2015/12/31

2015年大晦日、といえばアセアン経済共同体発足

2015年も本日が最終日、いわゆる大晦日である。

3年ぶりに日本で年を越す事になる今回だが、久しぶりに感じるこの時期の日本はまさに正月モード。 昨日30日はスーツ姿で外回りする筆者が閑散とした街中で妙に浮いている感じがしたし(自意識過剰だっただけかもw)、さすがに31日本日はアポが入らない。

一方、普通の平日であるカンボジア現場からは元気なLINEメッセージや業務メールがガンガン送られてくる(これは当然あるべき姿である)。  やはり2国間を行き来しながら進める事業では、連休じゃない方の国に滞在する方が仕事的な精神衛生上では好ましい状態である事は間違いない。 

カンボジアと日本、世界各国との比較的で見るとどちらも祝日が多い方の国に属するが(特にカンボジアは27日ほどあり、世界No.1との呼び声も高い)、不思議と連休が重なる事が少ない。  
カンボジアでクメール正月やら王様誕生祭やらと大型連休が続く4・5月は日本的には新年度スタートを切るの時だったり(日本のGWはちょうどそのカンボジア2大連休の狭間にある)、日本が夏休み・お盆休みモードになる7・8月にはカンボジアに祝日が1日もなかったり、といった具合。

よって、両国各々の連休から逃げるように約4,000Kmの反復横跳びを繰り返す生活が、気付けばもう8年目を向かえているが、今年は久しぶりに日本の正月休みモードを満喫させて頂く事になる。 ただしカンボジア現場とのやりとりでスマホやPCとにらめっこしながらだけどw

さて本日2015年12月31日は、アセアン的な視座からすると結構重要な転換期(というか起点)となる大事な日である。 本日付けで、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国による広域経済連携の枠組み「ASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community、以下AEC)」が発足する。 本年最後の締めとなる本稿はちょっとカタめなこの話。

このAECという単語の日本での認知がどれくらい普及しているのか(筆者的には)定かではない。「アセアン」と聞けば東南アジアに縁が無い人でも「なんか聞いた事ある、タイとかベトナムとかでしょ?」的な反応が多いように思うが、「エーイーシー」と聞いても「???」という感じ、、が多数派ではないだろうか(筆者私見)?


AECとは何か、をざっくりと言うと、ASEAN10カ国の域内において、「ヒト・モノ・カネ」の流れを自由化・円滑化する事で、ASEAN域内全体を擬似的な一つの市場・一つの生産基地として機能させよう取組み・・・を実現するための施策や制度、取り決めの総称だ。


ASEAN10カ国域内とはこの諸国全域(日経新聞朝刊より)

加盟国に対して法的強制力を持つ(かつ通貨も統合されている)欧州連合(EU)とは根本的に異なる構想で、総論的には自由な貿易圏をお互い協力して作りましょう、という(EUに比べて)緩めの概念であり、各論となる具体的な施策・制度・取り決めは自主性を持った各国間で調整しましょう、という話。  各国が何かに強制的に従わなければならない類の話ではない。

流れの自由化・円滑化とは、具体的にいうと「ヒト」に関してはビザ発行の緩和・撤廃や、職業資格の相互承認(A国の看護師さんがB国でも働けます、的な)、「モノ」に関しては関税の撤廃や通関手続きの緩和、「カネ」については送金や投資ルールの緩和・コスト低減、など。 
これらの具体的なルール作り・国家間取り決めを個々に実現していったら、最終的にはAECが完成する(実質的に経済統合している)、というストーリーである。

ありがちな「総論賛成、各論反対」のスタック状態にすぐさま陥りそうなこの物語が、それなりに実現しそうな説得力を持って語られているのは、「モノ」についてのお話が既に先行してそれなりに実現しているからだ。

ASEAN先行加盟国の間ではすでに品目数にして96%が関税撤廃されていて、我らがカンボジアを始めベトナム・ラオス・ミャンマーの後発加盟4カ国を加えた全域でも関税撤廃率98%超えが現実的に見えて来ている。


ASEAN域内の経済回廊も現実に整備が進んでいる(日経新聞朝刊より)

一方、「ヒト」や「カネ」については、各論反対までとは言わなくとも「各論未賛成」のままズルズル行きそうな気配も濃厚である。

「モノ」の流れの自由化実現をにらみ、すでに国家間をまたにかけた事業資源分散の動きが始まっている。 
タイのサイアム・セメント・グループは年明け1月からカンボジアのカンポット州に建設した工場で年間100万トンの製造ラインを稼働させる。
三菱マテリアルはすでにエアコン温度センサーの工場をラオス首都ビエンチャンで稼働、中核部品はタイから輸入している。

「モノ」の自由な流れは実現しそうな状況をにらみ、生産拠点(人件費の安い国)への建設・生産(にまつわる雇用)シフトが現実に起こってる中で、各国が自国産業や雇用を守りたい思惑も分かりやすく見え隠れする。

どこで損してどこで得をとるか、意外と分かりやすいASEAN国家間交渉・攻防が年明け以降の経済・政治紙面を賑わしてくれる事を期待したい。
(まあ、実際のところはアメリカやら欧州やら中国やらISやらのネタに比べれば地味過ぎる事は確実だろうけどw)


AECが実現すれば、域内人口はEU(18カ国)の5億820万人を大きく上回る6億2000万人、域内総生産はさすがに18兆ドルもあるEUには遠く及ばないが2.5兆ドル(約300兆円)という巨大な経済圏が構成される事になる。


ASEAN10カ国を足し上げるとこれくらいの規模に(日経新聞朝刊より)


カンボジアを拠点に(つまりASEAN域内で)事業をする身としては、当然意識すべき経済の大波(の胎動)である。  
まあ、まだ始まってない話(今日発足w)なので、実際に起こるドタバタはこれからのお楽しみとなるが、新たな枠組みや制度が始まってそれがしっかり整備・運用されるに至るまでのタイムラグの狭間こそが機動力あるベンチャー企業の稼ぎ時。   ASEAN経済が大きく動き始める(はずの)2016年の幕開けに期待したい。


・・・・今年最後のアップとなる本稿。 今年も結局、軽め・短めなトピックはほぼ皆無で、むしろ更に長く(文章も未投稿期間もw)クドくなってしまった。
グルメネタもFB投稿ばかりで本稿では皆無。 昨年末も似たような反省をして今年全く改善しない(むしろ悪化)する結果となったので説得力が一切無い事は重々承知しておりますが、来年はより軽め・短めにトライしていく所存です。

本年もお付き合い頂きありがとうございました。 来年も引き続きよろしくお願いいたします。

良いお年をお迎えくださいませ <(_ _)>

2015/12/22

地中海の美しい島とロシアマネーとカンボジア

2015年も残すところもう10日を切った。 本当にあっという間に過ぎ去った感ある本年、筆者としては事業的にも個人的にもいろんな意味で濃厚な一年であった。 関係者皆様、本当にいろいろとお世話になりました。来年もひとつまた、よろしくお願いいたします。

さてこの時期、カンボジア的には日本のような正月モードにはならないとか、クリスマスには本気出すモードになるとか、その辺りの時候の挨拶的なカンボジアネタは前回サラッと書いたので、今回はちょっと飛び地の不思議なお話を。



プノンペン唯一の政府公認カジノ&ホテルである「ナガワールド」を運営する「ナガコープ」が、地中海の小さな島国「キプロス」で開発されるカジノリゾートの運営権の入札に参加する、と報道された。


「ナガコープ(Naga Corp Ltd.)」は2003年に香港に設立された「ナガワールド」運営会社で、カンボジア政府から首都プノンペンおよびその周辺地域におけるカジノ独占営業権(1995年から70年間)を取得していると言われており、2006年10月には香港証券取引所に上場している(いわゆる外国人も投資できる中国株の一銘柄)。 


