「法律は、大きなハエが通り抜け、小さなハエがつかまる蜘蛛の巣である」
ついこの間、何かの拍子に目に留まったこの名言系ツイート。
19世紀フランスを代表する小説家オノレ・ド・バルザック(Honoré de Balzac)の言葉らしい。
(当然、無教養な筆者はこのフランスを代表するらしい小説家を全く知らない)
久しぶりにカンボジアの現場から離れてタイの田舎に出張中だったせいか、このツイートを見て、カンボジアとは全く関係ない話を思い出した。
(ちなみに今回は久しぶりに、カンボジアとは一切関係ない雑感話で写真もなく恐縮です)
ちょっと前に気になった日本の話。 5月後半にネットで見た記事だった。
なぜそれを覚えているかというと、だいたい税金関係の話ネタは、3月決算が多い日本企業だと決算数値がほぼ固まる5月終わりにいろいろ出て来る、というケースがほとんどだからだ。
ちなみに冒頭で「法律は云々・・」、から入ったが、筆者は今話題の憲法や、民法・刑法などの「The法律」についてはすっかり素人である。
が、昔少し日本で数字屋(今はカンボジアで農家)をさせて頂いていた事もあり、税金に絡む法律等の話には少し触覚が反応したりする。
まず、スゴくわかりやすい話として、
「世界一トヨタ、5年間法人税を払っていなかった! どんなカラクリがあるのか、と怒りの声」
というキャッチーなトピック。
(JCastニュース 2014年5月28日)
「クルマの年間販売台数『世界一』のトヨタ自動車が法人税を納めていなかった。 最近、巨額の利益を上げているはずなのに、なぜこんなことができるのか」
という冒頭から始まる刺激的な内容は、2014年3月期の決算会見で豊田章男社長が口を滑らせた語ったという、
「09年3月期分から納めていなかった法人税を、14年3月期から支払えるようになりました」
との言を受けて、「どういうこと?」との素朴な疑問を呈したものだった。
2008年9月のリーマンショックのあおりを受けた、北米発・世界規模の急激な販売不振により、さすがのトヨタも2009年3月期の税引き前当期利益は5,604億円の赤字に転落
(連結営業損益的には初の赤字だった)。
その期に法人税が払えないのはわかるが、さすがのトヨタはその後すぐに盛り返し、黒字額は、2,914億円(2010年3月期)→
5,632億円(2011年3月期)
→ 4,328億円(2012年3月期)、ときて、2013年3月期には1兆4,036億円、とさすがの1兆円越えの黒字を達成。
2009年の赤字なんて、その後の1.5年の稼ぎでとっく解消しているはずの優等生大企業トヨタが、なんで5年間も無税で・・? 極めてわかりやすい疑問である。
90年代後半あたり、バブル崩壊真っただ中の日本を舞台に荒稼ぎした外資系ファンドの所業を「ハゲタカ」として一気に世に知らしめた、超人気経済小説の3作目は、明らかにトヨタをモチーフとした日本を代表する自動車メーカー(作品中では「アカマ自動車」という社名)、が中国系ファンドによる買収の危機にさらされる、というテーマだった。
その中で、ニヒルなカリスマ・ファンドマネージャー(主人公)の言に
「アカマがなぜ毎年1兆円以上も利益をあげていると思うんだ。
・・・あれは公然と国に差し出した賄賂だ。
彼等の究極の企業防衛策はそこにある。もしアカマが外資に乗っ取られて、本社を海外に移されでもしたら、政府は年間3,000億円以上の税収入を失う。 それが嫌なら国を挙げてアカマを守れ、そういう意味だ。」(原作より抜粋)
というのがあって、単純な筆者は「なるほど・・」と思ったものだが、なんと現実のトヨタはその頃税金をいっさい払っていなかったとは・・と、筆者的にも驚きの楽しい記事だった。
次に、スゴくわかりづらい話として、
「繰り延べ税金資産、865社が積み増し前期 - マツダやエプソンなど、黒字基調の定着で」
という、普通はさっぱり意味がわからない呪文系トピック(日経新聞 2014年5月28日)
(読み飛ばし可)「2014年3月期はマツダやセイコーエプソンなど865社が繰延税金資産を積み増し、純利益が大きく改善した。同資産の積み増しは将来にわたり、企業が安定的に黒字を出せることを・・」
難解な呪文の解読は割愛するが、ざっくり超訳すると
「繰延税金資産を積み増した」 = 「稼げる見込みができたので、(昔の費用や損失に相当する金額の)税金を払わないで済みます」
と読み替える事ができる。 なぜそう読めるのか、の意味はここでは深く考えない。
「1,200億円の繰延税金資産の計上を見込む」と記事にあったので、それを読み替えると、
「これからけっこう利益稼げる見込みがつきまして、かつ払わないで済む税金額が1,200億円くらいあります。」
と宣言しているのと同じだ。
ほぼ同日(今年5月末)にネットで流れた、わかりやすい話とわかりにくい話。
どちらも内容は、国を代表する優等生が正当に税金を全く払っていませんでした(もしくはこれから払わないで済みます)、という内容だった所が印象に残っている。
日本では、冒頭でいう「大きなハエ」になれる優等生大企業ともなると、通り抜けられる「蜘蛛の糸」の幅も数千億円規模。 ・・いい例えが思い浮かばない。
ただ驚くのはまだ早く、もう少し前に遡ると、もっと大きいハエがいた。
ごく最近(2012年くらい)まで、10年から18年もの長きにわたり、かなり大きな顔をしながら全く税金を払わず荒稼ぎをしていた巨体なハエが何匹かいた。
日本を代表するメガバンク、都市銀行である。
・・・何か長い話になってきている。
そろそろ飛行機搭乗なので、続きはまた改めて(・・ないかもしれない)。
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