2015/02/26

カンボジアのとある日常 at ガソリンスタンド in バッタンバン

いつもいつでも常日頃、面白おかしい経験・体験を惜しみなく存分に波状攻撃的に提供してくれる我らが農業拠点バッタンバン。 カンボジア北西部の片田舎である。

・・と冒頭からウタったわりには意外と平穏に時間が経過してくれていた今週のバッタバン滞在期間。 

いつもはだいたい、細かいんだけど意外と面倒だったり、大きなショックまでには至らないんだけど心の柔らかい所に直接小さなひっかき傷を残してくれたりするプチ事件達が、会議室でも現場でも同時多発的に群生していて、その全てのプチなヤツらに対して、ものすごく悩むわけではないんだけど無視できない程度にCPUを浪費するプチ大岡裁きを流れ作業的に下していかなければならないんだけれど、今週はそれがほぼ全くない無風状態にむしろ居心地の悪さを感じていた、、、頃にその小さな小さなお話は生まれました。

そのお話の舞台はバッタンバン市内の北寄りに位置するガソリンスタンド。

どこかで見た事あるような気がしないでもない「My Family Mart」というコンビニのような雑貨店を敷地内に擁する、バッタンバンに詳しい人なら誰もが知っているスタンドである。


この店(写真奥のコンビニ風店舗)が出来た当初は、看板にある店名の頭に「My」が付いていなかった、というのは本当の話である。

ちょっと細かい(いつもどれもが何もかも細かい)理由があって、弊社営業部隊がふだんド田舎回りをするに活用している業務用社用車を使って移動していた(運転手は筆者)。

営業部隊が費消するコストをいつも限界ギリギリ(の少し右斜め下)まで切り詰める豪腕管理部スタッフ「N」(カンボジア人女性)の尽力のおかげで、案の定ガソリン残量を示メーターがほぼゼロの水位に張り付いており、まあやむをえず件のガソリンスタンドへ。



仕事してます感をあます事なく漲らせる我らが社用カー。 いつもお疲れ様です。


満タンにすると管理部スタッフ「N」にむしろ怒られるので(「ガソリンがたくさん入ってるとアクセルふかすんですよヤツらは!」的に)、20ドル分くらい入れておけばいいだろうと思い、スタンドのお兄さんに「ディーゼル、20ドル分」と発注。


筆者:「ムペイ ダラー、OK? (20ドルね、OK?)」 
お兄さん:「OK、ムペイ。 (OK、20ネ)」 
(繰り返し X 3、4回)


そして案の定、給油機のメーターが「20L(リッター)」を指したところでお兄さんはいったん給油をストップ。

シェールガス・オイルが市場を席巻する事に恐れをなして原油価格を大幅に引き下げている(らしい)サウジアラビアを中心としたアラブ産油国のおかげで、カンボジアでもガソリン価格は心地よいレベルにまで切り下がっており、今日夕方時点のディーゼル価格は0.83ドル/L。

(まあ、20ドル分じゃなくて20リッター、でもいいか、、20L X 0.83ドル/L = 16.6ドルだから、細かい御釣り面倒だけど3.4ドルもらって帰ろ・・)と筆者の心の声。

しかしここでかのお兄さんは、20ドル札と給油機のメーター(値段は16.6ドル、量は20リッター、と表示)を何度も何度も見比べている。

そして、かの「My Family Mart」に入って行き、カウンターの女性スタッフと何やら相談を始めている。


何度言っても回復しないままの右サイドミラー。 こんな状態で運転してはいけないよ、とのたまう社長自身が運転してしまっていては説得力も半減。

つのるイライラ。 車を下りて滅多に立ち入らない「My Family Mart」のドアをくぐる筆者。 

女性スタッフ:「ディーゼル20ドル? ドウシマシタカ?」

筆者:「20ドル分って言ったんだけど、20リッターしか入れてくれなかったんだが、20リッターでもういいから、20ドル引く16.6ドルで御釣りを3.4ドルくれ  (= = # )」

女性スタッフ:沈黙(やれやれ感)

お兄さん:沈黙(瞳に砂時計)


・・・・詳細は省略するが、常識的な日本人皆様には極めて当たり前で簡単に見える上記の主張を、英語で新興国(非英語圏)の一般ピープルに伝えるのは、非常に高度な英語力と高邁な精神力が必要だ(当社比)。