現在プノンペン中心地にそびえる「ナガワールド」に続いて、その隣接地に「ナガ Ⅱ」(?)なるカジノホテル&商業施設(?)も絶賛建築中であり、かつまた既に絶賛営業中の「ナガワールド」も増築工事がなかなか完了しないまま(いつも敷地内にクレーンが設置されている)、建物の入り口の位置や内部の施設配置が常に目まぐるしく変化を続けている。


ミッキーマウスの生みの親で知られるウォルト・ディズニー氏が「ディズニーランドは永遠に完成しない」と述べたのは世界的に有名な話だが、まさかそのあたりを意識してずっと完成させないつもりなんではないか、、と勘ぐってしまえるほど、永遠に増築工事を続けられる体力がありそうな、何にせよ絶好調な香港上場企業である。


で、そのカンボジアの絶好調カジノホテルの運営会社が、距離にして5,000Km近く離れた地中海の小さな島国のカジノリゾート開発にわざわざ手を出す(カンボジアの開発もまだ完成してないのに、、永遠に完成しないのかもしれないがw)、という不思議な報道。




キプロスはアナトリア半島(トルコ共和国のアジア側)の南、地中海の東端に浮かぶ風光明媚な島国で、イギリス連邦加盟国でもありEUにも加盟しているれっきとした共和国である(正式名はキプロス共和国)。


古くからエジプトとメソポタミアをつなぐ海上交通の要衝にあり、古代オリエント諸国、エジプト王朝、ローマ帝国、ヴェネツィア共和国、と歴代の大国から支配を受けて来た。 その古い歴史の時代からギリシャ系住民が数多く住んでいた(今でも公用語はギリシャ語だ)が、16世紀にオスマントルコに征服されるやトルコ系住民が大量に移住し、以来ギリシャ系住民とトルコ系住民が対立する構図が続いている。


現在、ギリシア系はキプロス共和国(南キプロス)、トルコ系はキプロス連邦トルコ人共和国(北キプロス)に分かれており、北キプロスは国連加盟国の承認をほぼ受けていない(トルコのみ承認)ため、一般にキプロスというと南のキプロス共和国(ギリシャ系の方)を指す。


もともと漁業と観光しか産業のない小さな島国であったのに加え、この民族間対立・紛争も重なり、国家としては極めて貧しい状況が続いたキプロスだったが、その打開策として見出した戦略が金融立国への道、つまりタックスヘイブン化であった。


イギリス統治下であったため英語が普及していた事など、そもそも金融立国化に適した素養を有する国ではあったが、このキプロスの存在感が一気に大きくなったのは巨額のロシア・マネーの大きな受け皿となってからだ。


もともとロシアとギリシアには宗教的・文化的つながりが深く、またロシア人の地中海への憧憬もあって(だからカンボジアにいるロシア人もシアヌークビルが大好きだ)、キプロスはロシア富裕層に人気の高い観光リゾートとなっていた。


ソ連が崩壊し自由化した後のロシアでは政治的混乱が続き、自由化のどさくさで財をなしたロシア富豪達は、その富を守るためにやっきになって海外に財を移転しようとした。そのタイミングとキプロスが金融立国に向け舵を切ったタイミングがうまい具合に合致した。


こうしてキプロスは金融事業を軸に90年代に急速な成長を遂げ、キプロスの1人あたりGDP3万ドルに達し、欧米の先進国と肩を並べるまでになった。


・・・・とまあ、「キプロス」の説明がえらく長くなってしまったが(多くの日本人にとってはかなり馴染みの薄い国だしw)、この「キプロス」が結構話題になったのは2012年に起きたギリシャ危機の時である。(今年起こったものではなく、その前)。



当時ギリシャが財政破綻に陥り、EU主導でギリシャ国債を保有する金融機関などは最大50%もの債権放棄を強いられた。 その問題となったギリシャ国債を「キプロス」はかなり大量に購入していた。



「キプロス」にはその素性や出所を(ほぼ)問わない諸々のロシアマネーが大量に流入し、現地金融機関にはそれを運用する責務があった。 そこで自分たちをギリシャ人だと思っている「キプロス(南キプロス)」の金融マンが当然のように「安全かつ高金利」と思って買い続けたのがギリシャ国債だ。



そのギリシャ国債がほぼデフォルトに近い状況となったとき、「キプロス」が取った選択は、は、10万ユーロ(約1200万円)までの少額預金を全額保護し、それを超える大口預金をペイオフ(保護対象外)とする事だった。要は大口預金者の預金額を没収する(債権放棄の原資に充てる)と宣言したに近い。 

このような暴挙(?)がまかり通ってしまった(議会を通ってしまった)のは、大半の「キプロス」国民自身は少額預金者の枠を出ず、大口預金者はほぼ全てロシアマネー(後ろめたくて反論できないお金)だったからだろう。




・・・ますます長くなってしまったが、この話がなんで筆者にひっかかったかというと、ちょうど当時、カンボジア携帯通信会社の合従連衡が盛んになりはじめた時期で、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いのSmartが、当時あったHelloを買収した際、そのマネーが「キプロス」を経由していた事が判明したからだ。

2013年初頭、Helloブランドを展開していたマレーシア系携帯電話会社ハロー・アクスタシア(Hello Axiata Co. )は、同じくSmartブランドを展開していたラテルス(Latelz Company Ltd)を買収し、HelloSmartに統合。 買収額は総額で15500万ドル(当時レートで約130億円)と伝えられた。

マレーシア携帯最大手がカンボジアのSmartブランドを丸ごと買い取った形になったが、このマレーシア大手相手にSmartを売り抜けたラテルスという会社は、「キプロス」に本店を持つロシア系企業であった。オーナーはTimeturns Holdingsというロシア系持ち株会社。

つまりロシアマネーが「キプロス」を通じてカンボジアに来ていたわけで、そのマレーシア大手が支払った15500万ドルも、おそらくは「キプロス」に送金されていたはずだ。

でその頃、「キプロス」は10万ユーロ超の預金は保護対象外としていた。 果たしてその15500万ドルは「キプロス」に送金しちゃって本当に大丈夫なんだろうか。。。

・・・と、筆者が全く人ごとながら心配した記憶が残ってます当時、、というお話w


しかもそのギリシャ危機があった2012年の6月、筆者はなんと偶然ギリシャに行っていた。 で、当時買ったギリシャの「地球の歩き方」に「キプロス」もオマケのように載っていた(旅行的にはやはりギリシャに近い国なんだろう。行かなかったけど)。 
なので、「キプロス」という名前が何となく頭に残っていた、、という縁もあって、そのSmartHello統合話に出て来た「キプロス」にちょっと興味を引かれて、いろいろ調べた、、という当時の経緯。


そんな「キプロス」の名前が最近また出て来た我らがカンボジア。
3年前は携帯会社の買収で、今回はカジノリゾートの入札。 いよいよ愉快な空想・妄想が膨らんでくる。


・・昔は静かな港町だった、ロシア人が大好きなカンボジア南西部シアヌークビル。 今や欧州系の旅行の達人達が集う穴場ビーチリゾートとして絶賛開発中である。

昨今急激な開発とともに、街中で車が爆発したり怖い集団の大物ロシア人が国外退去させられたり(噂)、、などと、ハリウッド映画並みの抗争劇が現実に市内で繰り広げられたりして、ロシア人にとってどうも商売しづらい場所になってきた。

そこで彼らが目をつけた、こちらもロシア人が大好き地中海アイランド「キプロス」のカジノ開発話。 カンボジアの「ナガワールド」が「キプロス」でもカジノを運営する事になって、両国が兄弟カジノで結ばれれば、何やらステキな事がたくさん起こりそうだ。

例えば仮にロシアから「キプロス」に持って来たルーブル(ロシア通貨)やらユーロやらを、カジノで増やして(増やせなくてもカジノ・コイン化して)、 VIPのコイン残高をデータ管理にしてそのコインをカンボジアの兄弟カジノ「ナガワールド」でも使えるようにしたら・・・絶賛米ドル経済なカンボジアで引き出したコインを自由に米ドルに交換できるじゃないか。

