでよく考えなければいけないことは、上記メッセージ①の始点であると思う。 言い換えると、バングラデシュでもカンボジアでも、縫製工場で働く労働者達が何故そこで働く事になったか、の理由である。

国家権力による強制や誘拐・拉致等の暴力的非合法手段によって収容・監禁されて働かされていたとすれば、上記メッセージに非の打ち所はない。

が、多くの場合、労働者達は自らの意思決定でその縫製工場を自ら働く職場として選んでいるはずだ。また多くの場合、退職も基本的には自由意志で行えるはずである。 嫌になったら給料もらった翌日から来なければいいだけの話であり、そんな話はおそらく現地では日常茶飯事であるはずだ(カンボジアでもそうだしw)。

バングラデシュの現地事情はよく知らないが、カンボジアに限って言うと現地縫製業関係者からの人集めや引き止めの苦労話を伺う限り、そこに強制収容的な匂いはかけらもない。

バングラデシュでもカンボジア同様、基本的には民主国家的な労働者募集・雇用が実施されているという前提で、そこに憂うべき事態があるとすれば、それはバングラデシュの多くの労働者にとって「過酷な縫製業以外に同等の賃金を稼げる選択肢がない(か少ない)」事だ。

労働者を雇う側の縫製業者も、当然他の労働需要(業者的には労働者獲得競争環境)を睨みながら、労働者を募集・採用できる最低限の労働条件(=自らの利益を最大化する条件)を提示しているはずで、それが劣悪な労働環境及び低賃金のもとで成立している(労使がとりあえず合意している)という事態が現状、ということになる。

その現状のおいて、慈愛にあふれた傍観者が憂い憎むべきは「劣悪な労働環境を提供する縫製業者」ではなくて「縫製業者が提供する劣悪な労働環境を労働者が選ばざるを得ない(他に選択肢がない)現状そのもの」であるべきだ(と思う)。

で、その現状を心から改善してあげたいなら「(いま労働者の目の前にある数少ない選択肢である)縫製業を叩き潰すべき(シナリオA)」ではなく「縫製業以外のより良い選択肢を用意してあげるべき(シナリオB)」であるはずだ。

各々のシナリオの行き着く先がだいたい以下のようになる事は、すでに理論的にも実践的にも立証・実証されている(、、と思う、確かw)。

(シナリオA)
劣悪な労働環境を提供する縫製業を絶滅させる → 縫製業の職を失った多くの労働者が路頭に迷う(縫製業と同じレベルの就業機会が他にないから) → 今まで選ばずに済んだ更に劣悪な環境下(縫製工場の方がマシだった世界)で労働せざるを得ない

(シナリオB)
縫製業以外のより良い選択肢を用意してあげる → 労働者の多くがその選択肢に飛びつき、縫製業に労働者が来なくなる → 縫製業も労働者を集めるために労働環境を改善せざるをえない(それができない業者は撤退) → 結果的に労働環境は改善する


これ(シナリオA)と似たような話がつい最近(と言ってももう10年以上前か・・)先進国日本でもあった。

日本では今も昔も多くのヒト(個人・法人含む)がお金を借りたいと願ってやまないが、お金を貸す側は今も昔も彼等を以下のように分類する。

分類1. しっかりお金を返せそうなヒト
分類2. お金を返せそうかどうか微妙なヒト
分類3. 普通の手段ではお金を返せそうにないヒト

で、以前の日本には上記の分類に応じて、各々の層にお金を貸してくれる側がいた。
分類1 ← 銀行・信金が低い金利でお金を貸す
分類2 ← 合法な貸金業者が高い法定金利でお金を貸す
分類3 ← 非合法な貸金業者がより高い金利でお金を貸す

そして当時の日本国の政治家が政治的に行き着いた発想ステップと課題提起は以下の通りであった。

特に問題なく何もしてあげなくてよいのは分類1。 
問題ではあるが、困ったとしても自業自得なのでとりあえず無視していいのは分類3。
問題なのは分類2。 高利に苦しむ分類2のヒトを救ってあげなければならない。

そして、日本国が選択した解決策は、分類2のヒトにとって当時お金を借りられる唯一の選択肢だった合法貸金業者達を「分類2のヒトを苦しめる極悪非道な高利貸し」と決めつけ、彼等をせん滅する事だった。

その後、引き続きお金を借りたい(が今まで貸してくれていた合法貸金業者が絶滅してしまった)分類2のヒトはどうしたか(どうせざるを得なかったか)。

当然、もともと分類1にしか貸さない銀行・信金は引き続き相手をしてくれない(日本国からの要請も強制もなかった)。 
結果、分類2のレベルで行き場を失った彼等は、その下層である分類3の世界に流れ落ち、その世界で更なる苦汁をなめる事となり、非合法貸金業者の懐は更に潤う事になった。


今より良い代替選択肢を用意しないまま、今ある「良くない選択肢」を消去してしまう、という手段は、その「良くない選択肢」が自由競争の結果存続している環境下では、確実に今より悪い状況を導く(更に良くない選択肢に事態を収束させる)事になる。

既に世界中でいろんな形で何度も繰り返されていて、歴史が証明している法則と言ってもいいくらいの話だと思うのだが、おそらくこれからも姿形や事情を変えて、先進国でも後進国でも引き続き繰り返される類の話なんだと思われる。

願わくば、我らがカンボジアは同じ轍を踏まずに歩んで行って欲しいと思う。
そしてカンボジアを拠点とする弊社としては微力かつ末端ながら、カンボジア国民の目の前に今ある選択肢を座してただ否定・非難する事なく、カンボジア国民により良い選択肢を提示していける存在になっていければ、、と僭越ながら思ってみたりする(いや、たまにですがw)。


カンボジア国道5号線沿いの縫製工場近く、退勤時間あたり。 みなさん楽しそうに談笑しながらトラックにハコ乗りしておりました。 今日も一日お疲れ様♩

最後に蛇足ではあるが、このドイツで行われた社会実験で、激安Tシャツを買おうとした被験者達が結果的に寄付したお金が、幾ばくかでも実際にバングラデシュの窮状を支援する目的に使われる事を願ってやまない。

この実験ため自販機や映像を作った方々、そもそも実験を企画した方々、その他諸々の方々、のお給金や経費等にまず充てられてしまうのはヤムナシとしても。



・・・結局また長くなってすみません、、最後までお付き合い頂いて感謝です。
<(_ _;)>