2014/07/27

蜘蛛の糸が届く先:不思議な税金のお話(2)


「法律は、大きなハエが通り抜け、小さなハエがつかまる蜘蛛の巣である」(フランスの小説家オノレ・ド・バルザック)

・・という名言系ツイートをふと目にしたことから、連鎖的に思い出した税金の不思議な話をつらつらと書いてしまった前回ブログ。 


先週から日本に1週間ちょっとの出張に来ているが、ここにいるとカンボジアでは気にならないニュースが嫌でも目につく。

日経新聞(2014727日)によると、2015年1月から相続税の課税が強化される(相続税の非課税枠が縮小される)らしい。 

新聞によると、例えば夫が死亡し妻と2人の子が相続する場合、夫の保有資産が4800万円を超すと課税されるようになる。 これまでは8000万円超にならないと課税されなかったらしい。  

8000万円を超える資産というと一般人にはかなり遠い気がするが、4800万円というと、ローン返済し終わったマイホームと退職金などの貯金を持ったままの倹約家なご家族であれば、危うくうっかり超えてしまいそうな金額だ。

実際、日本全世帯(約5300万世帯)の11%くらいの世帯が、新たに課税対象となってしまいそう、とのこと。

小さなハエ普通の世帯に対しては、蜘蛛の巣の編み目は更に小さくなっている模様、しかもえらくスピーディに。


一方、前回ご紹介した日本を代表する大きなハエ優等生大企業に対しては、気持ちよく通れるように、タイムリーに巣の網目の大きさまで変えてくれる蜘蛛の糸。

この手の話が目にとまるたびに、筆者に直接利害関係はないが、何か腹立たしい記憶として思い出す、一昔前のもっと巨大なハエ達のお話。
  忘れない様にまとめておこうと思って書いたら、毎度ながら長くなってしまったので、下段に【読み飛ばし可】として掲載。。。昔話にご興味ある方、ご一読頂ければ幸いです。


大きなハエ達への最恵待遇を目の当たりにしてきた小さなハエ達が、母国日本への納税意欲を持ち続ける事は果たして可能なのか。 
(ちなみに納税は意欲でするものではなく、憲法に定められた国民の義務だそうです)

一方、小さいハエには容赦しませんよ、と言わんばかりに、最近は海外にまで糸を張り巡らしはじめた蜘蛛の巣。

5000万円超の所有海外資産ついて税務署に申告が義務付けられた「国外財産調書制度」は、もう昨年末から始まっており、今年の3月が最初の報告期限だったはずだ(違反すると1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)。

欧・米・日を中心に34 ヶ国の先進国が加盟するOECD経済協力開発機構)は、租税情報の国際間自動交換に関するスタンダードを発表し、まず45カ国が2017年までに租税情報の自動交換を行うことになるという。


ちなみに蜘蛛の糸にかからないためには、原理的に以下3つの解決策があるはずだ。
   大きなハエである(or になる)
   蜘蛛の糸が届かないくらい遠く(or近くても見えない所)にいる
   そもそもハエじゃない(or に見えない)

日本から4000Km離れたカンボジアまで、果たして届くか蜘蛛の糸。
そもそも、蜘蛛にとって美味しいエサであるハエにすらなれていない筆者(つまり③のカッコ書きじゃない方)には、全く関係のない話だが。


グローバルな脱税スキームを絡めた国際金融ミステリーをリアルに描き話題となった超人気経済小説で、ずば抜けた国際税務知識とノウハウを持ちながら、厭世的に放浪を続ける元弁護士(主人公)が、莫大な資産を持つ謎の老人に「最高の資産運用方法は何か?」と尋ねられて、

「資産運用しない事、と、税金を払わない事」

と答え、大笑いとともに信を得る、というようなくだりがあった。 

大きかろうが小さかろうが、蜘蛛に狙われるハエくらいになると、行き着く先は同じくそのあたりなんだろうか。

・・・なんでこんな話を長く書いたんだったか、よく覚えていないが、これにてこの話題は終了いたします。  週明け、カンボジアに戻ります。



【以下、とある日本昔話(読み飛ばし可)】
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日本のメガバンクといえば、三菱東京UFJ、三井住友、みずほ、りそな、三井住友トラスト、の5大銀行グループを指す(はず)。

その5大銀行グループは20123月期決算で、連結最終利益の合計24000億円(前年比36%増)と空前の好業績をたたき出した(三菱東京UFJは単独で国内上場企業の最高益)。