これって2つの主権国家が正規ライセンスを与えた香港上場会社が正規に運営する両国カジノを通じた地◯銀行、、、いや、無駄でも今時のIT技術をかませて枕詞に「フィンテック」と銘打てば当面は錦の御旗となってアングラ扱いされなそうだし、香港上場している「ナガコープ」も「フィンテック銘柄」になって株価急騰、「キプロス」のカジノもどこかに上場させちゃうのも夢じゃない ♪

今は中◯人 (とホントは来ちゃいけないのに何故かいる小リッチ系カンボジア人※)が我が物顔で占拠する「ナガワールド」も、そのうちロシア人に浸食され始めたりして、、2階のカラオケにいる女性も今は中国人とカンボジア人だけだけど、そのうちロシア美女が。。 そういえば最近プノンペンで出張者を連れて行く定番となりつつあるらしい「R◯CK」にはもうロシア美女のダンスショーがあるって聞いたなそういえば。。。すでに浸食が始まっているのかもしかして・・♪


・・・・以上(シアヌークビルが云々からのくだり)は何の根拠もない筆者の空想・妄想ですww
(※:カンボジアのカジノはあくまで外国人専用で、カンボジア人が自国カジノを利用する事は禁止されている。)




最近、アメリカ財務省が、日本とカンボジアでマネーロンダリングに関わっていたとされる日本人の米国内資産凍結と金融取引の禁止(おそらく米ドル預金凍結)措置をとった、という報道もあった。
見えない所で意外とスリリングな巨額ブラックマネーの応酬が行われている・・のかもしれない我らが小国カンボジア。



まあ、さて現実に舞い戻った一零細民間企業の弊社社長としては、そんな空想をネタをつまみにたまに妄想広げる夜を楽しみつつ、目下日中は極少マネーを真っ当に稼ぐために日々奮闘する毎日です。 さて年内もうひと頑張り!

・・・長いな今回も、、しかし二回に分けるほどの話でもないし、明日には忘れてるかもしれないし。。やむなしw

2015/12/13

最近流行のイノベーションとカンボジア:フィンテックと民泊とUbarとカンボジアの・・・

気がついたらあっと言う間にすっかり今年も年の瀬。 
日本ではそろそろ年内手仕舞い&正月突入モードになっているかと思うが、カンボジアは(というか弊社は)おそらくそうでもない。

カンボジアは暦年の正月、中華系の旧暦正月(来年は2月初旬)、カンボジアの正月(毎年4月中旬)と、正月が年に3回も訪れるとてもおめでたい国ではあるけれど、暦年の正月は1月1日が祝日になるくらいで、その他2つの正月に比べてそれほど盛大に祝う(というか休む)期間となっていない。 むしろその手前のクリスマスに本気モードになるのが例年の通例である(有り難いことに祝日化はしていないけど)。


ハロウィーン、クリスマス、正月、バレンタイン、など諸々、各々の歴史的起源やら宗教的背景やらには頓着せず無節操に全て飲み込んで祝ってしまうあたり(なぜか感謝祭はその対象に入っていないあたりも)、日本とカンボジアに何か根底で通じているものがあるのではないか、、などと日本&カンボジア両方好きな面々が抱きがちな”つなぎたい妄想”が、祝日の長期休みが来るたびにふと頭をよぎったりするが、何にせよカンボジアは現在、特に正月気分という感じではないことは間違いない。


かつ、ガチクメール現地企業である弊社としては、当然ながら来年2月8日を春節(旧暦の元日)とする中華系旧暦正月は絶賛通常営業予定であり、世の中の趨勢はさておきお休みにはしない。 

家族が中華系の流れをくむ社員達は当然、法令に定める有給休暇を取る権利はあるので、それを有効活用してもらう事になる。  
ちなみに、むしろ有休を消化せず余っている社員が多い事が最近の小トピック@弊社になっていて、年内12月のムチャな有休消化(12連休とかw)を防止しなきゃ、、という流れから、いよいよ来年から社員旅行が導入されそうだったりするが、何にせよ来年からは年間まんべんなく計画的な有休消化を促す事になっているw

ということで、11月の水祭り大型連休のあと、来年4月(のカンボジア正月)まで長期連休がない12月〜3月はカンボジア事業として走り時なので(かつ弊社事業的には繁忙期だし)、正月モード一切なしで突っ走る所存であります。 
あ、ちなみに些事ながらこの年末年始は3年ぶりに日本で過ごす事になります社長(筆者)はw 社長がいなくても現場は意外と回るのです(ようやくだけど。。w)。

とまあ、細かい弊社事情はさておき、今回はつい先日12月11日の日経朝刊に気になる記事が同時に掲載されていたのでそのお話。 その記事というのは下記の2つでして、、。
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<国際送金、即日決済に 〜世界の大手40行が結束し短縮>
日本の3メガバンクを含む世界の40行以上の大手銀行は国際送金を抜本改革する。
これまで3営業日ほどかかった決済期間を短縮して送金の当日に完結させ、手数料も銀行間で開示して透明性を高める。1~2年内の実現を目指す。

・・(中略)・・金融とIT(情報技術)を組み合わせたフィンテックの発達で異業種からの安い決済サービスの新規参入が増えたことに世界の大銀行が結束して対抗する。

・・(中略)・・資金移動の情報はリアルタイムで依頼人や受取人に知らせ、取引がどの段階にあるのか分かるようにする。中継銀行など複数の金融機関が関わって不透明だった手数料も銀行同士で価格を開示し、最初から顧客に提示できるようにする。手数料を比べやすくなるため、手数料の引き下げにつながる公算が大きい。枠組みは2年後の稼働を目指すが、一部は2016年9月までに先行して始める。


<「民泊」許可制に 自民小委が確認>
自民党の観光立国調査会の小委員会は10日に会合を開き、一般住宅に旅行者らを有料で泊める「民泊」について、厚生労働省が旅館業法で定める「簡易宿所」の基準を緩和して営業許可を出す方針を確認した。
今年度中に同法の省令を改正して解禁する見通しだ。訪日客の急増で都市部ではホテルが不足。政府は観光立国に向けた受け入れ体制の強化を進める。

・・(中略)・・現在はインターネット仲介を通じ、大半の貸し手が違法状態でサービスを提供している。厚労省は営業許可を実際に出す都道府県などが民泊の状況を把握し、トラブル時などに迅速に対応できるようにする。
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①については、「なんだ、やろうと思えば出来たんじゃん」と感じざるを得なかった、というお話。

「国際送金は中2〜3日かかるもんだ」とえらく長い事「金融常識」として我慢を強いられてきた「不便」に対して、今やすっかりビジネス用語として市民権を得た「フィンテック」を司る新興系皆様が、一昔前はマフィアやテロ資金の温床とも言うべき「地下銀行」などと揶揄された諸々所業を、エスタブリッシュにITを駆使してる事を前面に押し出しつつ「人の役に立ってます」と合唱しはじめた途端、既得権益にあぐらをかいていた旧態系皆様(大手銀行)がやむを得ず不便解消に乗り出した、というお話で、やろう思えば(やらざるを得なくなれば)あっさり解消できたんだ、やっぱりね・・・というのが概要である。

②については、既得権益をお持ちの皆様が「伝家の宝刀」だと思っていた許認可ラインセスに関して、当局からあっさり梯子を外されそう(新興系の方々にもあっさり宝刀が割り当てられそう)というお話。

「爆買い中国人」に代表される大量の訪日外国客が、既存の旅館やホテルがあまりに予約とれない(既存の旅館・ホテル業者が対応しきれない)せいもあって、インターネットで簡単に一般個人宅宿泊先を探すのが定着化してきた(そういう手配を生業とする「AirBnB」など新興系の方々が現れた)。
それに危機感をおぼえた既存旧態系の皆様(旅館・ホテル)が、「そういう個人宅宿泊は旅館業法に違反している」として抑えに入ろうと声を上げていたが(小声にしかなってなかったがw)、当局側があっさり「むしろ許可した方が国益にかなう」とOK出す流れになりそう、、というのが概要である。