おそらくカンボジア人と丁々発止のやりとりを日々体感されているカンボジア在住日本人の方々であれば、上述状況の「あ、ハマった・・」という感じを共感頂けるんでは、、と思う(願う)。

(たった3.4ドルのためにこれ以上拘束されても、、いや、社用車の乗車と給油記録キッチリつけて領収書持っていかないと「N」に怒られるし・・うーん・・)と筆者の心の声。

その間に、何故か外にいたバイクタクシーの運転手さんまで参画し、筆者以外の利害関係者達(女性スタッフ、お兄さん、運転手)がクメール語で何やら協議を重ねたあと、ふいに店外に出て行くお兄さん。


そしておもむろに給油を再開。

で、領収書に何やら書いて筆者に差し出すお兄さん。


・・・・・。 通るかな経費として。。


「オークン(クメール語で「ありがとう」の意)」とだけ告げて車に乗り立ち去る筆者。

ああ疲れた、アンコールビールをパシュッと開けて飲もう・・・・と思いました。 おしまい。

2015/02/18

旧正月のジレンマ in カンボジア

脅威的なスピードで時間が経過して行く2015年、気がついたらもう2月半ば。

確か2年前くらいから日本の気象庁が大雨警報で「これまで経験したことのないような大雨」という極めて散文的な言い回しを正式な警戒表現として使い始めたが、その冒頭部分を引用させて頂きたいくらいのスピード感に感じられる今年(私見)。

「こんな奇麗なボックスにおさまる2月は823年ぶり」という話が広がったあと「いやいや6年前にもありました」とか「次は11年後にあります」とか、そんな話もあった今年2月

今年頭からは短く刻んでいくつもりだった本稿も、いまだ短くする事もできておらず、かつ前回ブログから気がついたら10日も経っていた,、という事で刻む事もできてないまま、今年もう1.5ヶ月が経過してしまったが、まあおいおい解決していく所存である。

さて本日2015年2月18日は「春節」のスタート日。 いわゆる旧暦の正月であり、日本的にいうと本日が大晦日、明日19日が元旦にあたる、はずだ。

中国の正月、と言われる事が多いが、Wikipediaによると「中華圏」で最も重要とされる祝祭日とのことで、中華圏国家では数日間の祝日設定される期間らしい。


春節スタートの今日、随所で見られる燃やす行事。家とか車とか、いろいろ燃やしている。
今日からいきなり暑くなったが、なんらか気温に影響を与えているのではと疑ってしまうくらい、至る所で燃やしている。

「中華圏国家」とはどこまでを含むのか、まあよくわからないが、私見(というか弊社見解)としてはカンボジアは当然ながら「圏外」であり、れっきとしたカンボジア法人である弊社的には、当然ながらフルに通常営業期間である。

とはいえ、れっきとしたカンボジア国営の役所やら金融機関やらもガッツリ休んだりしているわけだから(なお全部ではない。なぜか各機関の裁量に任されている・・ようである)、お上が率先垂範してしまっている社会慣行に則ってこの期間だけローミング的に「圏内」にしてはいかが? という意見もあながち瞬殺できなかったりする。 

その風見鶏的ローミング提案に対して、弊社の有効回答はとしては
「必要以上に長いカンボジア独自の盆(今年は10月)と正月(毎年4月)のお休みがあるんだから、春節まで休んじゃうと零細企業な弊社的には台所が苦しくなってユーに給与出せなくなるかもね♩」
というのが例年の定型ニュアンスである。

とはいえ、弊社も人数が増えてきて、見た目的にも名前的にも中華系のご先祖(というか2等親くらいの近距離なご親族)に由来する事がはっきり分かるスタッフも多い。 
当然、中華とは縁もゆかりもない純正クメール人もいる。 今年は更に何とも関係ない日本人若造インターンもいる。。

本日バッタンバンオフィス、中央が日本人若造インターン。 仕事しているようにも見える。


で、どうしようか、、とほんの少し(40秒ほど)考えた挙げ句、今年は、

「各々のFamilyやOriginをRespectして、皆とDiscussしてお休みローテーションを考えてみて。 ただし、現場オペレーションが完全停止したらCustomerが困るだろうから、あまりCustomerを困らせない程度にね♩  」
「結果、FamilyやOriginによって休める期間が変わっちゃうけど、長く休めた人は仲間達に感謝して、他の時に埋め合わせられるよう、You達でうまくDiscussして決めて♩」