で、前回ご案内した「新聞記事の税金ネタは5月」の法則に従い、2012年5月あたりに日経新聞等で、当時筆者も「えっ?」と目をむく記事や情報が出回り始める。

(日経新聞 2012511日記事抜粋)
「大手銀行が2013年3月期にも相次いで法人税の納付を再開する。
11年3月期に10年ぶりに再開した三菱東京UFJ銀行に続き、今期は三井住友銀行が15年ぶり、りそなホールディングスは18年ぶりに納める見通しだ。みずほフィナンシャルグループも傘下銀行が今期から再開。・・」


平成生まれの方々がとっくに成人し、若々しくもビジネス第一線で大活躍されている今となっては、古い日本昔話かも知れないが、彼等がモノゴコロつく前の90年代前半(筆者はようやくモノゴコロついた頃くらい)、日本の民間金融機関は、どう見てもうまく行きそうもないプロジェクトや、とてもじゃないが返済してもらえそうもない相手に、こぞって超巨額のおカネを貸出し、いわゆる不良債権の山を築き上げた。


その積もりに積もった不良債権の総額は、累計で100兆円を超すとされる。
ケタを間違っているわけでもなければ、いま第一線の彼等がモノゴコロつく前の間隙を縫って日本政府がデノミ(通貨単位の切り下げ)を敢行したわけでもない。

日本の選び抜かれた超エリートが集まる超優良銀行(当時、長期信用銀行と言われた不思議な銀行が3つほどあった)が、浅黒く日に焼けた若造の「ハワイの火山の麓の荒れ地に巨大リゾートを作るんです!」といった夢物語に、数千億円(ケタは間違ってない)のおカネを貸し出したり、そういう銀行群から延べ2兆円を超える融資を受けた「料亭の女将」が数千億円の相場を張ったりしていたのだ。
・繰り返しになるがケタを間違ってるわけではない。


ようやく最近(去年くらい)から、イケてるIT系ベンチャー企業等がウン億円〜十ウン億円を調達できるようになって「ベンチャー投資業界が活況」と言われ始めた昨今から振り返ると、冗談にも程があるというレベルをはるかに超越したおとぎ話のような本当の話。


その不良債権の処理額(=返してもらう事を諦めて泣き寝入りした損失金額)が、繰越欠損金(=これから稼ぐ利益から相殺して税金不払いにしてもらえる金額)に化け、結果として大手銀行は法人税を納めなくてもいい状態がかなり長く(10年超)続いた。


ちなみに、バブル崩壊の現実が最高潮に可視化された(つぶれるはずがないとされた大手金融機関もいくつか消滅した)1997年から約10年経った2006年3月期の時点で、大手銀行グループの繰越欠損金はまだ13兆円以上あった。 

2002年1月に一度底を打った日本経済は、その後200710月まで69ヶ月間拡大が続く好景気となり(「いざなみ景気」と言われた)、大手銀行グループはその2006年3月期、過去最高となる計3兆円超の連結最終益をたたき出したが、その時ですら税金は一切支払っていない。

で、ようやく2012年、稼ぎに稼いだ利益の累積が、不良債権処理した繰越損失額に追いついて、やっと大手銀行は税金を国に納められるようになりました、めでたし、めでたし、という話。


前回ご紹介したトヨタも、2009年3月期から5年間、本当に法人税を納めてなかったとすると、2009年〜2012年の3年間(2008年のリーマンショック後、みなが痛みに耐えていた期間)、大手銀行もトヨタも国に一切税金を納めていなかったことになる。 

学校で一番の成績優秀者の学費が免除されるような特典、みたいなものだろうか。


しかも更にちなみに、2011年に唐突に税制が改正されて、大企業が繰越損失で相殺できる利益は「利益の額の80%まで」ということになった。 
つまり「繰越された赤字があったとしても、黒字が出た場合に黒字を相殺できるのは8割までで、のこり2割の黒字には課税しますよ」というルールになったということ。

その改正ルールの適用は20124月以降から。 
なぜかものすごくタイミングが良いことに、大手銀行の巨額な累積赤字が全て解消された(=累積赤字を全額フルに税金相殺に使い切った)翌年度からの適用、であった。
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※ 本稿で記載した企業業績、決算数値、年数表記等は、随所のネット情報等からあくまで筆者が「合ってるっぽい」と思ったものを拾ったもので、正確性については保証いたしかねます。 あくまで個人的感想の範囲を超えないものとしてご了承くださいませ。