どちらの話も、小粒ながら勢いある新興勢力が、旧態依然とした体制やら既得権益やらを突き崩した感があって、話を聞く限り庶民感覚では痛快の極みである事この上ない。

ところで経営の神様といわれるピーター・ドラッガーによると、「イノベーション」とは世の中により大きな価値、新たな価値や行動を生み出し、市場や社会に変化を与えるもの、らしい。

「イノベーション」と聞くと(文系な筆者だけかもしれないが)何か難しい技術や知識の発明の事かと感じてしまうが、ドラッガーによるとそれは「イノベーション」を起こす道具であって、実際の「イノベーション」とは「結果として生まれる、今までに世の中になかった新しい価値や新しい行動」を指すようだ。

よく例えに挙るのがアップルのiTuneやiPodで、「イノベーション」はiTuneの土台となってるネット技術とかiPodを作る機械技術ではなく、それらによって「消費者による音楽の買い方や聞き方が激変し、更には歌手や音楽に関わる会社の動き方や稼ぎ方が激変した事」が「イノベーション」と呼ぶべきもの、なのだそうだ。  

「イノベーション」を発明された技術や知識と捉えず、社会を変化させる価値や行動(を生むもの)だとすれば、上記の①・②はまさに「イノベーション」と呼ぶべきものだろう。

国際送金が即日で行われ(送金情報もリアルタイムに把握できて手数料も安くなる)、宿泊する先が空いている個人宅になる(高層ビルの夜景がキレイなマンションもあるだろうし、田舎の素朴な和風一軒家もあるだろう)。 
既存の旅館・ホテル・銀行も、これに対応して自らの動き方を(存在理由そのものですら)変えて行かざるを得ない。 何やらすごい話だ。

今年の11月にシンガポールで、今や大事業投資家になってしまった前職同僚と食事に行った際、彼が当たり前のように使っていたタクシー配車サービス「Ubar(ウーバー)」を体感してかなりの感動を覚えた。
ホテル入り口の前(出たとき客待ちタクシーはいなかった)で、彼がスマホをちょちょっと打つと、ポンの何かレスが帰ってきて、数分後に車が到着(なぜかジャガーだった、たぶん普通の個人車)。 で、降りる時も小銭支払いがいらない。 スマホのアプリ経由でクレジットカード決済されるらしい。 
ニュースや情報で「知っている」のと実際に体感して「わかる」のとの違いを久しぶりに痛感させて頂く体験であった。

その翌日に、インドネシアで盛り上がっている「GO-JEK」というサービスを知った。
渋滞が酷いインドネシア首都ジャカルタで庶民の足となっているバイクタクシー(現地語でオジェック、OJEK)のUbar型サービスで、Ubarのタクシーと同様にいつでも呼び出せ、しかも買い物代行やデリバリー、ケータリング、出張マッサージ師手配までやるらしい。
実際にUbarを体感した翌日だったので、その凄まじさ(凄まじく広がるだろうという予感)にとても衝撃を受けた。


11月にシンガポールで衝撃をうけ、12月に日経新聞の上記ダブル記事に感心させられ、、、筆者にとって今年2015年後半は、今世の中に起こっている「イノベーション」を一気に体感させられるとても印象深い期間となった。
(実際は各々もうとっくに起こっていて、筆者は遅まきながら今更知っただけ、という話だけどw)

なお、筆者の今年最初の「イノベーション体感」は、実はもう少し前に起こっていて、今年の6月あたりに「ドラッガーと論語」という本を読んだ時だった。

本著いわく「技術革新としてのイノベーションとは最も遠いイメージにあるが実際はイノベーションであるのが『割賦販売』」で、その代表例として農耕機具の割賦販売が取り上げられていた。


『ドラッガーと論語』(安藤歩著)のp100-101。 筆者がやっている事もまさかのイノベーション。。

なんと遅まきながら筆者がカンボジアでメイン事業とやっているのは、技術系イノベーションとは最もかけはなれたイメージながらも「イノベーション」なのだそうです。 自身でやっているので間違いなく筆者自身が「体験」している事が、事後的に「イノベーション」であると分かった、というお話。

ということで、ドラッガー関連書籍にお墨付きを頂いたと自分勝手に判断し、筆者のカンボジアメイン事業(農機の割賦販売)もドラッガー的イノベーション認定されたものと勝手に思い込ませて頂きますw  自分で思い込むだけなら人畜無害のはずですのでw

もしかしてUbar、AirBnB、フィンテック系と同じ括り・・・?  まあユニコーン(一角獣 ※)にはなれなそうだけどw ・・あくまで筆者の独り言ですが、、以上ですw

(※ユニコーン:企業評価額が10億ドル以上の非上場ベンチャー企業を指す最近の業界用語)




2015/11/30

質・量ともにコスパ無限大w:便利で不思議なカンボジア進出ガイド

今年の11月も残すところあと数時間(カンボジア現地時間的に)。 
明日にはもう今年の残りもあと1ヶ月を切る事になるけれど、もう時間が過ぎるのが早過ぎる云々とかわざわざ言うのも飽きて来たそんな心境な今宵inバッタンバンです。

とりあえず1ヶ月に1本の投稿ではブログ的にどうか、、という思いで今何か書こうとしているわけだが、そういえば先週の日本出張の間にお会いした方々に配布させて頂いた以下の雑誌(というかフリーペーパー)が、読んで頂いた方々からご好評頂いているのでその話を少々。 「Cambodia Business Partners」というカンボジアの日系事業者向けビジネス進出ガイドについて。



筆者自身も記事を寄稿させて頂いているという立ち位置なので、十二分に割り引いて聞いて頂いても構わないのだが、自身の寄稿記事は捨象したとしても、量・質ともにこのレベルのカンボジア現地ビジネス情報(幅広い各業界で実際に前線にいるプレイヤーから直近情報をインタビューしてまとめている、日本人以外からも。)を一冊にまとめたものをフリーペーパーで(タダで)配るというのは、実際果たしてどんなもんだろう、、と余計な心配をしてしまうくらいお買い得、じゃなくてもらい得な冊子である。

年に2回刊行されるので(アップデートされる部分はされるし、されない部分は前号と同じ内容、という感じ)、カンボジアのビジネス情報を網羅的に知りたければこのフリーペーパーを毎回入手していればだいたい事足りる。
なにせタダなので、コスパはどう計算しても∞(無限大)である。 現地視察でいろいろ聞き回る前に1度は目を通しておく意義のある一冊かと思われる。


で、このプリペーパーとは創刊当初からご縁あって、不肖ながら拙稿を特集記事として毎回掲載させて頂いているのだが、なんとなく筆者自身の事業・商売ネタから離れた内容を寄稿させて頂く傾向が続いていて(客観的に傍観している立ち位置の話の方がいいかな、、と思ってのことである)、今号では以下のようなネタをお披露目させて頂いている。

「活況カンボジア不動産投資 〜 リスクとリターンを見極めた先に映るその正体は?」

リンクが貼られている、という事はその通り、すでにネット記事としても配信されているわけで(実は発刊した翌週くらいにはすでに配信実施済みw)、まあその辺はフリーペーパー(タダでお配りするもの)ならではの太っ腹感、、といえばそうだが、まあ広告主の皆様的には冊子を手に取ってもらわないと困るはずでもあり、その辺の事情と配信タイミングとの兼ね合いはどうなんだろう、、、とまた余計な心配もしつつ、まあそろそろいいかな、という判断で本日本稿にてお披露目させていただいた次第である。


客観的な傍観者という立ち位置で書かせて頂ける内容を寄稿する、という方針で過去3回掲載させて頂いており、実際初回はイオンモール開業の舞台裏、2回目は飲食店サバイバル、という、自身の事業・商売ネタとはかけ離れた内容を書かせて頂いた。
(筆者はほぼ確実にイオンモールにも出店しないできないし飲食店もやらないやれないw)