・・・と、現場に丸投げしてみた(バッタンバン事務所のみトライアル適用)。


誰が休んで、誰が休まない、とか、この期間は社長的に黙認するので良きに計らえ、と宣言したわけだが、結果的には、、、何やらそれなりに現場に出て来ているようだ。


いつもと同じ勤務風景inバッタンバンオフィス


メカニック達も元気にトラクタ-修理中。


「ワン・フォー・オール! オール・フォー・ワン!」的な標語を毎朝全員で復唱している効果だろうか(弊社的にはそう思いたい)、そもそも意外と和を重んじる国民性によるものであろうか、皆から「休んでいいよ」と言われたはずのスタッフも何故か出て来ていたりして、なんとなくいい雰囲気である(Skypeから眺める限り)。

バッタンバンとプノンペン間でSkype打ち合わせ。 画面の向こうの左側のスタッフは今日お休みと聞いていたのにちゃっかり議論に参戦。

来年はプノンペン本社でも取り入れてみようか、、と20秒くらい考えたが、何となくやめておこうと思っている今現在。 都会っ子達には馴染まなそうな気がしないでもない。


本日プノンペンオフィス、デザイナーチーム部屋(筆者撮影)。ここはしっかり出て来てる。

なお、春節までお休みにしてしまうと、カンボジアは世界断トツの祝日過多国家となり、特に工場系など稼働してなんぼベースの事業であれば、休日・祝日の日数が真剣に採算計算に織り込まないといけないパラメーターになるはずだ。 

というか隣国ベトナムが対照的に祝日の少ない国(なはず)なので、祝日日数は春節を抜きにしてもカンボジア事業の試算に織り込むべきパラメーターだと筆者は思ったりするが、、、まあ素人目線の余計な御世話である事は承知しております。


何にせよ、正月返上(?)でがんばってくれている弊社メンバー皆に改めて感謝。 


バッタンバンオフィス出勤中の皆でランチしているらしい今日。
なお、お昼休みはもう終了なので、各自Get Back to Work、、、って聞こえないかw


ちなみにHappy New Year は明日(旧正月の元旦)で、今日は中華風大晦日。 みなさま、良いお年をお迎えくださいませ(先々月末も言ったけどw)。 


2015/02/08

いつも不思議発見:カンボジアの最新情報on日本のマスメディア

本年2月最初の週、カンボジアの弊社農業拠点バッタンバンでの業務を終え、首都プノンペンに向かう前夜、ビジネス面でもグルメ開拓面(w)でも信頼している事業パートナーから「面白いニュース流れてるけど、場所どこでしょう?」というメッセージが届いた。

どんなニュースかというと以下、原文そのままネット記事からコピー;


ーーーーー

ホテルオークラ、カンボジアで19年にホテル開業 



2015/2/7  18:31日経新聞企業速報
ホテルオークラは7日、2019年にカンボジアの首都プノンペンでホテルを開業すると発表した。経済特区に建て、ビジネス需要などを取り込む。地上45階建ての複合ビルに入居し、客室数は250室。宴会場や直営の和食レストランなどを設ける。仮称は「オークラプレステージプノンペン」で、カンボジアへの初進出となる。
シンガポール取引所(SGX)に上場する海運業などを手掛けるテホ・インターナショナルの不動産子会社が開発する複合ビルに入居する。
ーーーー

プノンペン在住の方々、でなくても何度かプノンペンに行き来されてある程度の土地勘がある方々であれば「えっ?」となるニュースなような気がする。

どこが「えっ?」なのかは、ここでは細かく踏込まない。 今年は短く刻んでいく方針なので(w)。


ただ昨今(この2、3年くらいか。。)、「このメディアが言うんだから間違いないだろう」と日本人なら誰でも思う大手マスメディアが発信するカンボジア情報に、カンボジア在住民からすると「えっ?」とあっけにとられる不思議な物語がけっこう散見される、、気がする。

最近になって多少注目度が上がって来たとはいえ、まだまだニッチなトピックの域を出ないカンボジア関連ニュースでもそうなんだから、他のメジャーなニュースではもっとその傾向が強いのか、、、はたまた、ニッチトピックだからこそ粗いレベルで発信されてしまうからそうなるのか、、メディアに関してはど素人の筆者には皆目見当がつかない。


ただ、少なくともカンボジア関連ニュースについては、不思議な情報on日本のマスメディア、が何故いつも発見できるのか、何となくその理由が拝察できる(あくまで筆者の愚考だけれど)。