2014/07/20

蜘蛛の糸が届く先:不思議な税金のお話(1)


「法律は、大きなハエが通り抜け、小さなハエがつかまる蜘蛛の巣である」

ついこの間、何かの拍子に目に留まったこの名言系ツイート。
19世紀フランスを代表する小説家オノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)の言葉らしい。
(当然、無教養な筆者はこのフランスを代表するらしい小説家を全く知らない) 


久しぶりにカンボジアの現場から離れてタイの田舎に出張中だったせいか、このツイートを見て、カンボジアとは全く関係ない話を思い出した。
(ちなみに今回は久しぶりに、カンボジアとは一切関係ない雑感話で写真もなく恐縮です)


ちょっと前に気になった日本の話。 5月後半にネットで見た記事だった。 

なぜそれを覚えているかというと、だいたい税金関係の話ネタは、3月決算が多い日本企業だと決算数値がほぼ固まる5月終わりにいろいろ出て来る、というケースがほとんどだからだ。

ちなみに冒頭で「法律は云々・・」、から入ったが、筆者は今話題の憲法や、民法・刑法などの「The法律」についてはすっかり素人である。 
が、昔少し日本で数字屋(今はカンボジアで農家)をさせて頂いていた事もあり、税金に絡む法律等の話には少し触覚が反応したりする。



まず、スゴくわかりやすい話として、
「世界一トヨタ、5年間法人税を払っていなかった! どんなカラクリがあるのか、と怒りの声」
というキャッチーなトピック。 (JCastニュース 2014528日)


「クルマの年間販売台数『世界一』のトヨタ自動車が法人税を納めていなかった。 最近、巨額の利益を上げているはずなのに、なぜこんなことができるのか」

という冒頭から始まる刺激的な内容は、20143月期の決算会見で豊田章男社長が口を滑らせた語ったという、
093月期分から納めていなかった法人税を、143月期から支払えるようになりました」
との言を受けて、「どういうこと?」との素朴な疑問を呈したものだった。

2008年9月のリーマンショックのあおりを受けた、北米発・世界規模の急激な販売不振により、さすがのトヨタも20093月期の税引き前当期利益は5,604億円の赤字に転落 (連結営業損益的には初の赤字だった)。

その期に法人税が払えないのはわかるが、さすがのトヨタはその後すぐに盛り返し、黒字額は、2,914億円(20103月期)→ 5,632億円(20113月期) → 4,328億円(2012年3月期)、ときて、20133月期には14,036億円、とさすがの1兆円越えの黒字を達成。

2009年の赤字なんて、その後の1.5年の稼ぎでとっく解消しているはずの優等生大企業トヨタが、なんで5年間も無税で・・?  極めてわかりやすい疑問である。 


90年代後半あたり、バブル崩壊真っただ中の日本を舞台に荒稼ぎした外資系ファンドの所業を「ハゲタカ」として一気に世に知らしめた、超人気経済小説の3作目は、明らかにトヨタをモチーフとした日本を代表する自動車メーカー(作品中では「アカマ自動車」という社名)、が中国系ファンドによる買収の危機にさらされる、というテーマだった。

その中で、ニヒルなカリスマ・ファンドマネージャー(主人公)の言に

「アカマがなぜ毎年1兆円以上も利益をあげていると思うんだ。
・・・あれは公然と国に差し出した賄賂だ。 彼等の究極の企業防衛策はそこにある。もしアカマが外資に乗っ取られて、本社を海外に移されでもしたら、政府は年間3,000億円以上の税収入を失う。 それが嫌なら国を挙げてアカマを守れ、そういう意味だ。」(原作より抜粋)

というのがあって、単純な筆者は「なるほど・・」と思ったものだが、なんと現実のトヨタはその頃税金をいっさい払っていなかったとは・・と、筆者的にも驚きの楽しい記事だった。



次に、スゴくわかりづらい話として、
「繰り延べ税金資産、865社が積み増し前期 - マツダやエプソンなど、黒字基調の定着で」
という、普通はさっぱり意味がわからない呪文系トピック(日経新聞 2014528日)


(読み飛ばし可)「2014年3月期はマツダやセイコーエプソンなど865社が繰延税金資産を積み増し、純利益が大きく改善した。同資産の積み増しは将来にわたり、企業が安定的に黒字を出せることを・・」

