2014/10/29

仁義なき”商号”ガチバトル(?):気がついたら決着(?)

本稿でも何度かご紹介させて頂いている、意外と厳しいカンボジアでの商号登記制度。

それに関連したトピックとして、なぜか同じ商号をぶつけ合ってほぼ同時期に開院された歯科医院 in プノンペンのお話を、今年7月頭にアップさせて頂いた。

(その後、自社事例も交えつつカンボジア商号登記制度のご紹介もさせて頂いた。)


その回のブログにて「この歯科医院のガチンコ商号バトル(?)のオチがどうなるのかちょっと注目している」という感じで書かせて頂いた手前、その後どうなったのか、なんとなく気にはなっていたが、わざわざ確認するアクションまでは取れずにいた。

で、そのオチ(?)は意外な形でサクッと知らされた。

9月末セミナーの際、講演終わった後にお声かけ頂いた参加者の方々の中に、その歯科医院(のうちの一方)の方がいらっしゃって、手短かな時間の中、端的にいろいろと教えてくださった。
・ブログも見ていてくださり感謝です。


で、結論的には、どうやらバタナック・タワーに入居されている方が正式に「K's DENTAL CLINIC」(※ sは小文字)の商号を授与された、、とのこと。

教えて頂いた事をまとめると、どうやらカンボジアにおける医療機関の登記には、会社登記を行う商業省(Ministry of Commerce)以外に、保健省(Minitstry of Health)での登記も必要で、それをいち早く行ったのがその「K's DENTAL CLINIC」さんの方だった、、ということらしい。

ちなみに弊社JCGroupは現状、保健省絡みの医療関係事業は手がけていないので、上記に関する制度・規則等の知識や経験は持ち合わせていない。 
また、それを確認する時間も(本業にないので)わざわざ割けない、、という状況の中で、結果を最も簡単に確認できそうな方法として思いついたのは、

「じゃあ、イオンモールプノンペンに入っている『K'S DENTAL CLINIC』さん(※Sは大文字)の看板はどうなっているんだろう?」

、、を見に行けばいい、という簡易ソリューション。 
対偶の真偽を示せば元の命題の真偽が示せる、という、「PであればQ」が云々という感じで昔に習った禅問答的なアレの発想だ(大げさ且つ適当ですw)。

とはいえ、最近なかなかイオンモールにも行く機会がなかった中、今月半ばにイオンモールで最も繁盛している日系飲食店(の1つ)の社長様と会食させて頂く機会があり、しめたとばかりに少し早めにモールに行って、件の歯科医院を見に行った。


イオンモール1階(日本的には2階)の「K'S DENTAL CLINIC」さん。
一見したところ商号に変化は見られない。

外から眺める限り、商号に変化はない・・ように見える。 

でも店の奥に(上記写真の中央やや左)に店内の看板のようなものが見える、、、ということで、日本的な奥ゆかしい節操・遠慮の感覚をすっかり失って久しい筆者はズケズケと店内にお邪魔し、店内にいたカンボジア人スタッフに写真撮影の許可を頂いた上で以下;


「CAM K'S DENTAL CLINIC」・・・。

頭に「CAM」が付いている。 ・・なるほど。


その後なんとなく、前回ブログでご紹介した際には両医院の広告が上下キレイに並列されていた老舗フリーペーパーの最新号を眺めてみると、むしろこのイオンモール側の歯科医院さんの広告が「K'S DENTAL CLINIC」という名前のまま大きく出ていたりして、逆にバタナック・タワー側の「K's DENTAL CLINIC」さんの広告は見当たらなかったりして。。。(筆者の見落としの可能性あり)


決着がついたのかどうか、そもそも何の決着なのか・・・はさておき、日系医院の進出が旺盛なのは在住邦人皆様には喜ばしい事なので、双方ぜひ頑張って頂きたい。 

また、本件についての前回ブログには、実際8月にカンボジア視察された別の日系歯科医院の先生からも実名入りコメント頂いた。 この場を借りて御礼申し上げます。

飲食店に限らず、歯科医院にとってもプノンペン競争環境は熾烈なようだ。 
ライバル同士が切磋琢磨して成長しあえる市場、、となる事をカンボジア在住者の1人として淡く期待したい。 

そろそろ歯の定期検診いかないと、そういえば。



http://yoroz-cambodia.jcgroup.asia/2014/07/blog-post.html

2014/10/23

彼等が日本で諦めた事

毎週のように飛び石祝日が続くカンボジア10月後半。 で、11月頭は水祭りの大型連休(11月5日〜10日、振替休日含む)。
 極めて仕事効率が悪くなる期間だが、まあこれもカンボジアで事業する上で所与条件の1つ、、と割り切って何とかやりくりをする。