それらのニュースが現地的に見て「不思議発見」であることは、何人かのカンボジア在住者、もしくはカンボジアの事を多少知っている日本人から「裏取り」すればすぐに分かるはずだ。

ちなみに「裏取り」とはネット辞書によると「マスコミで、取材の内容が正しいと判断できる証拠を集めること。報道できる内容かどうか裏付けを取る事」とのこと。

ではなぜ大手マスコミが、カンボジア情報ついて、その「裏取り」をしてない(ように少なくとも筆者には感じられる)不思議なニュースを流すのか。

筆者が酔った勢いで愚考するに、その理由となる傾向には以下2つのパターンがあるのではないだろうか。



冒頭のニュースを題材に愚考してみる。

参考情報として、その速報発信日時点で、ホテルオークラ自身からのリリースはなかったように思える(サラッとホームページ等を調べただけだから、実はあった、としたらごめんなさい。。)

とすると、有り得る状況としては
(1) オークラの広報が、正式発表前に何らかの理由でリークした
(2) 開発会社のテホが、広告効果を狙ってリークした
あたりが考えられる。

で、大手マスメディアの担当者的には
「かの名門ホテル(もしくは、かのシンガポール上場会社)が言うんだから、まず間違いないと思っていいだろう」
と判断し、裏取りの時間を惜しんで速報で流してしまった、、というケースが考えられる(気がする)。

2019年頃に、250室の客室や宴会場(おそらくハイエンド価格帯)のビジネス需要がありそうなプノンペンの経済特区ってどこだろう?・・と念のため誰かに聞いておく、、というアクションすら取らずに。

本稿の話とは多少ズレるが、かの名門ホテルの経営陣(に近いクラス、少なくともプレスリリースに関与できる役職)に対し、この 荒唐無稽な与太話を信じ込ませて  夢の扉を開かせて日経新聞でのリリースまでに漕ぎ着かせた尊敬すべき「豪腕な夢の語り部」が誰なのか、筆者的にはかなり興味があるが、筆者ごときの地味な零細企業経営者の手が届く所にはいない雲の上の存在だと思われる、きっと。


別件を題材に考えてみる。

この2,3年の間に、カンボジアの勢いある日本人経営企業の活躍をトピックにしたテレビ番組が放映されている。 
いくつも放映されているので、読者皆様にはどれの事か皆目見当つくはずがないと思うが、その星の数ほどある事例のうち、とあるケースにちょっと遭遇した事がある。

大手キー局(新聞のテレビ欄に乗っているチャンネルのどれか)から遣わされて来た、その番組が雇った制作会社(キー局から見て業務委託先)が、実際にカメラや機材を担いで遠路はるばるカンボジア現地に乗込み、現場での取材を続けながら、おそらくは感じたであろう事は、

「あれ、、、発注者(大手キー局)から聞いていた話と違う(汗)」
もしくは
「あれ、、、発注者(大手キー局)に提案した話と違う(汗)」
、、という感じ(たぶんww)。

彼等はすでにカンボジアへの出張費(スタッフ渡航・滞在費や機材運搬費)を先行自腹で払ってしまっている(もしくは大手キー局から仮払いを受けている)。
ここで、その制作会社は、モラルハザードとガチで向き合いながら、以下のどちらかを選択する事になる。
(1)「話が違ったので取りやめます」と正直に告白して、かかった費用は自腹を切る
(2)「なんとか作り込んで番組にしないと」と収益確保にひた走る

中小企業を担う経営者の身になって考えると、上記の判断でモラルハザードに打ち勝つには相当な精神修練が必要だ。 
で、仮に制作会社が(2)を選択した場合、その結果の番組映像(きっと制作会社が腕によりをかけた素晴らしいストーリーになっている)を購入した大手キー局がその「裏取り」をする事は多分ない、、気がする。



ちなみに今回のお話で筆者が興味を持っているのは、名門ホテルでもシンガポール上場会社でもカンボジアのイケてる日本人経営企業でもない。 その辺の事は、もうだいたい分かっているから(たぶんだけど)w。

興味を持っているのは、日本の格式ある大手マスメディアが、どうしてたいして難しくもない(気がする)最低限の「裏取り」もせず、事実の近くにいる人からみて「えっ?」と言わせる不思議なニュースを頻発してしまうのか、、の原因となる構造だ。


