2015年も本日が最終日、いわゆる大晦日である。
3年ぶりに日本で年を越す事になる今回だが、久しぶりに感じるこの時期の日本はまさに正月モード。 昨日30日はスーツ姿で外回りする筆者が閑散とした街中で妙に浮いている感じがしたし(自意識過剰だっただけかもw)、さすがに31日本日はアポが入らない。
一方、普通の平日であるカンボジア現場からは元気なLINEメッセージや業務メールがガンガン送られてくる(これは当然あるべき姿である)。 やはり2国間を行き来しながら進める事業では、連休じゃない方の国に滞在する方が仕事的な精神衛生上では好ましい状態である事は間違いない。
カンボジアと日本、世界各国との比較的で見るとどちらも祝日が多い方の国に属するが(特にカンボジアは27日ほどあり、世界No.1との呼び声も高い)、不思議と連休が重なる事が少ない。
カンボジアでクメール正月やら王様誕生祭やらと大型連休が続く4・5月は日本的には新年度スタートを切るの時だったり(日本のGWはちょうどそのカンボジア2大連休の狭間にある)、日本が夏休み・お盆休みモードになる7・8月にはカンボジアに祝日が1日もなかったり、といった具合。
よって、両国各々の連休から逃げるように約4,000Kmの反復横跳びを繰り返す生活が、気付けばもう8年目を向かえているが、今年は久しぶりに日本の正月休みモードを満喫させて頂く事になる。 ただしカンボジア現場とのやりとりでスマホやPCとにらめっこしながらだけどw
さて本日2015年12月31日は、アセアン的な視座からすると結構重要な転換期(というか起点)となる大事な日である。 本日付けで、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国による広域経済連携の枠組み「ASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community、以下AEC)」が発足する。 本年最後の締めとなる本稿はちょっとカタめなこの話。
このAECという単語の日本での認知がどれくらい普及しているのか(筆者的には)定かではない。「アセアン」と聞けば東南アジアに縁が無い人でも「なんか聞いた事ある、タイとかベトナムとかでしょ?」的な反応が多いように思うが、「エーイーシー」と聞いても「???」という感じ、、が多数派ではないだろうか(筆者私見)?
AECとは何か、をざっくりと言うと、ASEAN10カ国の域内において、「ヒト・モノ・カネ」の流れを自由化・円滑化する事で、ASEAN域内全体を擬似的な一つの市場・一つの生産基地として機能させよう取組み・・・を実現するための施策や制度、取り決めの総称だ。
加盟国に対して法的強制力を持つ(かつ通貨も統合されている)欧州連合(EU)とは根本的に異なる構想で、総論的には自由な貿易圏をお互い協力して作りましょう、という(EUに比べて)緩めの概念であり、各論となる具体的な施策・制度・取り決めは自主性を持った各国間で調整しましょう、という話。 各国が何かに強制的に従わなければならない類の話ではない。
流れの自由化・円滑化とは、具体的にいうと「ヒト」に関してはビザ発行の緩和・撤廃や、職業資格の相互承認(A国の看護師さんがB国でも働けます、的な)、「モノ」に関しては関税の撤廃や通関手続きの緩和、「カネ」については送金や投資ルールの緩和・コスト低減、など。
これらの具体的なルール作り・国家間取り決めを個々に実現していったら、最終的にはAECが完成する(実質的に経済統合している)、というストーリーである。
ありがちな「総論賛成、各論反対」のスタック状態にすぐさま陥りそうなこの物語が、それなりに実現しそうな説得力を持って語られているのは、「モノ」についてのお話が既に先行してそれなりに実現しているからだ。
ASEAN先行加盟国の間ではすでに品目数にして96%が関税撤廃されていて、我らがカンボジアを始めベトナム・ラオス・ミャンマーの後発加盟4カ国を加えた全域でも関税撤廃率98%超えが現実的に見えて来ている。
一方、「ヒト」や「カネ」については、各論反対までとは言わなくとも「各論未賛成」のままズルズル行きそうな気配も濃厚である。
「モノ」の流れの自由化実現をにらみ、すでに国家間をまたにかけた事業資源分散の動きが始まっている。
タイのサイアム・セメント・グループは年明け1月からカンボジアのカンポット州に建設した工場で年間100万トンの製造ラインを稼働させる。