祝日でオフィス出社はなく(打ち合わせや外回りはあるけど)、自宅で最近毎日は眺めなくなった日経新聞(ネット版)を何気なく眺めてみたら気になる記事が。
ちなみにオフィスで新聞を読む気には(時間があったとしても)昔からなれない。

シティバンク銀行が日本で個人向け業務から撤退する事に関する記事。 

これでゴールド口座による海外送金手数料無料サービスもきっと終わってしまう、、というのは筆者にも多少の影響はある。
日本のシティバンク銀行ゴールド口座(海外送金手数料なんと無料)から送金し、カンボジア側ではプノンペン商業銀行(PPCB、SBIグループが大株主)の口座(着金手数料がなんと無料)で受け止める、という夢の「送金手数料ゼロの日本→カンボジア送金」もついに実行する機会がなかった。

まあそれはさておき、そのシティに関する記事が以下;

【日経新聞2014/10/23夕刊
ーーー
シティグループが日本など世界11カ国・地域で個人向け業務をやめると発表して1週間あまり。

日本の受け止めはどうか。
「余裕を失ったシティが撤退を迫られた」との声が多いが、残りの国々の顔ぶれをみると別の思いも頭をよぎる。

コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグア、パナマ、ペルー、米領グアム、チェコ、エジプト、ハンガリー。先にはギリシャやスペインでも個人事業を売った。
世界3位の経済大国・日本が、これら経済的には辺境の国々とひとくくりにされたことは、ある種の衝撃が伴う。
・・今後、個人業務を続けるのは24カ国・地域。経済や人口の伸びしろが大きい市場が目立つ。
アジアでは中国、韓国、香港、台湾、インド、インドネシア、タイ、シンガポールなど12市場。中南米ではメキシコ、ブラジルに加え、アルゼンチンやベネズエラ、欧州では英国、ポーランドにロシアまで入った。
・・国民が豊かになる国では個人金融に将来性がある。踏ん張って業務を残す手はあるはずだが、日本などはその対象から漏れた。
ーーーーーー

シティグループが日本で「諦めた」ことは何だろう。
国として借金(国債発行残高)は、最近とうとう1000兆円を超えた、くらいにあるが、一方の個人(家計)金融資産も1600兆円を超えている。 「宝の山」の規模で言えばコスタリカやエルサルバトル等が束になってもその麓にすら及ばない。
たぶん、シティがいたった結論は、その巨大な「宝の山」への入り口のカギを持っている日本の高齢者達の心を開かせる事が自分達にはできない、ということではないだろうか。

その心を開かせる方法は実はとても簡単で、すでに多くの成功事例が解説付きで世に氾濫しているが、それらの方法はシティグループには絶対に採れない手法だった。


(1)漢字か平仮名の名前の銀行になること
(2)困った孫を装って振り込みさせたり、荒唐無稽な不動産投資を持ちかけたり、など法律の枠をはみ出して営業すること

シティグループですら溶かせなかった巨大な氷山。 当面は邦銀口座を通じて日本国債をさばく元手になるか。 そういえば以下の記事も同じ夕刊に。

ーーーー
短期国債の入札、初のマイナス金利

・・政府が利子を支払わずに国債を発行できる異例の事態だ。発行金利はマイナス0.0037%で、政府はこの分だけお金を受け取って借金することになる。
・・日銀が市場で国債を大量に買っており、市場に流通する国債は極端に減っている。金融機関は担保などに必要な短期国債を確保できなくなっており、買いが殺到した。
ーーーーー


・・なんとも言えないが、気になったので(また、明日には忘れていると思うので)備忘記録的に本稿にアップ。 明日からまたがんばろうinカンボジア。

2014/10/19

講演あとがき(終):悪者も愚者もいない憂鬱な世界

前々回のブログでかなり中途半端な書き方をした(というかただの前振りしか書かなかった)件がなんとなくまだ気になっていた事もあり、更に最近、またカンボジア進出日系事業者(飲食店)が店仕舞いされたという話を聞いたりもしたので、前振りした話の本編を少し。
注:かなりはしょっていますが・・すみません。



カンボジア(に限らず海外全般に)進出した企業や事業者の多くが、思うようにビジネスが進まず、やがて衰弱し撤退していく様を、アリーナ席からじっと見つめている傍観者達が抱く卒直な感想は、だいたい以下に収束される(と思う)。