でも今回の不動産投資ネタは、個人的にはかなり興味がある(なんらかビジネス的に関与したい)テーマである。 
2年前までは一切興味がなかった(手を出すべきシロモノでは絶対にないと確信していた)対象だが、昨今はかなり面白いと思える投資対象に見えて来ている(それなりの根拠とともに)。 当然、本当に関与するなら、然るべき情報源とネットワークが必要になるけれど。

まあ、実際筆者が個人的に興味があるのは記事の後半少し触れている「プロの領域」の部分に限られるけれど、リスクとリターンが見合ったフェーズでのコンドミニアム投資もそれなりに面白い投資対象である(と思う)。 ポイントは、所有権だ法律だという(大切だけれども)枝葉末節な論点に過度にとらわれず、自分は果たして何に投資しているのかという実態を俯瞰的に眺められるかどうか、の一点に尽きる。


カンボジアで何か事業を始められようとされているそこの方々、今お考えのその事業だけだと当面苦難の道を辿らざるを得ない(確率が極めて高い)ので、ご自身の事業成長とは関係なく起こるであろうカンボジア経済成長に賭ける分散投資を少し考えてみる価値はあろうかと思われますよ。。。。と、まあここは酔っぱらいの戯れ言と聞き流して頂きたいw

さて明日12月1日もがんばろうinバッタンバン。

2015/11/19

突然変異!新プノンペン国際空港。。ここはカンボジア?

11月も半ば過ぎ、いまだ何ら余裕が生まれる事もなくバタバタと稼働・移動を続けつつ、10月末にギリギリ投稿アップした後また半月近く経過してしまった。

昨年までの4年間で1回しか開かれていないオリンピック並み(あるいは日暮巡査の起床頻度並み)の開催頻度を誇っていたカンボジア独自最大の年中行事「水祭り」が今年も諸々の理由で中止となり(オリンピック開催 or 日暮巡査起床を下回る低頻度を達成)、とはいえ大型連休になる点は変更なし(祭りはないのに11月24日〜26日の3連休)ということで、ほぼ習性となっている連休国滞在回避行動の一環としての日本出張に向かう本日、まあ日本にいる間にブログ一本あげるかな、、くらいに思っていた。

が、そのネタを考えあぐねていたタイミングで、このプノンペン国際空港の驚きの変貌ぶりを目の当たりにしたので、今回はその映像(というかiPhone写真)を中心にビックリした衝撃をリアルタイムでお届けすることでお茶を濁す事に決定させて頂きました。 
まあすぐに皆に知れ渡る事になる景色となるだろうけれど、お披露目後まだ日が浅いホットなうちは一定の価値があるだろう、ということで。


ということで、どうも数日前にオープンしたらしいプノンペン国際空港新出発ターミナルはこんな感じです。。。。 ここはカンボジアなのか?



 なんかそれっぽく近代化した風貌な搭乗口あたり

そうかここに出来るのかスタバ一号店inプノンペンは・・・。

それっぽく本屋が、、体裁にこだわらずフード系にしてくれた方が実効性あると思われて仕方ないが。

ラウンジがそれっぽく上層フロアに。。なお上りエスカレータが動いていなかったのはデファクト系ご愛嬌

プレミアム感漂わせる事に成功しているラウンジ入口

過去知っている限り最大人数@空港ラウンジのレセプション。 対応は極めて過ぎるほど丁寧。

いやキレイすぎ且つ広すぎだろプノンペンにしては1

いやキレイすぎ且つ広すぎだろプノンペンにしては2

いやキレイすぎ且つ広すぎだろプノンペンにしては3、ちなみに満腹中につき食べなかったけど。

いやキレイすぎ且つ広すぎだろプノンペンにしては4

バーカウンター。。。過度に丁寧、、、でも要らないだろ基本。

予想外に堪能させて頂きました新ターミナルの新ラウンジ。。

ただ難点なのはこの紙を2枚しかくれない(∴酒類フリードリンクは2杯まで)なう、な事。 多すぎるスタッフ減らしてでも飲み放題にしてみる価値はある、と提案したい。セルフサービスでも無問題OKなので。

オープン間もない後発新興国プノンペン空港ラウンジまでカバーしているプライオリティパスの営業攻勢には感服するばかり。


・・・ということで、ご帰国の際にぜひご堪能くださいプノンペン国際空港新出発ターミナルの新ラウンジ。  そろそろ搭乗なので以上、現場から中継でした。

2015/10/29

歪みが生んだ美味しい特典:保険のおかげで快適生活 in カンボジア

もう10月もほぼ終わり、今年も残すところあと2ヶ月強。 
本ブログ投稿は今月たったの2回目。 また20日以上間が空いてしまい、我ながらもっと手短か・気軽にアップできないものかと少し頭を悩ませたりしている。

間が空いた理由としては、カンボジアの本業の方で精神的にも業務的にもパンパンだったから、、という毎度の言い訳が主ではあるが、今回特有の理由として挙げられるのは、日本に出張に行っていた10月中旬の約1週間、愛機のパソコンが手元になかった事だ。

日本出張前のカンボジアにて通常業務中、ふとした事から愛機パソコン(古めのMac Book Air)のキーボードがおかしくなった。 
キーボード右下の3つ続きのボタン「M」「、」「。」が反応しなくなった、、というのがその変調である。

この3つが打てない状態での日本語入力はかなり至難の業である事はすぐ判明した。

ビジネスメールの枕詞「お疲れさ"ま"です」に始まり、ほぼ全ての文章が「"ま"す」で終わる日本語文章では、”ま(MA)”が打てないのはかなりの致命傷となる。
かつ句点(。)と読点(、)もダメになっているものだから、文章を区切るたびにタイピングに急ブレーキがかかる。 

実際どうやってかというと、以下のようなキーボードビューアーを出して、「M」「、」「。」のたびにクリックしていたわけで。。


Macのデフォルト日本語入力ソフト「ことえり」の機能の一つ、キーボードビューアー。ま行のたびにここをクリック。。。

代替機パソコンなんて気の利いたものは常備していない状況で、しかも”ま”が打てない状況では長い日本語文章は書けないし、修理に出した愛機がApple指定の修理屋さんに丸4日間入院してたし・・・あたりが冒頭の「特有の理由」(というか言い訳)にあたるわけだが、本稿のトピックはそんな言い訳ではなく、この修理代を「クレジットカード付帯海外旅行保険」(以下「カード海外保険」)にほぼ負担して頂いてしまったという事実に関するエトセトラである。


変調(というか故障)はカンボジアで起きた。
が、別に凸凹の田舎農道をひた走る車内だったとか、混雑したプサー(市場)で人波に揉まれまくったとか、いかにもカンボジア特有の事情で起きたわけではなく、ただその壊れたタイミングでカンボジアにいた、というだけである。 
ちなみに現場は首都プノンペンの空調効いた快適なカフェで、故障は普通にメール打っていた最中に起った。

故障した後、いろいろとお世話になっているMさんとの雑談中に「ちなみに今、私のMac、”ま”が打てなくてキツいんす。。」とこぼしたところ、「それって保険が使えますよきっと」との素晴らしい天啓を頂いた。 Mさん、感謝です。

カード会社のサービスデスクに電話し、教えてもらった保険会社連絡先に電話。「海外からですと通話料高いでしょ」とホスピタリティ満点な折り返しお電話を頂いて、いろいろご丁寧に説明を受けた。 で、日本宅に送られた書類に、日本滞在中に諸々記入して投函。  


何枚か記入する書類が送られてきたが、それほど面倒なものはなく、事前の電話説明もとても丁寧でした。

その後2週間ほどで日本の銀行口座に保険金28,212円が静かに振り込まれていた。
(消費税込みの修理代金総額31,212円から自己負担3,000円差し引かれた金額)

日本のカフェで故障していたら当然自腹である(Appleの保証期間はとうに過ぎている)。カンボジアのカフェで故障したら9割戻って来た。 ・・何か邪な思いがふと頭をもたげてしまいそうで怖い(もたげないけどw)。