で、その原因となる構造は、きっと上記の1か2あたりだろう、、との愚考に行き着いて、まあ自己満足に浸って寝るわけであるこれから。


うーん、、冒頭の与太話を削ったはずなのに、短く刻めない。。。もっと軽い話にしてみよう次からは・・といつも思っているw。

なんか勢いで本稿をアップしてしまった事を後で後悔してしまいそうな気がするが、取り急ぎおやすみなさい。

2015/02/06

あれは3年前:プノンペン飲食事情の変化、ただしお客様側

カンボジア首都プノンペンから北西へ約300Km, 弊社農業拠点のバッタンバンに来ている。 昨年末から先月半ばあたりまではかなり冷え込む日もあったが、だんだん日差しが強く暑い季節に突入してきた感ある今日この頃。

カンボジアの気候は律儀にきっちり半年間ずつ雨期と乾期に分かれている。
例年12月から雨の少ない乾期に入るが、前半3ヶ月(12月〜1月)は涼季とも言われ、日中でもそれほど温度はあがらず(摂氏25℃〜30℃・・くらい?)、朝晩あたりはむしろ冷え込んだりする。 
TukTuk(客車付きバイク)など外気に触れる乗り物に乗っていたりすると、肌寒いを超えて長袖や薄手のジャケット等を着ていないと結構ツラいレベルの寒さになる事もある。

後半3ヶ月(2月〜4月)は暑季とも言われ、いわゆるイメージ通りな暑いカンボジアの季節だ。 あの3月、4月のうだるような暑さがまた来ると思うとゲンナリするが、7、8月の東京をスーツ姿で動き回る(by電車and徒歩)のに比べれば至極快適なレベルである。

・・・と、東京に出張していた事もあってやや(というかかなり)脱線した前3稿から、本稿の主眼であるはずのカンボジアネタへの回帰を図るために、軽めに現地のお天気の話から冒頭入ってみたりしたが、文章にすると思ったより長引く事が判明・・。
まあ、試行錯誤を繰り返していこうと思う。



で、本稿は久しぶりにプノンペンの飲食事情のお話。


プノンペンの美味しいシリーズ1:「秀ちゃん亭」の担々麺。 味噌ラーメンに並ぶ看板メニューの1つ。


1月半ばの東京出張から帰ってきてみると、どうやら今年に入って新しいラーメン屋が4店、焼肉屋も数店、他にも天ぷら屋や店頭販売の焼き鳥屋など、プノンペンでの和食屋さんの開業ラッシュが続いている、、というか勢いが更に増しているようだ。

昨年の8月、9月くらいから、意外と日本人客が和食屋に集まらない話や、新規開店の賑わいに隠れていた撤退組がやや目立ち始めた話、などを本稿でも取り上げたりした。

別に本稿で取り上げずとも、現地にいれば誰の目にも明らかな状況だったので、おそらくその勢いはやや落ち着いていくんだろうな、、などと相変わらず当たらない予想をしたりしていたが、当たらないという点ではやはり期待を裏切らなかった。

2号店オープンや既存店舗拡張の話もよく目にするし、その勢いはますます盛んになっている、気がする。
どうやらその道のプロ達の目には筆者のようなド素人には皆目見えない魅惑の大陸が広がっているようであるinプノンペン。


プノンペン美味しいシリーズ2:「バオバブ」のとろろ山菜そば。旧「すぎたつ」からオーナーも店名も店長も変わって、料理レベルが強烈に上昇。


飲食業については完全にお客側に位置している筆者的には、プノンペンにいながらにしてバラエティ豊かな和食シリーズが堪能できるし、だいたいの店は特に予約しないでもフラッと席に着く事ができるし、だいたいどの店も固定客になるかもしれない在住者には(オペレーションの巧拙はさておき気持ち的には)ホスピタリティ満点の対応を提供してくれたり多少のワガママを聞いてくれたりするで、大変ありがたい状況であることは間違いない。

この3年で眺めてみると、プノンペン和食マップの激変ぶりはやや異常事態の感があるが、一方のお客様側(多くのお店が主な客として想定している在住日本人)の事情や感覚もいろいろと変わって来ている・・ような気がする。


プノンペンの美味しいシリーズ3:「DASHI」の焼き秋刀魚釜飯。 海鮮丼も美味い。



ざっくり3年前と比較して、ああ、変わったな、、と筆者が感じる主だった事は;