難解な呪文の解読は割愛するが、ざっくり超訳すると

「繰延税金資産を積み増した」 = 「稼げる見込みができたので、(昔の費用や損失に相当する金額の)税金を払わないで済みます」

と読み替える事ができる。 なぜそう読めるのか、の意味はここでは深く考えない。

1,200億円の繰延税金資産の計上を見込む」と記事にあったので、それを読み替えると、
「これからけっこう利益稼げる見込みがつきまして、かつ払わないで済む税金額が1,200億円くらいあります。」
と宣言しているのと同じだ。


ほぼ同日(今年5月末)にネットで流れた、わかりやすい話とわかりにくい話。 
どちらも内容は、国を代表する優等生が正当に税金を全く払っていませんでした(もしくはこれから払わないで済みます)、という内容だった所が印象に残っている。


日本では、冒頭でいう「大きなハエ」になれる優等生大企業ともなると、通り抜けられる「蜘蛛の糸」の幅も数千億円規模。 ・・いい例えが思い浮かばない。

ただ驚くのはまだ早く、もう少し前に遡ると、もっと大きいハエがいた。 

ごく最近(2012年くらい)まで、10年から18年もの長きにわたり、かなり大きな顔をしながら全く税金を払わず荒稼ぎをしていた巨体なハエが何匹かいた。 

日本を代表するメガバンク、都市銀行である。

・・・何か長い話になってきている。 
そろそろ飛行機搭乗なので、続きはまた改めて(・・ないかもしれない)。

2014/07/09

仁義なき"商号"ガチバトル(?)追記:カンボジア 商号 登記 制度


前回ブログで、個人的にちょっと興味深く眺めさせて頂いている類似(というかほぼ同一)商号の日系歯科医院のお話を書かせて頂いた。

が、よく考えたら、類似商号規制自体がもう廃止されて久しい(2005年)日本の事業家から見たら、「同じ商号で何か問題あんの?」と感じられるかもしれない。

仁義なき云々」とか大仰なタイトルを付けてしまったのに、それでは拍子抜け過ぎるので、なぜ同一・類似商号が面倒な問題につながりうるのか、、の前提情報として、妙に厳しいカンボジアの商号登記制度の実態を少々ご紹介。

(なお、下記の実態を鑑みても、タイトルが大げさであるという誹りは免れません。。。毎度ながら酔って付けたしだいですが、ご容赦を<(_ _;)> )


以下、弊社ネタ事例で恐縮だが、、、。

カンボジアで名刺交換をさせて頂く際、ごく稀にではあるが、相手様が弊社名をすでにご存知でいて下さる場合がある。

弊社、零細ながらもそこそこ長くカンボジアで事業やらせて頂いてきたので、多少は認知して頂けるようになったのか、、と思いきや、なぜご存知なのか、の理由が、

「カンボジアで会社作ろうとした時、最初に考えた社名がすでに登記されている御社の社名とカブって、商業省にハネられましてね(笑)」

というケースが往々にしてある。


弊社は企業グループ名の総称として「JC Group」と名乗らせて頂いているが、実際に経営している事業会社は「JC XXX」という商号で設立登記させて頂いている。
(「JC Holdings Co.,Ltd.」、「JC Foods Co.,Ltd.」、「JC IT Co.,Ltd. 」など複数社登記、、結構管理は面倒だったりする。。。自分がまいた種だがw)

ちなみに「JC」とは、日本(Japan)の「J」とカンボジア(Cambodia)の「C」の組み合わせ。

日本とカンボジアの協業事業をやっていこう、との思いから、双方の国の頭文字を頂き、安易な極力わかりやすいヘッダーをつけさせて頂いた。 カンボジアで起業した2008年当時の昔話である。

※なお、日本青年会議所(Junior Chamber International Japan、で略称“JC)さんとは何の関わりもありません(これもよく間違われる・・・)。



それから時を隔てて昨今、日本からカンボジアへの事業進出が一気に隆盛となってきた今、当時の弊社と同じ発想を持たれる方々もいらっしゃるようで、

「ジャパン(Japan)とカンボジア(Cambodia)をつなぐ事業だから『JCナントカ』って社名で登記しよう」

と申請してみたところ、弊社名が既に登記されているせいで登記できなかった、、という経緯で、あまりいい思い出ではない形で弊社名を覚えていて頂けている、、という話。



カンボジアで会社を作ろうとする場合、商業省(Ministry of Commerce, MoC)に設立申請をするが、まず最初の意外なハードルが「類似商号チェック」だ。