「なんで(進出をあおる人たちの)口車に簡単に乗ってしまうんだろう」

「なんで(事業経営者のくせに)もっとしっかり事前調査や準備をしないんだろう」


自身で事業をやった事がなかったり、ひいては働いている身でもなかったり、老若男女・様々な立場の方々も含まれる傍観者皆様をして、

「なんでこんな簡単な事が分からず、当たり前の事ができないんだろう?」

と感じさせてやまないカンボジア日系進出企業・事業主。

卓越した話術とトリックを巧みに操る詐欺師達と、素人でもわかる道理すらわきまえてない放漫ボンボン経営者との、三谷幸喜の映画のようなコミカル悲喜劇が日々繰り返されるカンボジア首都プノンペン、、、これって本当だろうか。


筆者が存じ上げている方々に限っていうと、日系企業のカンボジア進出支援に取り組まれている方々はその事業に真摯・真剣だ。  日本でしっかりした事業基盤や経験を持たれてカンボジア事業に取り組まれている経験豊な経営者も数多くいらっしゃる。 

実際のところ悪徳詐欺師や経験不足な経営者も存在するだろうが、現状プノンペンを覆っている「日系企業の憂鬱」の大きな要因になるほどの影響力はない気がする。 目立つ事例もあるにはあるが、あくまでまだ特殊ケースの域を出ない。

皆が思うほど経営者はバカでは勤まらないし(筆者が当地で仲良くさせて頂いてる方々は尊敬できる経営者ばかりだ)、そんな経営者を手玉に取り続けられるハイレベルな詐欺師もたぶん存在しないのだ(筆者が知らないだけで、中にはいるかも知れないが)。


ではなぜ、皆が似たような憂鬱な状況に似たようなプロセスを経てハマっていってしまう(ように傍観者には見える)のだろう。

傍観者の1人でもある筆者が考えるに、各事例毎の諸事情は個別にあるとしても、その更に下層に横たわる構造的な原因がある(気がする)。 それはヒトの習性にまつわる極めてシンプルな話だ。

(1)
 ヒトは、見たい物を見たいようにしか見ない(聞きたい事を聞きたいようにしか聞かない)生き物である。

(2)
 (1)の習性による思い込みを強制的に全否定してくれる情報流入がない。


(1)はヒトに備わっている本能的な習性で、それに抗う事はヒトである以上極めて困難だ。 かなり意図的に意識するか、強い拘束力をもって強制でもされない限り、無意識にヒトの脳はそういう動きをする作りになっている。

(2)はカンボジアの環境要因だ。 
日本のように膨大な情報が多方面から(自ら取りにいかなくても)脳内に強制流入して来る情報社会では、気持ちよい勘違いを持続させるのは難しい。
が、そもそも情報流通量が少ないカンボジアでは、見たいものだけを気持ちよく見続ける事ができる(見たくないものはわざわざ見ないで済む)。


事実にはいろいろな側面があって、どちらから光を当てるかで見え方が変わる。 

360度全方位から撮った映像を眼前に突きつけられれば全体を見ざるをえないが、例えば情報の出し手と受け手が「見たい」と思っている側面が同じであれば、その裏側に光を当てなくても誰も文句は言わない。 むしろ当てると文句を言われる事もある。

「宝くじは買わないと当たりませんよ」という話に嘘はない。
でも「宝くじで一等が当たる確率は日本で交通事故死する確率の1/300未満ですけどね」という話は、売る側に話す義務はないし、また意外な事に、買う側にしても聞きたくない話だったりする。 


進出する側も、それを支援する側も、自らの事業に人並み以上に真摯に取り組んでいる。
マジメで優秀な経営者や支援者であればあるほど、自らの成功に信念をかけて臨んでいる。 普通のヒトのよりも(1)がそもそも強いのだ。

だから、支援する側も、真剣に誠意を持って、自ら信じる側面に強い光を当てる。
全員が全員、悪意をもって見せたい側面だけ見せているわけではないのだ(たぶん)。

一方、進出する側も、その支援する側の真剣さや誠意を感じるし、また本人自身も本能的に見たい側面が同じであったりする(これは無意識)。 そこで事業家同士、魂の共鳴が起こったとしても何ら不思議はない。


更に、カンボジアに来たばかりのタイミングで、ものすごい運命を感じさせる幸運な出会いがあり、それが(1)をますます増強する。

経験豊富で有能な進出支援者に会えてよかった、偉くて有力な現地パートナーが味方についてくれた、ものすごく性格が良くて日本語が上手な現地スタッフを採用できた、etc。

ヒトは、地球上に60億人以上のヒトがいて、自分がその中の1人であることを、頭の中では理解している(少なくともほとんどの日本人は)。

でも、自分の目の前に広がる世界しか世界として認識できないから、そこで起こる諸々の臨場感は圧倒的で、潜在意識的には常に世界の中心は自分である。

そんな自分に、他人には訪れるはずのない運命的な幸運が訪れたとしても、それを勘ぐったり疑ったりする事は、本能的に極めて難しい。 
自らリスクをとってカンボジアくんだりまで乗込んで来た自分に、そういう運命の出会いが訪れてもおかしくも何ともない。 成功した経営者には、だいたいそういう運命の出会い話が付き物ではないか。