新規出店が続きすぎて、新しいお店への興味自体が全般的に薄らいでいる。

3年前であれば、新しい和食店がオープンするとなれば、皆こぞって行ってみたものだし、オープン時に客が多く来すぎてオペレーションが追いつかない等の理由で味がイマイチと酷評されたり、日本人が監督している間は美味いとか言われてみたり、まあ良くも悪くも話題にはなった。

が最近、結構目立ってオープンしたのに評判が聞こえて来ない店が現れ始めた。

目立ってない店などは存在すら知られてなかったり。 で、知ったところで「そのうち行ってみよう、、、と思いながらまだ行ってないんですよね。」とか「行こうと思っているうちに店が閉まっちゃって行きそびれました」とかいう話を聞く事が増えてきた。



単身赴任形の駐在者から、家族移住形が増えてきた。

日本企業のカンボジア(ひいてはASEAN)に対する本気度・期待度が増大していたり(≒ 人材・予算配分が増大していたり)、カンボジアの治安改善が情報として日本にもだいぶ浸透してきていたり、といった諸要因によるものだと思うが、カンボジアにとってはおおいに喜ばしい傾向である。
で、単身者であれば食事は外食が多くなるが、ご家族がいらっしゃればやはりご自宅での食事が多くなるのは必然だ。

また、現地採用される元気な若者達も増えた。
 
彼等は体験・経験重視の低価格(薄給を厭わない)戦略で現地企業にアピールするし、生活費を切り詰めたサバイバルライフをむしろ貴重な体験として楽しんでいる(ようにも見える)。 彼等の主食は主にローカル屋台系(か同等予算で済むもの)となる。

在住日本人の全体としての人数は、家族移住形 + 元気な若者 の急増で大きく増えているはずだけど、「和食屋さんの顧客となる外食層は?」という切り口で眺めてみると、案外減ってきているような気がしないでもない。



3年前の今日あたり(2012年2月頭)の為替レートは、1ドル=80円前後であった。

日本円ベースの給料をドル転してもらって生活している駐在者にとっては、例えばカンボジア現地に割り当てた月給手取りが12万円だとすると、3年前当時のレートでの米ドル換算では1500ドル。

で、2015年に入った昨今、1ドルは120円あたりを推移している。 上記12万円は、米ドル換算で約1000ドルにまで目減りする。 
昇給を考えなければ、為替インパクトだけで500ドル減。  日本人が現地で住む中級レベルのサービスアパートメント家賃1ヶ月分が吹き飛んだような感覚だ。

真っ先に節約の対象になるのは、、、やはり外食費か。


プノンペン美味しいシリーズ4:「だんらん」の天丼。 看板メニューはうどんだが、筆者的には天丼推し。



この1&2&3の組み合わせは、きっと相互に影響しあって相乗効果を生んでいる。

日本からご家族が引っ越してきて、円安で給与手取りが目減りして、しかも前ほど和食店に惹かれない、、となれば「今日は家で家族とご飯を食べようかな」という意思決定が定常化するのは必然的な流れである。
イオンモールも開業し、主に外国人向けの生鮮野菜店なども増え、自炊環境が大きく改善したことも、この事態に拍車をかける大きな変化の1つだ。

和食屋さんに日本人の姿を意外と多くは見かけない(当然、店にもよるけれど)、、とたまに筆者が感じる感覚が事実だとすると、その要因は上記あたりにある、のかも知れない。


そういえば、ちなみに筆者は 悲しい事に おかげさまでカンボジアでは昔も今もこれからも自由気ままな単身暮らし、かつ筆者に円の給料を払ってくれる方は誰もいない。 
上記2、3に当てはまらない、もしかしたら今やレアキャラinカンボジアなんではないだろうか自分。

まあ1については筆者もご多分に漏れずの感覚で、新規開拓意欲がやや減退中である事は否めない。 何せどんどん新しい店が出来るので、全部回ろうとは流石に今は思わなくなった。

しかし好きなお店には結構通います。しかも自分で料理を作れません(涙)。 
ということで、プノンペンの和食屋さん皆様、悲しい 愉快な単身者にどうか優しくしてくださいw


プノンペン美味しいシリーズ5:会員制居酒屋「海賊酒場」の厚切りタンとハツ。 肉のプロによるカンボジアローカル牛肉料理は絶品。


※ 写真は筆者が個人的に美味しいと感じたプノンペンのお店の料理で、かつちょうど写真が保存してあったものをランダムに列挙しています。 ここに挙げた以外にも美味しく好きな店はけっこうあります。