特に高い年会費がかかるわけでもない普通のクレジットカードにも付帯しているこのカード海外保険には、医療の方でかなり何度もお世話になっている。 
今後もカンボジアにいる限り、当面はしっかりした日本人のお医者様による治療をタダで、しかもキャッシュレス(その場の支払いも不要、保険会社が病院に払ってくれる))で受けられる特典待遇が続きそうである。
(参考ブログ:「驚きの即効性&キャッシュレス:医療inプノンペン」)


このカード海外保険、どうやら各保険会社にとっては「止めたいのに止められない赤字商品」らしい・・という話もある。 

圧倒的大多数の日本人が現状たまにしか海外旅行に行かない中、たいして高い保険料を取れるわけもなく、実際にこの保険をフル活用して便益享受しているのは相当「事情通」な輩(筆者もその末席に?w)が多く、保険料収入<<保険金支払い、が常態化している状況・・・にも関わらず、どの保険会社もこれを横並びでラインナップしているので、自社だけ止めるわけにもいかない・・的な鬼っ子商品らしい。

普通はすぐに消滅してしまう「歪み」がイビツな競争状況のせいで消滅せずに残存してしまうこの手のケースは、その「歪み」に気付いて触れられる人からその恩典をフル享受すれば良い。。。という私見のもと、今後もお世話になり続ける所存である。



一方、カンボジアでの保険サービスにも強力なものがある。 
現地保険会社(大手3社)が競争にしのぎを削る中で生まれた、極めて高い防御力を発揮する自動車保険である。

カンボジアでは車に関する小さいトラブルや故障(サイドミラーが盗られたとか・・)などは少額ですぐ治せる(異常に早いw)一方、運転中の人身事故や他人所有資産の物損などは、相手との交渉が極めて面倒である。 

仮に現地人相手に事故を起こした場合、事故の原因がどう見ても相手にあったとしても、事故周辺にいる人々や警察までもがほぼ全員相手(現地人)の味方になるし、英語で対応してくれるわけもないし、外国人が単身で奮闘するには極めて過酷な状況となる。

その場合、外国人がすべき事は保険会社に電話すること、誰とも何もしゃべらないこと。
それで保険調査員がくれば、あとは全て丸投げ。 これで全て(示談交渉から決済まで)がほぼ解決する・・らしい。 筆者は幸運な事にまだこういった人身事故や物損事故で保険のお世話になったことはないが、経験者から伺うに「最強の守護神」と崇めるに足るパフォーマンスだとかw

現状カンボジアにおいては、相手を死亡させてしまう人身事故でも補償の相場は数千ドル程度と言われる。  
実際、最近とある地方で通勤中だった多数の工場労働者に観光バスが突っ込んでしまう痛ましい交通事故があり、カンボジアの地方裁判所が加害者の会社に命じた遺族への賠償金支払額は各3,000ドルだったというから、実際そのあたりが相場なんだと思われる。

人命に対して安すぎる相場についての是非はさておき、当然示談などの交渉は外国人にはハードルが高すぎるわけで、そんな時に頼りになる守護神が年間300ドル〜700ドルくらいの保険料負担で雇えるという状況である事は間違いない(金額は車種による)。

日本とカンボジア、各々の保険業界の熾烈な競争状況のおかげ(?)で生まれた、保険ユーザーに有利すぎる恩典の数々。 
保険会社から見れば言葉通り止められない「出血大サービス」絶賛継続中である。

美味しく歪んだ保険サービスを上手に活用して新興国ライフを♪



2015/10/03

「カンボジア進出に役立つ公的サポートって何ですか?」と聞かれたら

カンボジア事業を始めて8年目に突入したこの9月、いつもの月以上にあっという間に駆け去って、もう今年も第4四半期。 あと3ヶ月弱で今年も終わりである。

ビジネス関連の話で詳細は書けないが(というか仕事の話は全然書けない事ばかりだ最近。。。)、この9月はいろんな状況が一気に大きく変わった。 
いくつか事業を営んでいる事もあって、各々は直接のつながりが全くない事も多いのだが、それら各々の事が急変する時は何故か同じタイミングで一気に起こる、という、、こういうの、確か何とかの法則とか言う類であったような気がする。 
新しい事が急に始まったり、既存の事の状況・周辺が激変したり、、まあ、基本前向きな話(前向きに捉えるべき話)ばかりなのだが。

2015年9月は弊社事業にとって何らかターニングポイントになる月になる(後から振り返れば)事はたぶん間違いないので、起った事を日付ベースでメモに書き残しつつ、また半月近く放置してしまった本ブログでは全く別のお話を。 


ここ最近何回かあった話だが、日系企業のアジア進出ブームがまだ続いているからなのか、それともピークを超えたあたりだから見られる現象なのか、弊社のような地味で目立たない所にまで「日系企業の進出をサポートするための有用な情報収集」のためのインタビュー面談依頼を頂いたりする。 
ズルズルと長いこといろいろな事をやってる弊社から、あわよくば何かネタになる話を拾えれば、と思って頂けるのか、わざわざ訪ねて来て頂いたりする事が続いた。

来られるのはやや公的な匂いがする肩書きやお題をお持ちの、しっかりした感じな調査会社さんやコンサル系の方々。 公的な匂いというのは、要は日本政府のご予算で動いている方々というニュアンスだ。 

この類の方々が動き出すのはだいたい事の終盤戦・・な気がするせいで、なんとなくブームのピークアウトの予兆を感じてしまったりするのは、単なる個人的な経験則に基づく所感であり、客観的な根拠があるわけではない。

ちなみその偏った経験則の基となっているは、筆者がカンボジア事業始める前に勤めていた頃の経験である。
その会社は著名な某戦略系コンサル会社幹部の方々が「いよいよベンチャー投資をしよう」と2000年に独立・起業した会社だが、後で振り返って見れば日本のベンチャー投資第一次勃興期のがまさにピークアウトしてるなうなタイミングだった(そのあと数年は残り香が続いたおかげで当社も上場できたりしたけど)。

頭の良い人々が「いよいよ満を持して」事に踏み切るタイミングというのは、「だってあんなヤツラが先行しただけで散々いい思いをしてるじゃないか」という忸怩たる思いを散々感じ続けた後で、「やはりこのブームは一過性のものではなくホンモノなんじゃないか」といよいよ決断するに至った時、である事が多いので、つまりそれは諸事のピークアウトタイミングと重なりがちである、、、というどうしようもなく浅い仮説がその偏った経験則所感の根拠である。 

それはさておき、そういう公的な方々が
「(日本の税金を財源として)日本の企業が東南アジア進出するのをおおいにサポートしたいのですが、何をしてあげるのが一番喜ばれるでしょうか?」
と聞いて回ることは、何をいまさら感など一切感じる事なく、個人的にはとても良い事だと考えている。
何をするにつけても遅すぎるという事はないし、そういう事に(正しく)税金が投入される事は、おそらく日本にとっても喜ばしい事に違いない。


ちなみにこの類の件でわざわざ弊社まで訪ねて来られる方々は、現地でより目立つ有力・有能な先を既にいくつも回られたうえで、調査の終盤戦でついで程度に弊社にもお立寄り頂くケースが多いようで、すでにいろいろ得られているのであろう情報から「カンボジアって結構ムズカしい所っぽい・・ですよね。。そうでもないですか?」と香ばしい方向へ話が展開したりする。

筆者的には会話の上でとても面白い反応が見られるポイントであり、いったいどこで誰に何を聞いてきたのか、ときに極めて興味をそそられたりする(わざわざ聞かないけど、話してくれる分には清聴するw)。

しかしこちらからお返しできる話としては、この公的な類の質問への回答はほぼ決まっているから、録音したものをお流しする等の形でも実効性だけで見れば全く遜色ないのだが、とは言えわざわざご足労頂いた以上そういうわけにもいかない。 ちなみにどういう回答かと言うと;
ーーーー
①事を始めるためのタネ銭を補助してあげて。 かかったお金を後払いで(面倒な書類書かせて)清算という形じゃなくて、ドカンと先に与えてあげて。 