ちなみに筆者にも訪れた事があるくらいだ(もう6年も前の話だが)ww

当時、筆者に訪れた(と本当に思った)望外の幸運は、その後6年間にわたりお会いした数多くの日本人から「この出会いがあったからカンボジア出ると決めたんです!」とか「ものすごく有能なカンボジア人がウチに入ってくれまして!」とかアツく語られるのを聞き続ける事で、悲しい事に雲散霧消してしまった。 
(上記(2)でいう、思い込みを全否定してくれる情報流入とはまさにこれである。)


狡猾手練な悪者も、救いようのない愚者も、実は(それほど)いない。 皆がマジメで真剣であるが故に、皆が憂鬱になる不思議な世界となっている(気がする)プノンペン。


・・・ここまでクドい長文を読んでくれた方に、今回の話で唯一役に立つ(かもしれない)処方箋を、以下2行でお伝えしたい。

良くも悪くも、自分の目の前に現れている事象は、だいたい他人の目の前にも現れている。 

そう思っているだけでも、回避できるワナはいろいろあるはずだ。
 

さて明日からもまたがんばろう。

2014/10/14

1,700億円の夢の行方:シェールオイルとカンボジア

カンボジアの首都(先進国基準で見ると小さな地方都市、というか街)と地方(先進国基準で見ると残念ながら分類先がないレベルの僻地)を行ったり来たりばかりしていると、普段見て触れるニュースが極めてニッチなスーパーローカルネタに偏りがちなので、出来る限り大局高所的なニュースの摂取も心がけるようにしている。

首都プノンペン中心地で奮戦されていた鶏鍋屋さんとか開店したばかりのラーメン屋さんとかたこ焼き屋さんとかが店仕舞いされた(らしい)のは残念だ。

アセアン進出ブームに湧く日系企業・事業家・若者皆様のカンボジア進出ラッシュにまつわる不具合な話も、何とか解決・解消される事を願ってやまない。

※なお、「不具合」といっても「悪いカンボジア人もしくは(日本人から見て)カンボジア在住外国人にダマされて困った」という類の話はほぼ皆無なので、カンボジア側に何か落ち度がある話はたぶん極めて少ない。

でもまあ、これらの香ばしいローカルニッチなニュース素材は、目や耳を塞いでいたとしても骨伝導みたいに脳内に直接配信されるようなスモールワールドに在住しているので、特に能動的に摂取を心がける必要はない。

で、前回ブログのように唐突に「円安ってどうよ」的な話(カンボジアからは遠いように見える話に)思いを馳せてみたりするわけだが、そんなモードの昨今、個人的に強く興味をそそられたは「シェールオイル」のお話だ。 

ちなみにまた「カンボジアから遠い話」のように感じられるかもしれない。 
確かにシェールオイル・ガス自体はカンボジアとは遠い。 けれど、ニュースになった話の原因構造自体は極めて近い(気がする)。 
筆者は資源系に関する知識(と興味)はほとんど持ち合わせていないので、興味をもったのはその構造の部分だ。
(だから本稿のラベルは「カンボジア時事」にしておく)


日本の5大総合商社の一角、住友商事が、9月末にシェールオイル開発で通算2,400億円の巨額損失をたたき出す事を公表した。

2015年3月期の予想利益が2,500億円だったそうだから、ほぼそれと同額の損失をはき出す事を宣言した格好だ。 
(懐かしい会計士的な発想によれば「ということはその翌期にはき出す損失もまだ残しているんだなきっと。。」とか邪推してしまったりもする。)

「投資決定は極めて慎重に進めたつもりだが、見通しが甘かった」というような反省の弁を社長が述べたとのこと。
4つの事業で大きく損失を計上するらしいが、そのうち資源開発関係は3つ、最も大きいのが米国テキサス州でのシェールオイル開発で、その損失総額は1,700億円、、らしい。


1,700億円というと、いまカンボジアでイケイケ業界筆頭といわれるマイクロファイナンス機関(≒消費者金融機関)全42行の貸出しローン金額を全部足した合計値とほぼ同額だ。
20143月末残高合計で1,516.36百万米ドル、1ドル≒110円換算で約1,670億円Cambodia Microfinance Associationのホームページより)


ちなみに、シェールオイルとは、頁岩(けつがん=シェール)という岩盤に閉じ込められた形で残っている石油の事で、シェールガスはその頁岩から天然ガスを取り出したもの、らしい。 
どちらも以前は取り出すことすら難しかったが、最近になって採掘する方法が編み出され、石油に代わる新エネルギーとして期待が高まっている、らしい。