プノンペン空港近くにあるカンボジア商業省(Ministry of Commerce)、引っ越ししてまだあまり経っていない、えらく立派な建物。
関税消費税総局(GDCE)ほど伏魔殿感はない(筆者私見)。

 
役人が行なうチェック方法は、まず「ググる」。 ネット検索で同様な社名がないか、ネットでググって(Googleで検索して)チェックするのだ。 検索結果に同じ名前は似たような名前が出て来ると、なんとそこでダメ出しが入る。

なぜか類似商号チェックのカバー範囲が世界全域(※Google検索カバー範囲内)になってしまっている小国カンボジア。 

ちなみに冒頭でも少し述べた日本の場合、2005年改正前の法律(旧商法)でも同一市町村内に同一・類似商号がなければ登記OKで、仮にあったとしても営業目的が異なれば問題なく登記可能だったし、2005年に改正された会社法ではその規制自体が廃止されてしまった。
(なお、不正の目的をもって他社と誤認されるおそれのある商号を使ってはいけない、、という趣旨の規定が、会社法や不正競争防止法にもあるのでご留意を)

たいがいの法制関係は日本のルールを踏襲しているカンボジア(なぜなら主に日本人が「技術協力」というODAの名の下に丸ごと作ってあげているから)、なのに、なぜここだけ独自ルールになっているのか(これ以外も点々とあるけど)。 

明文化されたルール等ではおそらくなく、ただ役人が「ラクにチェックできるから」と自然発生的に始めてしまった慣習である、、と思われる。

当然、うまく話を持って行って、一定のネゴをする事は可能だが、Google検索結果には太刀打ちできないケースが多い。 

当然、すでに商業省に登記されている会社名も検索が入る。 そこで似通った社名があったりしてもダメ出しだ。

MoCビル内部。お役人皆様が業務に励み中。きっと業務としてググってる方も(業務じゃないけどフェイスブック中の方もw)


かくして意外にも、カンボジアできちんと登記された社名や商号は、インターネットを駆使するお役人様のご加護によって、結構手厚く保護してもらえている、という実情となる。


ホントに意外にも(2回目)手厚く保護されている商号(や商標)。
 
違う州にも関わらず遠方射撃で同一・類似商号のクレームを入れたら本当に役人が動いたり、さらに近隣他国から進出しようとする大手チェーンが類似商号の競合店に進出前からプレッシャーを(役人を通して)かけている、、という話もあったり(よくある根も葉もない噂かもしれないが、、)、けっこうキナ臭くも香ばしいネタに展開しがちなカンボジアの商号話。

とはいえこれも、しっかりと商業省に支店や会社(有限責任法人等)として登記しようとすれば、、の話。
そもそも登記していなかったり(未登記事業者を全て追いかけるのは実質不可能)、管轄官庁が異なったり(タテワリ行政のナワバリ不可侵)、すれば当然チェック対象から外れてしまう。 

そういえば、弊社と同一ヘッダーを冠された石鹸屋さんや法律屋さんがカンボジアにいらっしゃる、、そうだが、弊社とは無関係なので、並存されているのは恐らくは上記理由のどれか・・だろうか。


2014/07/05

仁義なき”商号”ガチバトル(?):日系医院のすべらない話 in プノンペン

ビザ取得・更新やら会社作りやら、何から何まで外国人にとって諸活動の自由度がかなり高いカンボジア(近隣他国比)。

外国投資は問答無用でウェルカム、と言わんばかりの「完全バリアフリー新興国」っぷりが昨今ではだいぶ知れ渡ってきて(やや盛り気味に)、「カンボジアなら何でもできる」と威勢良く突き進まれる勇ましいケースが増えて来ている。 

基本、間違ってない良い話だと思うが、実は意外と小さく見えづらい凸もいろいろあって、バリアフリーだと思って突っ走っていたら勢い良くつまづいてしまう、というケースもある。 

端から見ていて「あ、、なんかつまづきそうだな」と予感させるケースもたまにあったりする(ちなみに筆者の予感はよく外れる)。

あくまで対岸から他人事として眺めさせて頂いているケースで、筆者的に昨今興味をそそられるのが「商号」にまつわるエトセトラだ。
(なお、取引先・パートナー様が対象である場合は、当然つまづかないように極力サポートさせて頂いている。)