②現地で頼りになる水先案内人をお墨付きで紹介してあげて。

で、①と②を比べると②が圧倒的にムズカしいから、シンプルに①を(極力簡単な方式で)用意してあげて、以上。
ーーーー

要は「四の五の言わず税金を回してあげて。公的にできる事でもっとも有り難がられるのは事に先立つそれ(カネ)ですよ。」という身も蓋もない話である。

しかしとはいえ、身も蓋もないおカネ以外の付加価値も彩りに添えたいというお気持ちも理解できるし、その分かりやすいネタの一つが②のリストだったりするようなのだが、本当に真相に迫る②のリストはそうそうたやすく出来上がるものではない。 

狭いカンボジアの邦人社会、隣近所がしがらみあう中、町内を最近1、2周され始めたご新規さんに既存住民の風評善し悪しを尋ねられても、本当に詳しい人ほどまず話さないですよ。。まあ1年くらいプノンペンに住んでみて毎日のように邦人が集まる場所や会に顔を出していれば、嫌でも見えてくる事があるかも知れないですけどw・・・・というような話も勢いついでに申し添えたりする。

・・微力な弊社にわざわざ来て頂いてもこんな程度の話しかできません、、悪しからず。
で、ホントに誰も来てくれなくなったら、、「そういう方々はきっとこのブログをお読み頂いているんだ」と前向きに解釈する心の用意はできておりますw  


あ、今回は話のネタに関する写真が一つもない・・のでなんとなく今朝バッタンバンの田舎道で撮った写真をw
狭い選択肢の中どのルートを採ったところで凸凹は回避不可である。。せめて最小ダメージなルートをw

2015/09/19

いろいろ起こった9月の日本:たわいもない雑感

9月もあっというまに前半戦が通り過ぎた。 既存の状況に大きな変化が起こったり、新しい展開が始まったり、いろいろな事が同時多発的に起きた結果プノンペンに妙に長くいる事になったり(バッタンバンに3日しか行けず)、相当面倒な事が起こりすぎて逆に面白可笑しく感じてきたり、とまあ個人的にはかなり濃厚な半月だった。。 まあいろいろあるけれど、新たな局面を面白可笑しく乗り切る所存である。 
・・・具体的に書けない事柄の感想しか述べてないふわっとした感じの冒頭で恐縮です。

で、ここしばらく毎月のように短期出張に来ている日本に今もまた滞在中だが、こっちもこっちでいろいろな事が起きているようだ。

今月前半戦だけで、熊本の阿蘇山は噴火するわ(今年に入って桜島、箱根山、蔵王山、口永良部島など、日本全国至る所で噴火や火山活性化が多発している気が・・)、50年に1度の歴史的豪雨で津波みたいな川の氾濫は起きるわ、東京湾を震源地とした震度5弱の地震は起きるわ、チリの大地震のせいで津波が来るかもと身構えざるを得ないわ、、天災や自然災害がほとんどないカンボジアに慣れきった感覚から眺めると、ホントえらい所に国があるものだ、と感心するばかりである。


今年6月にプノンペンの某居酒屋で見たDVD「日本沈没」。2006年の映画(主演:草薙剛&柴崎コウ)で当時はあまり世間にササらなかったらしいが、、今見ると日本在住者ならきっとビビるはず。。

とまあそんな激動(?)の日本にいるせいか、何やら変な夢を見た昨夜。 
とても可笑しな夢だったので忘れないように、半月以上アップしてない本ブログに備忘録を。

ちなみに今回は表題の通り、カンボジア情報とは全く関係ないたわいもない夢の個人的備忘録なので、カンボジア情報のみご興味持って頂いている方々におかれましてはご遠慮なく読み飛ばして頂けますと幸いです。

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とある町内で一番の腕っぷしを誇る不動の番長、剛田武(通称ジャイアン)は、ある時弱いくせに生意気にもたて突いてきた骨川スネ夫に腹を立て、ちょっとやり過ぎなくらいにやっつけてしまいました。
特にスネ夫に大けがを負わせてしまったゲンコツ2発は、それ以降広く町内外でも「子供のケンカでゲンコツはタブー」との不文律が生まれるきっかけとなりました。

それでも当時不動の番長となったばかりのジャイアンは謝るなんて事はしません。 
それどころか、大けがを負ってしまったスネ夫に対して謝る代わりにこう言いました。

「これからはオレがお前を守ってやる。お前は今後誰に何をされても、絶対に何の手も出すな。オレが代わりに戦ってやる。オレがやられそうになってもお前の助けはいらない。お前は何があっても誰とも絶対にケンカしないと誓え。」

当然ジャイアンにはその後のいろいろな思惑もあり、別に謝罪の意味でこう言ったわけではありません。 一方傷だらけのスネ夫は素直にそれを誓いました。


・・・・それから何十年か過ぎました。

スネ夫はジャイアンとの約束を守り続け、ケガも回復して元気になりました。
誰に何をされようが一切ケンカはしない(できない)一方、ジャイアンが常にバックにいてくれて、しかも実家が一気にお金持ちになった事も手伝って、町内外でかなり幅を利かせるようになりました。

町内外の誰もが「スネ夫に手を出したらジャイアンが黙っちゃいない」という事を知っているので誰もスネ夫に手を出せません。 だからスネ夫は誰からもカツアゲやイジメを受けることないお金持ち坊ちゃんとして悠々と日々を過ごしていました。

でもジャイアンの心の中には次第に不満がたまってきていました。
(スネ夫に何かあったらオレが守ってあげないといけない。でもスネ夫はオレを助けないでいい。 町外のヤツラとケンカがあっても、あいつは仲間にお菓子を配ってくれるくらいでケンカには加わらない。 最近スネ夫の家の近くも小うるさくなってきてるし、これってやっぱりズルいよな。。)

最近、スネ夫の家にすぐ近い隣町では、周とか金とかいう輩が偉そうにしているそうで、こちらの町内にチョコチョコとちょっかいを出してきているという噂もあります。 
そんな事が家の近くで起きているのに「自分はケンカには加われない」といい気になってるスネ夫に次第に腹が立ってきました。

とはいえ「何があってもオレが守るから、何があっても絶対ケンカはするな」とスネ夫に誓わせたのは他でもないジャイアン自身です。
ジャイアンは、番長として自分で言い出した事を曲げるわけにもいかず、何十年も前のスネ夫との約束を悶々と守り続けていました。

とはいえ我慢も限界に近づいたジャイアンは、何かにつけてスネ夫に対して「そろそろケンカに参加しないとみっともないしズルいぞ」と言外の圧力をかけてくるようになりました。スネ夫もさすがに「そろそろヤバいかも。。」と感じ、とうとう骨川家での家族会議にかける事にしました。

骨川家での家族会議はモメにモメて、とうとう親類・縁者も巻き込む騒ぎになりました。
「男子たるもの、自分を守るために自分で戦えないでどうする!」(父)
「ケンカは絶対にしない、というこの子の姿勢は学校の先生方やクラスのみんなにも評判良いのよ」(母)
「剛田さんとこの武君が守ってくれるんでしょ、昔ひどい事されたお返しでもあるみたいだし、そのまま守ってもらえばいいじゃないの」(叔母)
「守ってくれる友達が困ってる時には、やっぱり助けに行かないとよくないんじゃないか」(伯父)
話はいっこうにまとまりません。

でとうとう深夜を過ぎて、みんなが疲れきった頃、一家の長であるお父さんが男気ある伯父さんの意見も汲み取り、スネ夫にこう告げました。
「やはりこれからは友達が困っているときは助けに行きなさい。 取っ組み合いのケンカになったら、、友達も自分も守らないとな。」

翌朝、スネ夫は町内一頭が良い出来杉君にこの話を伝えました。 出来杉君は「そうか・・がんばってね」と一言だけ伝えました。

出来杉君は、野比さんの家に居候している未来から来た猫型ロボットとお茶を飲んでるときに、ふとこの話を思い出し、ロボットに少し話ししました。
出来杉君:「・・・・もったいないよね。」
ロボット:「・・・・そうだね。」
ーーーーーーーーー

ここで目が覚めました今朝。 
カンボジアでは今日は土曜日半ドン、気を取り直して現地メンバーみんなとのメールやLINEの業務やりとりを開始した今日の午前中でした。 
おわり。


2015/08/31

カンボジア不動産購入 ≒ 未公開ベンチャー企業投資?