先述の通り、そのシェール云々自体については筆者も全く知見がないし、カンボジアからも遠い話に感じられるが、「なんでそんなに大きな損失を出してしまったのか」についてのコメント各種に、不思議な「既視感」を感じてしまう。


「(後発ゆえに)なかなか資源メジャーにパートナーとして相手にされない・・後発商社であり、世界の資源大手に比べ情報が少なかった」(住友商事 中村社長)

「住商は大手商社の中で資源開発は後発組。このため関係者の間では”大手に追いつこうと焦ったのでは”との指摘が出ている」(経済記事)

「(非在来型のシェール鉱区を開発案件として)買った時期がブームの真っ最中で、取得コストが高かった面もあるのでは」(経済記事)

「資源ビジネス参入の遅れが、構造改革の遅れにつながった」(関係者)



 「何やら皆もやってて儲かりそうだ、早く合流しないと乗り遅れる」
・・という高揚感とアセりが相互増幅し、且つそういうモードに乗じてすり寄って来る、自薦・他薦問いません系の有象無象の”識者”の甘言にも揺すぶられつつ、結果として由緒正しい大企業なら「通常なら絶対しない」ような意思決定の連続が積み重なって1,700億円・・。
ウン億円単位でセシめた”識者”が、どこかカリブ海のリゾートあたりでニンマリとドンペリでも空けていたとしても不思議ではない(だろうか?)。


似たような話はおそらく古今東西、枚挙にいとまがない。
人間の脳が石器時代のそれから大して進化していない事を考えると、似たような状況の中で、似たような立場のヒト科霊長類が下す意思決定は、ほぼ似たようなものにしかなりようがないからだ。 
結果として生じるインパクトだけが、産業革命以降の人間社会の進化(人間の進化ではない)のおかげで巨大(金額換算で巨額)になっているだけだ。


大手総合商社がテキサスを舞台に踊ったシェールオイルの夢物語は、そこで働く全従業員(連結グループベースで約72,000人)の1年分の汗の結晶(今季の予想利益)を吹き飛ばした。 
そこまで壮大な夢物語にはなかなかお目にかかれないないとは思うが、それと相似形をなす小型バージョンがいくつか潜伏していたとしても不思議ではない今のカンボジア。

1,700億円という金額がちょうど符号していたから例にあげたマイクロファイナンスinカンボジアに限らず、それが飲食だろうが不動産だろうがXXXXだろうが、有象無象の人間達が似たような状況で業を営んでいる以上、似たような話はきっとどこかでもう芽吹いている。

似たような状況に陥らない事が極めて難しい事は、大なり小なり連綿とヒトの歴史が証明している。 そういう状況に陥らない唯一の予防策は、そういう状況になっている頃のタイミングを上手く見計らってその状況に近寄らない事、くらいだろう。 
では、そういう状況になっている頃とはいつなのか、、それはそれがみんなの話題に上る頃(今でしょ?、、古いw)、、という事だろう、たぶん。

酔っぱらいの禅問答みたいになりかけている(もうなっている)ので今日はここでお開きとさせて頂きます。。 なんかこういう話じゃなくて書く話があった気がするが、まあ良いか。


PS
資源の「埋蔵量」とは「技術的かつ採算的に採掘可能な資源量」。

「存在はしているけど採掘したらおカネがかかりすぎて元が取れない」、つまり採算的に採掘不可能な資源は「埋蔵量」としてカウントされない。

だから、技術が進歩して(技術の値段が安くなって)採掘して生産して元が取れるようになったら、それまで「埋蔵量」に含まれていなかった資源が「埋蔵量」になる。つまり「埋蔵量」は増えるのだ。

ちなみに「埋蔵量」としてはカウントできない例として「海水から採取できる金」があるらしい。 多額のおカネを投じても膨大な量の海水からチョットしか採れないから誰もやらない(つまり埋蔵量とは言えない)という類。

更にちなみにアメリカは、ここ数年のシェール革命のおかげで、自前の「埋蔵量」が莫大に増えたそうだ。 例えば先述の巨額な損切り敢行にいたった大手総合商社のここ数年間の奮闘も、きっと覇権国アメリカの国力増強に多いに貢献している事だろう。

 ・・という事らしい。
今回の件で関連情報を眺めていてとても勉強になった。地球はどうやらまだまだいけるようだ & やっぱり米ドル万歳♩


2014/10/08

話が違う大事な話(4):いよいよ来たか日本・・。

先月末に講演したカンボジアセミナーで話せなかった事をあとがき、、という前振りだけに終わってしまった前回ブログを受けて、次(つまり今回ブログ)はその「話せなかった『原因』」とやらを書こうと思っていた。