日系企業の進出が加速してくる → 同じ日本人だけに、同様な発想の下に同様な商売を考える方々も増えて来る → 社名・商号も同様なものが量産されがち、というプロセスで発生しがちな「商号バッティング」。

実際、小売店や飲食店で、商号に関するややキナ臭い話も起こっていたりする(らしい)が、既に起こっている(らしい)案件は、諸々差し障りがありそうなのでご紹介を差し控え。


今回は、懇意にしているパートナー(飲食店評価と面白ネタ評価で価値観を共有しているビジネスマンw)がコソッと教えてくれた注目トピックを以下ご紹介。 

なお、本件の対象に筆者は公私ともに何の接点もなく、かつ公な広告媒体に堂々と出ている話で、まだ特に何も起こってない(はず)なので、拙稿で取り上げても誰にも何もご迷惑をおかけしないはず、、と信じつつ。。。


ーーー



現在プノンペンで話題筆頭の「イオンモールプノンペン」で、日系歯科医院が開業された。



一方、時を同じくして、次の筆頭話題になること確実な大型商業施設付きオフィスタワー「ヴァタナック・キャピタル・タワー」にも日系歯科医院が開業。


ヴァタナック・キャピタル・タワー完成イメージ。実際こんな感じで仕上がりつつある。。



共に本年6月オープンのこの両医院、なんと全く同じ商号「K's DENTAL CLINIC」。


しかも、カンボジア関連の日本人に最も読まれている(と思う)有力老舗日本語フリーペーパーに仲良く(?)上下に並んで広告が(ここが笑激衝撃ポイント・・w)。 

プノンペン最有力フリーペーパーの広告欄に、キレイに上下で並んだ「K's CLINIC」両医院の広告。

広告見る限り、「K'S」か「K's」か、の大文字・小文字の違い以外は、類似どころかガチンコ同一商号。

広告デザインを見る限り、完全に他社(というか他医院)な気がするが、、本当に全く関係ないのだろうか。
(もし「実は同じグループ・仲間なんです」というオチだったらすみません<(_ _;)>、どなたかコソッと教えてください。)


上述と同フリーペーパーの新規オープン紹介欄にも、見事に上下で掲載されている。。
やはり競合他社(他医院)、、なんだろうか。





更にしかも、プノンペン在住邦人が具合悪くなったときの駆け込み寺(・・と言ったら失礼にあたるだろうか、、いつもお世話になっております)、ともいうべきカンボジア初の日本人開業医院の御名前は「KEN CLINIC」。 

 
上述同フリーペーパーの「Ken Clinic」広告欄。 K's両医院とは掲載個所は異なっていた。。


まあ「DENTAL」をはさんでないし、KenとK'S(K's)は違うから、同一でも類似でもないと言えばないが、、なぜそこまで接近戦になってしまうのか、筆者的にはけっこう不思議だ。

なんにせよ、K'S(K's)両医院について、最終的にどういうオチになるのか(同じ商号で併存するのか、どっちかが変えるのか、等々)、完全に対岸に立ちつつも、行く末にちょっと注目している筆者である。



ちなみに本件とは全く関係ない別件ではあるが、プノンペンで以前から開業されておられる「シゲタ歯科医院」。

お伺いした事はまだないが、看板日本人歯科医として知られるDr.シゲタ、の「シゲタ」は苗字じゃなくてファーストネームだった・・という事にかなりビックリした(ご本名は西原繁太先生、とのこと)、、のは結構前の話。
ビックリしたのは無知な筆者だけか、、と思ったら、同じくビックリしてくれた在住邦人の方々が複数名いらっしゃった。)

カンボジアの老舗ツアー会社による総合情報フリーマガジンに掲載されているシゲタ歯科の広告。
まさかシゲタ先生の「シゲタ」がファーストネームだったとは。。(と驚いたのは筆者だけ?)





なぜか(筆者的に)すべらないネタが、カンボジアに進出されている日系医院・クリニック周辺に集約されている気がする今日この頃。

更になぜか最近、公私ともに日系医院・クリニック様といろいろと接点を持たせて頂くケースが増えて来ている(先月、カンボジアで初の胃カメラも体験)。


イオンモールのような大手企業の迫力や、発信力の強い元気なベンチャー企業のような派手さはないが、地味ながらも(失礼・・)いろんな意味でネタの宝庫な気がしている。



日系医療業界 in プノンペン、引き続き注目しつつ、公私ともに良きお付き合いさせて頂きたいw