2015/05/27

まさかの摘発、、カンボジア首位陥落か?:和牛輸出とカンボジア

カンボジアの事情通ならほぼ誰もが知っている話で、当然違法行為である(と思う)のだが、まあカンボジア的にも日本的にも支障がない(と思う)ので特に怒られないんだろうな(今までは)、、くらいに思っていたら、意外にも中国当局が摘発に踏み切った。

時事ドットコムからの抜粋引用になるが、その摘発とは最近出た以下のニュースの話;
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中国公安省の公式サイト・中国警察網によると、上海市公安局や税関などは3月、上海市で安全基準に適合しない日本産牛肉を販売したとして、日本企業を摘発し、容疑者30人を拘束、牛肉などの冷凍品13トン(約5億9000万円相当)を押収した。

 調べによると、この企業は2013年10月から日本産牛肉をカンボジアに輸出し、タイとラオスを経由して、「果物」や「ハム」などの名目で、上海に搬入。97トンを中国で販売していたという。

・・日本産牛肉をめぐり、日本企業による大掛かりな違法行為が摘発されたのは今回が初めてとみられる。
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カンボジアは目下、祝日の数おいて断トツの世界一の座にいる(はず、たぶん未公認)だが、その他にもいくつかNo.1の座を保持しており、その1つが「日本からの和牛輸出先シェアNo.1」である。 

これはしっかり公認された日本一の座であり、たまに日本の大手新聞でもそのように記述されたりする。
ちなみにこれ以外の首位の座だと、例えば「日本近海で座礁・炎上する貨物船の船籍シェアNo.1」がある。  ニュース報道でよく目や耳にする「カンボジア」という単語は、未だにこういう不名誉な話が多かったりする。

座礁・炎上船籍シェアNo.1」の話は疑問の余地なく不名誉な極みの話ではあるが、この「和牛輸出先シェアNo.1」の話も同じく極めて不名誉な称号である(私見)。 
「輸出先トップなのに何が不名誉?」という問いもありえるかと思うが、当然ながらカンボジアが高級な和牛を他国よりも多く輸入して楽しめるほどリッチな国になっているわけがない。


中国は日本で発生した牛海綿状脳症(BSE)の影響を受け、2001年から日本産牛肉の輸入を禁止している。 もう15年近くの間、中国では正規に輸入された和牛にありつけないはず、という事になっている。

が、当然、北京や上海あたり(に限らず中国主要都市)ではお金さえ払えれば高級な和牛料理を十分に堪能できる。 
外資系飲食事業者がせっせとハンドキャリーしてコツコツ料理しているケースもあったりするが、日本以外のところから輸入された(事になっている)和牛も中国の輸入禁止規制の枠外とされている。 
また牛肉以外の名目がインヴォイス等に記入された輸入品ならそもそも検知不能となる(日本からの輸出では有り得ないが)。


日本政府は2020年までに農林水産物の輸出を1兆円に増やす計画を掲げている。

 2012年には日本からの牛肉輸出額は過去最高の約50億円に到達し、農水省がまとめた品目別輸出戦略では牛肉輸出額を2020年に250億円(約5倍)まで伸ばそうと企んでいる。

2012年時点で「主な輸出先」として記載された国は「カンボジア、ラオス、香港」と、カンボジアがしっかり筆頭の地位を保持している。 
冷凍牛肉ではカンボジアの輸出先のシェアとしては約6割超(2011年)と、現在の祝日数なみの断トツ1位である。

日本は2013年5月に国際獣疫事務局(OIE)から「無視できるBSEリスクの国」に認定され、日本産牛肉の安全性が国際的に認められたことを積極的にアナウンスし、輸出解禁に向けて各国に働きかけてきた。
日本の国益的に、日本から正規に輸出される牛肉類の増加は多いに奨励されるべき事である。 

一方、カンボジアとしては日本から正規に和牛を輸出される先に指定される事に何の問題もないし、更に農業生産物を筆頭とする農林水産物の輸出拡大は大きな国策の柱の1つでもある。カンボジアからの輸出が伸びるのは、こちらも多いに奨励モードである。


日本もハッピー、カンボジアもハッピー、だから特に誰も何も言わないんだろうな。。。と何となく思っていたが、なんと中国側から摘発の手が伸びた。 まあ、当然といえば当然の話だが、中国にとっても何らかハッピーな「三方良し」的な話だから安泰なんだろうと邪推していた(筆者の愚考)だけに、今回の摘発は(筆者的には)意外だった。

たぶん中国は利害関係の絡みが多重層的過ぎて、誰かにとってのハッピーと他の誰かにとってのアンハッピーとのバランスが少し傾いた、、的な話で今回の摘発に行き着いた、という類の事なんだろうと邪推される(筆者の愚考)。

ちなみに2007年〜2009年の間、同じく日本からの冷凍牛肉輸出先としてはベトナムが断トツで、シェアは9割を超えていた。
が、日本で発生した口蹄疫の影響で2010年4月にベトナム政府が日本からの牛肉輸入を停止してから、当然ながらベトナムの名はランキングから消えた。
その直後の名前が上がってきたのが、我らがカンボジアと隣国のラオスである。

更にちなみに、ベトナム政府は2014年3月27日付けで、39の日本側牛豚肉輸出施設の登録を承認し、日本産の牛肉・豚肉・牛および豚の内臓のベトナムへの輸入を解禁した。
またもやベトナムが牛肉輸出先シェア筆頭の座に返り咲くかどうか、、と他人事ながら少し興味を抱いていたが、そもそもの取引スキーム自体が消滅してしまう可能性がある今回の摘発。

真相は全く分からない(筆者は専門外である)分野なので、「和牛輸出 to/from  カンボジア」にまつわる話をランダムに列挙しただけとなってしまった本稿(筆者の愚考による取引スキームの概要邪推は一切書いていません、今回)。  毎度ながら分かりづらくて申し訳ありません。。。しかも写真もなし。

ご参考まで、和牛輸出先シェア(※金額ベース)の図を以下(確か2012年度)。 なお香港は中国本土に先駆けて2007年に日本からの牛肉輸入を解禁している(確か)。



筆者的にはこの日本牛肉輸出先からカンボジアのNo.1の名前が消えて、もっと何か真に名誉あるNo.1の座にいつか就いてもらいたい、と願ってやまないが・・・まあ大きなお世話かw


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