が、そこから数日経った今、なんとも興味深い別件が。。。。
このパターン、その『原因』とやらを書かないままネタが自然消滅する流れになる気配も漂うが、まあそうなったらそれはそれで、その程度の話だったということでご容赦頂きたく。 
所詮、徒然なブログである。<(_ _;)>


10月に入った途端、筆者的にはすっかり「大好きな出張先」という位置づけになって久しい我らが日本で、図ったかのように一気に吹き出してきた「値上げ系」ニュース。


10月に入って今日まで、日経新聞の記事だけからコピペで抜き出しただけでも、そうそうたるラインナップである(以下、いくつかの記事の抜き出しコピペ)。
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スターバックスコーヒージャパンは(10月)1日、「ラテ」など12の飲料をそれぞれ10円程度値上げする。

「餃子の王将」を展開する王将フードサービスも人件費や豚肉・鶏肉価格の上昇を受け、ギョーザなど大半のメニューを5~86円引き上げる。

国内航空3位のスカイマークは、経営の悪化に伴って26日から大部分の路線で運賃を上げる。

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は自動車保険料を平均1.9%、東京海上日動火災保険は0.9%引き上げる。

UCC上島珈琲社長の上島昌佐郎(43)はコーヒー生豆の調達価格の報告を受けながら悩んでいた。・・「企業努力の範囲を超える水準だ」。111日から家庭用レギュラーコーヒー全品の25%値上げを決断した。

即席麺は各社が2015年1月の値上げを表明した。
7年ぶりの値上げを打ち出した日清食品は「春からタイミングを計っていた」(幹部)。消費増税の直後は避け、輸送費などの上昇に耐えてきたが、限界がきた。

ジーンズ2990円、Tシャツ990円。
「ユニクロ」では円安が進み始めた8月から、商品の値札に「0」が増えてきた。従来は2848円、943円だった。今年の秋冬の新商品から、本体価格を約5%上げている。
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国内航空3位については当社固有の別問題にも大きく起因してそうだが(w)、そこ以外の所では関連する面白い記事もあった。 

産経新聞に載った以下の記事では、値上げの理由としてなぜか「食の安全」を前面に押し出していた。

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「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは8日、同日からギョーザの主要食材と麺用の小麦粉を国産にしたと発表した。
7月に中国で起きた期限切れ鶏肉使用問題などで、食の安全に対する消費者の関心が高まっていることに対応した。

同社は10月から、ギョーザを税抜き価格で20円値上げしており、国産化で食の安全面を強化して、価値も引き上げていく戦略だ。
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中国発の「食の安全、大丈夫なの?」系のニュースは、古くは毒入り餃子から今日まで遡っても枚挙に暇がないはずだ。

それが、いよいよ「食の安全を強化」して「価値(値段じゃなくてw)を引き上げて行く」戦略を採ったのが、なぜかこの円安旋風吹き荒れる今のタイミングだったのか、偶然の符号であろうとは言えとても不思議だ。
日本を代表する外食大手が、「円高」の間は「食の安全」に目をつぶっていた、、なんて事は当然ないと思うので、ただタイミングが重なっただけに違いないと思うが。



とまあ細かい言い訳 諸事情あろう理由はさておき、日本の「(家賃と人件費は高いけど)実は消費の値段はアジア水準」(≒デフレ)を気合いで維持しながら、日本庶民の生活を本当の意味で下支えしていた「縁の下の力持ち」達が、一斉に「もうムリ」と縁の下から離脱し始めた。 (高級品のスタバは除くw)

かなり広範囲かつ業界横断的なデフレ系代表企業達の「横並び」白旗アナウンス。 
事前に示し合わせ等がないとすれば驚くべき「阿吽の呼吸」である。  


一方、政治の世界も「揺らぎ始めた」感満々のリリースが目立ち始めた。
以下、同じく今月の日経記事の抜粋コピペだが;
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円相場が6年1カ月ぶりに一時1ドル=110円台をつけた1日夜、首相官邸で開かれた経済財政諮問会議は「円安は日本経済にプラスかマイナスか」に議論が及んだ。

「円安でも輸出が動いていない」。

いらだちもにじむ官房長官の菅義偉(65)の発言に、普段の諮問会議では無口な日銀総裁の黒田東彦(69)が応じた。
「大企業製造業の収益状況は日銀短観でも良くなっている」
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いよいよ流石に「あれ・・?」と感じざるを得なくなって来た政治家系と、なんとか取り繕おうとする(ように見える、私見)官僚系のやりとり模様が、なんともコミカルで面白い。

