2014/01/04

パーフェクト・ストーム・・?

いつまでやんの・・? という感が、そろそろ満ち満ちてきていたデモ行進だった。

昔、バラク・オバマが”Change !”の一言で制した米大統領選挙と、日本で民主党が”政権交代!”だけ唱って本当に与党になってしまったあの選挙。

それらを足し合わせて少しデフォルメしたような去年7月の劇場型選挙で、たぶん自分たちもびっくりするくらいの票を獲得して筆頭野党に躍り出た「カンボジア救国党」が、止めるに止められないデモ行進を毎日のように続けていたカンボジア首都プノンペン。

選挙のときは、”Change !”感満々な野党に、ノリで票を入れたプノンペン市民も、毎日続くデモが引き起こす交通渋滞にゲンナリしながら「もう支持する気なくなりましたよ」みたいな事を言い始めた、、、みたいな話が、昨年末あたりはよく聞こえて来た。

そろそろ大人の矛の納め時だろ、副首相の席も用意されているそうだし、、というタイミングかと思っていた。


気がついたら、薄給に喘ぐ工場労働者達が待遇改善を求めるストライキが激化、という話に化けていた。

報道的には、野党による与党批判デモに、待遇改善を求める縫製工場労働者達のストライキが”合流”した、という事らしい。  

プノンペンの北寄りなエリアで主に起こっているデモやストライキは、南寄りに住む住民には実感としてあまり伝わってこないが、そろそろ結構シャレにならない・・という雰囲気は徐々に浸透してきている気がする。


昔、ハリウッド映画でジョージクルーニーが主演した「パーフェクト・ストーム」という映画があった。

不漁に悩む昔気質の漁師が、仲間達を引き連れて遠洋漁業に出てみたら、地域特有のノーイースターという嵐と、運悪く同時に発生したハリケーンが融合してしまった大嵐「パーフェクト・ストーム」になって、それに突っ込んだ漁師達があえなく誰も助からなかった、、というような話。

小国カンボジアのデモ&スト合体の対比で、史実に基づく米国最大級のパーフェクト・ストームと思い出すなんて大げさな、、と思われるかも知れないが、何せ犠牲者が出ているのである、同じくらい。

あえなく沈んだ漁船の勇猛な乗組員達はたしか5、6人。 
※史実では漁船以外で亡くなられた犠牲者の方々もおられるかも
  知れませんが、あくまで映画の中の話のみ思い出した、という
  ことでご容赦ください。

今回のデモ&スト鎮圧騒ぎで犠牲者となったカンボジア人は、現地報道によると5人(日本の報道だと3〜4人)。

80ドルの月給を、まずは100ドルに、とかもったいつけずに、とりあえず160ドルに上げてくれ、という金額感のストで、既に3〜5人も亡くなっているのだ。

無論カンボジアにおいては、労働者にとっても工場経営者にとっても、命懸けで攻防するに足る金額だ。が、その代償となってしまった人命は遥かに重い。

普通に(日本的に)考えれば、デモの方は矛の納め時を完全に逸した感じがするし、ストの方も「いざ同志の敵討ち」とばかりに火に油を注いだように激化してしまいそうだ、という気もする。

一方「さすがに死ぬ気はないですよ」みたいなノリでフワッと雲散霧消してしまっても、ああカンボジア風に終わったか、、と受け入れられてしまう気もする。
1,2ドルのお小遣いがもらえる”お祭り”感覚で参加している若者達も、おそらくは少なからずいるだろう。

なんにせよ、政治や縫製工場からは遠い所にいるカンボジア人達の行動にも、次第に影響を与え始めた、このデモ&ストの融合現象。

想定外のパーフェクト・ストームとなって吹き荒れるのか、あっさり熱帯低気圧になってしまうのか、とりあえず行く末を見守るしかない現状です、、、安全地帯に身を置きつつ。

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