気がついたらもう8月最終日。 カンボジアで事業始めて以降、毎年(かつ年々強く)感じる事だが、月日の経つスピードの速さが尋常ではない。

そういえばカンボジアで事業を始めた(定款登記等を済ませ会社として正式に事業スタートさせた)のが2008年9月1日なので、今日で丸7年が経過。 明日から8年目に突入である。

カンボジア事業を始める前に勤めていた職場には、ちょうど丸7年在籍していた。

創業期から参画していた会社だったが、創業初期の頃に創業者オーナーいわく
「この会社は事業家になるための士官学校みたいなもので、7年で卒業して事業家になるべし!」
的な事をおっしゃっていた事を、参画当時の新人の頃はまさか自分事と意識はしなかったが、何となく覚えてはいた。

で、独立しようと思った時期がちょうど7年経つ頃だったこともあり、意図的に退社日と入社日の日付けを合わせてピッタリ7年在籍という形を整えた。 
前職丸7年の次に人生で長くやった事といえば小学生(丸6年間)である。 

で、本日とうとうカンボジア事業期間 = 前職在籍期間となり、明日からは「人生で一番長くやっている事はカンボジア事業です」と言わざるを得ない言える事になる。

まだ何も成し遂げていないのでめでたくも何ともないが、まあ個人的には何かの節目である。 人生で一番時間を使っているカンボジア事業、きっちり形にしていく所存である。


さてそんなどうでも良い所信表明的な小ネタはさておき、今日のお題は 自称 絶賛経済成長中の新興国カンボジアで諸方面の意味合いでいよいよ盛り上がりを見せてきているナウな不動産界隈について。


プノンペン未来都市を目指して絶賛開発中(自称)ダイヤモンドアイランドに建設予定の「リヴィエラ(D.I.Riviea)」。開発業者は現地大手OCIC。
どこかで見たようなビルの風貌・・って、そもそもホントに建つのか?(私見)w


筆者は不動産界隈には全くのド素人なのであまりタッチしていないが、とはいえカンボジアで事業をする=何事にせよド素人スタート的にならざるを得ない、という側面があるのもまた事実である(他国での玄人的経験が活かせない不測の事態が常時乱発するからw)。
だから、むしろスラムダンク的に「XXかぶれの常識はオレには通用しねえ、シロートだからよ!」的な気概で、常識論を問わず進めた方が結果いい事があったりもする。

筆者もカンボジアで農業始めた時は(というか今も・・)当然全くのシロートだったわけだし、それが曲がりなりにも丸7年(明日から8年)なんとかやっていると、不思議と人に何か言えるものが残ってきたりする。 
で、そのうち(オレはカンボジアの農業王になる!)などと、どこぞのゴム人間海賊的な妄想をこそっと心の中だけでつぶやくようになったりもする。


それはさておき、諸々盛り上がってるらしいカンボジア不動産ってどんなもんなんだろう、、とチョット界隈をのぞいてみると、いろいろ香ばしい諸々が起っていて何やら楽しそうである。 で、誰が誰をどうした云々というゴシップの方ではなく、投資スキーム的な方で「あれどこかで見たような。。」と感じる話を見つけた。 

コンドミニアム(日本的に言うとマンション)の部屋など分譲物件を購入する際の”プレビルド方式”と呼ばれるお金の投入方法である。
(カンボジアだけでなくタイ、マレーシアなど東南アジアではけっこう一般的らしい)


日本の不動産投資開発会社クリードグループによる高級コンドミニアム「ボダイジュ・レジデンス(Bodaiju Residense)」、最近公表されたばかり。 
日系だとやはり「完成するまでキッチリやりきるだろうな」と思ってしまうw



もうよくご存知の方々も多いと思うが、要はまだ未完成(というかまだ建設予定、ビルド(Build)の前だからプレビルド)の物件を、図面とショールームだけの段階で売り出す形で、買う人はその建設進捗に合わせてお金を段階的に払って行く、という方式である。 完成予定日まで3年だとすれば、3年間にわたって分割で購入資金を払って行くスタイルだ。

当然まだ建物が出来てもないわけだから、見栄え良いショールーム通りに本当に出来るのか(そもそも建物が本当に建つのか?w)、などリスクも高い。 なのでその分、完成予定価格より大きく割り引かれて販売される。


ボダイジュ・レジデンスのショールーム。 日系による開発だけに、ほぼこの通りに出来上がるのだろうという心象が強い。日本的に言えば当然の話、、ではあるが、東南アジアでそれが出来るのは相当な強み。


で、買った人(というか買う契約をした人)は、その”買う権利”自体を途中で売買もできる。 つまり最後まで支払いを済ます前に、建設がある程度進んで価格が上がってきた段階で他人にその権利を売り渡して、その時点までの値上がり益を享受する事もできるわけだ。

で、完成に近づけば近づくほど値段は高くなり、完成直前ともなると買う権利を持っている人は完成時点の大きな値上がりを期待して売らなくなり、完成後に大きく売買が行われる。
完成後に買った人は、そこからの家賃収入などの固定収入(インカムゲイン)を期待し、さらに物件価格の上昇(キャピタルゲイン)にも期待する。


・・・・これって筆者が丸7年在籍した前職の本業(の一つ)であったベンチャー企業未公開株式投資とえらくそっくり(本質的には全く同じ?)じゃないだろうか。 

未完成のコンドミニアムは当然部屋ごとの登記もなく法的には所有できる対象ではないので、存在する会社の株式と違って契約書ベースの”買う権利”しかない事になるが、まあベンチャー企業の”新株予約権”(要はコールオプション)を分割払いで買っているのと本質的にはほぼ変わらない。

自称有望なベンチャー企業が、事業計画等で「立派な上場企業になります」と宣伝し、リスクテイクする投資家がまだまだ会社が赤ん坊な頃(会社の価値がまだ小さい=株式が割安)から投資をする。 
当然会社が上場できない(つぶれる、もしくはリビングデッド化する)=投資回収できないリスクもあるが、その分割安な株価で投資を仕込む事ができる。

で、会社が大きくなるにつれて追加投資も必要となるが、投資家は途中途中追加で投資も重ねつつ、ある程度の規模に成長したら他の投資家に売却してExitも可能である。

で、会社がうまく成長して上場が見ててくると、IPO値上がりを期待して上場直後に売り払う(IPO Exitする)投資家もいれば、より長期成長を期待して(配当など)持ち続ける投資家もいる(当然更なる株価上昇も期待している)。


大型高級コンドミニアム「The Bridge(ザ・ブリッジ)」、規模がかなり大きい。 開発業者はシンガポール系。デベロッパー(開発業者)の国籍と完成リスクが相関してしまうように感じるのは筆者の愚考的な私見w


・・・全く同じとは言い過ぎかもしれないが、本質的な性格面では極めて類似している。
ということは、投資判断の時の見極めるべきポイントはベンチャー企業投資とほぼ変わらない、はずである。

不動産界隈には全く素人な筆者だが、ベンチャー企業投資はそれこそ丸7年やっていたので、何かしら言えるものは残っている(たぶん)。 


カンボジア初の高層ビル建設としてプノンペンど真ん中に「ゴールデンタワー42(Golden Tower42」の建設が始まったのはもう10年近く前か。 2009年10月に開発業者の資金が詰まって建設ストップ、以来ずっと吹きさらしのままもう6年が経過。
このようにビルド(建設完成)に至らないケースも。 さて開発業者の国籍は・・・。 


未公開ベンチャー投資の視点で香ばしいカンボジア不動産界隈を眺めてみると、意外と何か更に面白いものが見えてきそうな。。。気もする。

まあ、8年目に突入する本業を当然ながらメインに据えつつ、余興程度に眺めてみよう・・・かなw