政治家系的には「あれれ?? こうなるはずではなかったんじゃなかったっけ??・・」という戸惑いを隠せなくなってきた状況ではないだろうか。
一方、官僚系的にも「あれ、ちょっとまだ早いだろ・・?」という想定外なデフレ企業群の息切れではないだろうか。 円安 + 株高で消費税の次のアップ決定までは景気回復イメージを演出したかった、、はずだ。(全て筆者私見)


「円安が全てを解決する」という幻想が、大手メディアからも「それは幻想です、たぶん」と公言され始めたのは、実はつい最近の事(ここ数ヶ月前、たぶん)。

で、この2014年10月を境に、幻想ではないかという「想像」ではなく、「給料が上がらないのに、身近な生活必需品が値上げされてきた」という「事実」が突きつけられ始めた。
2014年10月は、何か大きくフェーズが変わった転機な気がする。


先述の日経記事(コピペには入れなかったが)にあったユニクロ社長の談が、筆者的にはかなり象徴的だ(ものすごく的を射ている)。
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ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正(65)は「円安などによる収益低下を我慢してきたが、値上げしないと給料を払えない」と話す。
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今までは「給料を上げなければ」我慢できていたが、もう「給料を払う(維持する)」だけのためでも値上げしないとムリ、、というのは超訳に過ぎるだろうか。



この辺の話、実は本ブログで、今年(2014年)の1月に3回に分けて徒然と書いている。 

確か本ブログとしては初めての「次に続く」、という形で、なんと3話に及んでしまった大作(w)だ。 しかもカンボジアとあまり関係ないネタで。。。ww
(3話目のみURL → 「話が違う大事な話(3)


今読み返して見ると、まさに汗顔の至りとしか言いようがない文章だが(今もたいして進化していないがw)、今回は間を空けてのその続編(4)と考え、半年前にその恥ずかしい文章で書かせて頂いた(1)〜(3)の内容を以下ざっくりまとめると;

======
①円安になったら、きっといい事が起こる 
②円安になったら、たぶん困った事も起こる 

それぞれのどういう事が起こるかというと;

①輸出が増える → 企業が儲かる → 給料があがる → しかも日本で生産した方が更に儲かる → 雇用も増える → おまけに(企業業績が良くなるから)株価もあがる

②海外から買うものが高くなる → ガソリンや食材など生活必需品の値段があがる

①は皆が大声で合唱してきたが、②は小声過ぎてあまり聞こえて来なかった。

①と②は同時に起こるかも知れないが、①>②になるんだろうから、きっと皆が幸せになれる、、という風にしか周りからは聞こえない。

でも、もしかしたら
   は、ただの希望(実際に起こるかどうか分からない)なんじゃないか?
② は、本当の定理(実際に起こるはずの事)なんじゃないか?
(②の所で、円安以外の要素として、カンボジアにも見られる諸価格上昇に触れた)

もし①が起こらず②だけが起こってしまっても、みんな商売頑張って乗り切りましょう。
=======

という話を書いた(つもり)なのが2014年1月。
で、2014年10月、とうとう現実に
「①が起こらないまま、②だけが起こり始めた」事が公になってきた。
いま、各大手新聞の記事が伝え始めているのは、顕在化し始めたその不都合な事実の断片達だ。

給料は上がらなくても、物価が上がらない(or 下がる)状況であれば、実質的な所得は変わらない(or 上がっている)。 
失われたウン十年と言われながらも、日本人が(平均的には)あまり貧困に喘いでいるように見えなかったのは、決して見間違いではない。





・・・これ以上クドく長く書くのも何なので、ふと思いついて、弊社がカンボジアで事業をスタートした2008年9月から今日(2014年10月8日)までの円/米ドルレートのチャートを、ネットで検索して拾ってみた。


赤線で||と入れたあたりが、弊社が円ベースで資金調達を(何度か)させて頂いたタイミングである。
当然、カンボジアでの事業なので調達の都度ほぼ全てドル転させて頂いている。



完全に偶然だし、事業はまだまだ道半ばにも来てないけれど、何やら気持ち良く寝られそうな今日である。 Good night ♩


【追記(10月9日)】
本ブログをアップした後、10月8日の日経新聞朝刊をふと眺めてみたら、総合1面に以下2つの記事が仲良く並んで載っていて驚いた(以下抜粋コピペ)。
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日銀の黒田東彦総裁は7日の金融政策決定会合後の記者会見で、1ドル=110円に迫る円安は「景気にむしろプラスだ」と強調した。
景気の現状については「所得と支出の前向きな循環を維持している」と指摘し、回復のもたつきは一時的との見通しを改めて示した。
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ルー米財務長官は7日、ワシントン市内で講演し「強いドルは米国にとってよいことだ」と述べた。
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日銀総裁が「円安(=ドル高)はプラス」と言い、米財務長官も「ドル高(=円安)はよいこと」と言っている。 しかも同日、10月7日。 この日の日経総合1面はかなり象徴的なページな気がするので、備忘的に追記しておきます。

