2014/01/22

話が違う大事な話(2)

日本がこれから良くなっていくはず、という夢のシナリオの大前提になっていたいくつかの大事な所について「あれ、何か話が違う」と感じた今年初頭の感想を、前回ブログで(ほろ酔い気分で)書いてみたら、(本酔いになって)途中で力尽きた。 

続き物にして期待を請うほどのオチは多分ないが(すみませんと先に謝っておきます)、続くと言っておいて続けないのも何なので、とりあえず続きを書いてみる。


前回ブログでは、日本のモノ作りが海外に流出し続ける状況(いわゆる「産業空洞化」)を、誰もが円高のせいにして何も対処しない(できない)まま長い時間が経った、という話までした。

かなり簡易に抽象化しているので、いろいろ語弊はあるかと思うが(ご容赦を。。)、以下の図式でまとめさせて頂いた。

(舞台:1ドル=80円の円高ワールド)
 場所    作る(費用)    売る(収益)     利益  
 国内   8千円     
       ↓ 海外生産
 海外   75ドル(6千円) → 100ドル(8千円) 25ドル(2千円)


・・そして時は流れ、また円に対してドルが高くなり、1ドルが80円から100円になった(つまり円安になった)。 ちなみに去年あたりの話である。

(舞台:1ドル=100円の円安ワールド)
 場所   作る(費用)    売る(収益)     利益   
 国内   8000
       ()           
        ↓
 海外   75ドル(7500円)→ 100ドル(1万円)  25ドル(2500)
      (②)                  (③)                            

上記の図式をここから先も何度か参照頂くため、国内費用8000円に①、海外費用75ドル(7500)に②、海外利益25ドル(2500円)に③、と番号を振ってみた。

今まで「円安になれば、輸出企業の業績がアップし、日本は復活する」と声高らかに語っていた識者達は、円ベース(25ドルじゃなくて2500円)の③だけに注目していた(円ベースの③しか見ようとしなかった)。

利益が同じ25ドルであっても、円/ドルが80円→100円になるだけで(円安になるだけで)、円で計算した利益が2000円→2500円に跳ね上がるのだから、「来たれ円安!」と識者が大合唱していたのも十分にうなづける。
 

ところで、上記図式による「産業空洞化」が続くのは大変よろしくない状況である、と多くの識者が語っていた。

何が「よろしくない」のだろう? 
一般には「日本のモノ作りの良さが失われる」とか「日本で雇用が生まれない」とか、そういう弊害が語られて来た。

そういえば、まだ十分に円高ワールドだったころ、歯に衣着せぬ物言いで有名な、インドで軽自動車をたくさん作っている自称「中小企業のオヤジ」が、

「もし円安になったとしても、いまさら日本に工場戻せませんよ。 海外で投資した工場で作って、海外で売ってるんですから。」

というような事を、けっこう大きな声でボソッと言い放っていた気がしたが、識者はみな聞こえぬフリをしていたように見えた。  

フランスから来て日本の大きな自動車会社を立て直した事になっている外人CEOも、まだ円高だった頃に、もっとはっきり同じような事を明言していたが、通訳を通してだったせいか、同じく大きく取り沙汰されなかった気がする。

そんな偉い人たち(すごい経営者達)がおっしゃる事の真意など、到底わからないけれども、僭越ながら上記の数字例を当てはめて見ると、もしや以下のような事を言っていたのではないか?

「75ドルで作ったモノを、100ドルで売って、利益が25ドル出たら、その25ドルは(円高だろうが円安だろうが)そのまま海外で次のモノ作りのための75ドルに充てますが何か?」

つまり、2000円になろうが2500円になろうが、そもそも25ドルを円に戻すつもりは(というか必要性は)もうない、と。

先ほどの図式で言うと、

 場所   作る(費用)    売る(収益)      利益   
 国内   8000
      (①)        
 海外   75ドル(7500円)→ 100ドル(1万円)  25ドル(2500円)
      (②)                   (③)

ではなく、

 場所   作る(費用)  売る(収益)  利益 
 国内    8000円          
       (①)
 海外    75ドル  →  100ドル   25ドル  ※( )の円表示が不要
       (②)           (③)

なのだ実は、と。
海外のドルはもう円に計算しなおさなくていいのだ。 だってそのままドルで使うんだから。


③の25ドルが、2000円から2500円に跳ね上がる事(円安になること)に夢と希望を託していた識者にとって、これは一大事だ。  
  産業空洞化と言われる状況が、日本にとって「何がよろしくないか」の答えは、実はおそらくこれではないか。

もはや海外の活動に関して言えば、作る費用(②)も稼ぐ利益(③)もドルのまま完結・循環してしまう。 もう円高も円安も関係ない。 

円安待望論者が期待を託していた、③が円ベースで跳ね上がる「円安効果」は、まさに言葉通り「消えてしまった」(というか「そもそもなかった」)。


悪い話は重なるもので、実際に円安が起こってみると、期待していた③の跳ね上がりがそもそも幻想だっただけでなく、皆が気付かぬフリをしていた円安効果の「都合の悪い方」が①に波及してくる。 

さらに海外では、いつまでも安かったはずの②の根底を揺るがす状況変化が起こっている。
・カンボジアがここでようやく登場・・。


もうオチが見えてきてしまったこの段階で恐縮ですが、もう一回だけ短めに続けてさせて頂きたく。。。 <(_ _;)>
明日早朝発、いつもの5時間陸路でバッタンバンからプノンペン戻りなのでそろそろ寝ます。

0 件のコメント:

コメントを投稿