三菱マテリアルはすでにエアコン温度センサーの工場をラオス首都ビエンチャンで稼働、中核部品はタイから輸入している。
「モノ」の自由な流れは実現しそうな状況をにらみ、生産拠点(人件費の安い国)への建設・生産(にまつわる雇用)シフトが現実に起こってる中で、各国が自国産業や雇用を守りたい思惑も分かりやすく見え隠れする。
どこで損してどこで得をとるか、意外と分かりやすいASEAN国家間交渉・攻防が年明け以降の経済・政治紙面を賑わしてくれる事を期待したい。
(まあ、実際のところはアメリカやら欧州やら中国やらISやらのネタに比べれば地味過ぎる事は確実だろうけどw)
AECが実現すれば、域内人口はEU(18カ国)の5億820万人を大きく上回る6億2000万人、域内総生産はさすがに18兆ドルもあるEUには遠く及ばないが2.5兆ドル(約300兆円)という巨大な経済圏が構成される事になる。
カンボジアを拠点に(つまりASEAN域内で)事業をする身としては、当然意識すべき経済の大波(の胎動)である。
まあ、まだ始まってない話(今日発足w)なので、実際に起こるドタバタはこれからのお楽しみとなるが、新たな枠組みや制度が始まってそれがしっかり整備・運用されるに至るまでのタイムラグの狭間こそが機動力あるベンチャー企業の稼ぎ時。 ASEAN経済が大きく動き始める(はずの)2016年の幕開けに期待したい。
・・・・今年最後のアップとなる本稿。 今年も結局、軽め・短めなトピックはほぼ皆無で、むしろ更に長く(文章も未投稿期間もw)クドくなってしまった。
グルメネタもFB投稿ばかりで本稿では皆無。 昨年末も似たような反省をして今年全く改善しない(むしろ悪化)する結果となったので説得力が一切無い事は重々承知しておりますが、来年はより軽め・短めにトライしていく所存です。
本年もお付き合い頂きありがとうございました。 来年も引き続きよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えくださいませ <(_ _)>
3年ぶりに日本で年を越す事になる今回だが、久しぶりに感じるこの時期の日本はまさに正月モード。 昨日30日はスーツ姿で外回りする筆者が閑散とした街中で妙に浮いている感じがしたし(自意識過剰だっただけかもw)、さすがに31日本日はアポが入らない。
一方、普通の平日であるカンボジア現場からは元気なLINEメッセージや業務メールがガンガン送られてくる(これは当然あるべき姿である)。 やはり2国間を行き来しながら進める事業では、連休じゃない方の国に滞在する方が仕事的な精神衛生上では好ましい状態である事は間違いない。
カンボジアと日本、世界各国との比較的で見るとどちらも祝日が多い方の国に属するが(特にカンボジアは27日ほどあり、世界No.1との呼び声も高い)、不思議と連休が重なる事が少ない。
カンボジアでクメール正月やら王様誕生祭やらと大型連休が続く4・5月は日本的には新年度スタートを切るの時だったり(日本のGWはちょうどそのカンボジア2大連休の狭間にある)、日本が夏休み・お盆休みモードになる7・8月にはカンボジアに祝日が1日もなかったり、といった具合。
よって、両国各々の連休から逃げるように約4,000Kmの反復横跳びを繰り返す生活が、気付けばもう8年目を向かえているが、今年は久しぶりに日本の正月休みモードを満喫させて頂く事になる。 ただしカンボジア現場とのやりとりでスマホやPCとにらめっこしながらだけどw
さて本日2015年12月31日は、アセアン的な視座からすると結構重要な転換期(というか起点)となる大事な日である。 本日付けで、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国による広域経済連携の枠組み「ASEAN経済共同体(ASEAN Economic Community、以下AEC)」が発足する。 本年最後の締めとなる本稿はちょっとカタめなこの話。
このAECという単語の日本での認知がどれくらい普及しているのか(筆者的には)定かではない。「アセアン」と聞けば東南アジアに縁が無い人でも「なんか聞いた事ある、タイとかベトナムとかでしょ?」的な反応が多いように思うが、「エーイーシー」と聞いても「???」という感じ、、が多数派ではないだろうか(筆者私見)?