日本のこの空気の中で、ドアップ写真付きでここまで言い切れる日銀総裁の 某省益に対する 揺るがぬ 執念 信念にはある意味感服。

アメリカが明確にドル高政策を打ち出したのは、歴史的に過去2回。
どちらも、大きな資金環流によってアメリカの財政が劇的に改善している。。でどこかの国が犠牲になったりしている(確か)。

たいして持っていない円資産だが、どうしようかそろそろ本気で考えようかな。




 

2014/10/04

カンボジアセミナー講演あとがき:話せなかった「原因」について


先月末に東京で講演させていただいたカンボジアセミナー、平日午後のお忙しい中多くの方々にお越し頂き、また参加された方々から講演内容についての有難いご感想・フィードバックも頂いており、大変感謝しております。


「思う所」があってこちらから主催者側(アジア経営者連合会事務局)にご提案させて頂いた機会でもあり、話させて頂けるとすればその趣旨・内容も明確に決めてはいたが、その内容的にそもそも話すべきかどうか少し迷うところもあった。 

が、結果的にはお話させて頂いて良かったと思っている。

頂いたコメントやご感想には、ある意味想定通りというか、やはり類似する内容のものが多かった。 
代表的なコメントを(コメント頂いたご本人の承諾のもと)、以下そのまま抜粋コピペさせて頂くと;
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カンボジアへは数度、前職にて投資、出店のお話を頂き、訪問しましたが、

あの時現地日本人の皆さんが一様にしていた
『奥歯に物の挟まったような言い回し』や、

現地コーディネーターの
『何とも言えない、違和感』

私が感じたすべての『疑問』の答えを得ることができました。
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今回の講演、内容的には「カンボジア現地で深く覗き込まないと見えない生情報とその解説」に出来る限り比重を置かせて頂いた。 

お忙しい中時間を割いてご足労頂いた皆様に、講演時間が1時間程度という時間制約の中で、「来た甲斐があった」と思って頂くには、どういう情報を提供するのが良いか・・?

・・と考えた結果、やはり現地でしか知り得ない「事象」+ 出来る限りシンプルで分かりやすい解説、という組み合わせがきっと最も重宝されるだろう、と判断したわけだ。

つまり表面的に発生している「事象」を(あえて刺激的なものを選んで)お伝えする事に、意図的に比重を置いたわけで、結果的にその「事象」が発生している「原因」は何なのかについては深く言及しない(できない)形となった。


本ブログで「あとがき」を書こうと思った理由の1つは、講演でその「原因」に触れなかった事の理由について、特に何らか「触れるべきではない理由」があったわけではない(単なる時間制約による比重配分の結果だった)事を伝えたかったからだ。 


もう1つの理由は、やはり筆者が感じる所のその「原因」について、どこかでまとめておきたいだと思ったからだ。 そういう備忘録的なものを残したいときブログはとても便利だ。

なぜ日系企業のカンボジア進出が上手く行かないケースが多いのか、その「原因」について。  今回の講演の提案をさせて頂くきっかけとなった「思う所」の部分である(あくまで私見)。

それは「最初に出会った相手が悪かったから」とか「調査不足もしくは調査した情報に基づく経営判断ミスがあったから」などの個別事情的な原因ではなく、ヒトとヒトとが情報やりとり・判断・行動するにあたって構造的に陥りがちなワナのようなものだ、と筆者は考えている。


一匹のイルカが岸に打ち上げられて死んでいたら、その個体を襲った何かの不運を気の毒に思うしかないが、大量なイルカの死体が打ち上げられていたら、個体の事情ではない何か別の原因があるのでは、と勘ぐる人も多いだろう。

日本でそれなりに(個別様々だが)ビジネス経験がある事業経営者が、カンボジアでなぜ多く似たような状況に陥って、似たような事で悩むにいたるのか。 
経営者個人の力量や才覚の違いによる優劣が見えるフェーズよりもっと前の段階に、共通して陥りすい構造的なワナがある、気がする。


ちなみにそのワナを回避できたとしても、その後の事業が上手く行く保証になるわけではないが、そのワナにハマったら迷い込みがちな回り道(膨大な時間と予算と精神力の浪費)を回避できるとすれば、事業を進める上でプラスになることは間違いない。

そんな事を思うに至った事がきっかけで、先月の講演でお話させて頂く事になったわけだが・・・その構造的な原因とは何か、はまた次に。  引っ張ってすみません(= = ;)