AECとは何か、をざっくりと言うと、ASEAN10カ国の域内において、「ヒト・モノ・カネ」の流れを自由化・円滑化する事で、ASEAN域内全体を擬似的な一つの市場・一つの生産基地として機能させよう取組み・・・を実現するための施策や制度、取り決めの総称だ。
ASEAN10カ国域内とはこの諸国全域(日経新聞朝刊より) |
加盟国に対して法的強制力を持つ(かつ通貨も統合されている)欧州連合(EU)とは根本的に異なる構想で、総論的には自由な貿易圏をお互い協力して作りましょう、という(EUに比べて)緩めの概念であり、各論となる具体的な施策・制度・取り決めは自主性を持った各国間で調整しましょう、という話。 各国が何かに強制的に従わなければならない類の話ではない。
流れの自由化・円滑化とは、具体的にいうと「ヒト」に関してはビザ発行の緩和・撤廃や、職業資格の相互承認(A国の看護師さんがB国でも働けます、的な)、「モノ」に関しては関税の撤廃や通関手続きの緩和、「カネ」については送金や投資ルールの緩和・コスト低減、など。
これらの具体的なルール作り・国家間取り決めを個々に実現していったら、最終的にはAECが完成する(実質的に経済統合している)、というストーリーである。
ありがちな「総論賛成、各論反対」のスタック状態にすぐさま陥りそうなこの物語が、それなりに実現しそうな説得力を持って語られているのは、「モノ」についてのお話が既に先行してそれなりに実現しているからだ。
ASEAN先行加盟国の間ではすでに品目数にして96%が関税撤廃されていて、我らがカンボジアを始めベトナム・ラオス・ミャンマーの後発加盟4カ国を加えた全域でも関税撤廃率98%超えが現実的に見えて来ている。
ASEAN域内の経済回廊も現実に整備が進んでいる(日経新聞朝刊より) |
一方、「ヒト」や「カネ」については、各論反対までとは言わなくとも「各論未賛成」のままズルズル行きそうな気配も濃厚である。
「モノ」の流れの自由化実現をにらみ、すでに国家間をまたにかけた事業資源分散の動きが始まっている。
タイのサイアム・セメント・グループは年明け1月からカンボジアのカンポット州に建設した工場で年間100万トンの製造ラインを稼働させる。
三菱マテリアルはすでにエアコン温度センサーの工場をラオス首都ビエンチャンで稼働、中核部品はタイから輸入している。
「モノ」の自由な流れは実現しそうな状況をにらみ、生産拠点(人件費の安い国)への建設・生産(にまつわる雇用)シフトが現実に起こってる中で、各国が自国産業や雇用を守りたい思惑も分かりやすく見え隠れする。
どこで損してどこで得をとるか、意外と分かりやすいASEAN国家間交渉・攻防が年明け以降の経済・政治紙面を賑わしてくれる事を期待したい。
(まあ、実際のところはアメリカやら欧州やら中国やらISやらのネタに比べれば地味過ぎる事は確実だろうけどw)
AECが実現すれば、域内人口はEU(18カ国)の5億820万人を大きく上回る6億2000万人、域内総生産はさすがに18兆ドルもあるEUには遠く及ばないが2.5兆ドル(約300兆円)という巨大な経済圏が構成される事になる。
ASEAN10カ国を足し上げるとこれくらいの規模に(日経新聞朝刊より) |
カンボジアを拠点に(つまりASEAN域内で)事業をする身としては、当然意識すべき経済の大波(の胎動)である。
まあ、まだ始まってない話(今日発足w)なので、実際に起こるドタバタはこれからのお楽しみとなるが、新たな枠組みや制度が始まってそれがしっかり整備・運用されるに至るまでのタイムラグの狭間こそが機動力あるベンチャー企業の稼ぎ時。 ASEAN経済が大きく動き始める(はずの)2016年の幕開けに期待したい。
・・・・今年最後のアップとなる本稿。 今年も結局、軽め・短めなトピックはほぼ皆無で、むしろ更に長く(文章も未投稿期間もw)クドくなってしまった。
グルメネタもFB投稿ばかりで本稿では皆無。 昨年末も似たような反省をして今年全く改善しない(むしろ悪化)する結果となったので説得力が一切無い事は重々承知しておりますが、来年はより軽め・短めにトライしていく所存です。
本年もお付き合い頂きありがとうございました。 来年も引き続きよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えくださいませ <(_ _)>