2014/04/12

顧客志向もたいがいに。。

前回ブログで、単なる冒頭ネタフリだけのつもりが、書いていたら(溜まっていたせいか)案外長くなってしまって、それだけで本文となってしまった「クメール・ストレス」のお話。 

真面目(?)な事をクドクド書くより、ああいう話の方が多くの人に読んで頂けるんだ、、というブログの世界を勉強させて頂けて感謝です。

でもまあ、たぶん今後も、本ブログのメインは真面目(当社比)でクドい話になる、と思うが、、まあ方針はいまだ流動的です。


さて、前回のブログで本来書きたかった、筆者を最も悩ます難儀なクメール・ストレスとは、一言でいえば彼等の「イイ人君」っぷり(ただしカンボジア人に対してのみ)である。

頼もしくもあり、かわいくもあり、時にかなり小憎たらしい、
弊社期待の「イイ人君」達。 そう、原因はヤツらだ。


なぜかどうしても、カンボジア人のお客様やら業者さんやらの側に立って、彼等の立場に立った主張(≒ 会社の利益が減って、相手の利益が増える類)を目をキラキラさせながら展開。

商売相手のカンボジア人の都合や気持ちを重視しすぎる「イイ人」クン達が、すがすがしいくらいにストレスフルに「顧客利益重視」な要求を直球で投げ込んで来る。

こういう青臭さ漂う事を書いたりすると、カンボジア熟練な方々が、可哀想なヒトを見るような遠い目をしながら、

「それはヤラレてるんだよ君。。」

・・と軽い嘲笑を浮かべつつ、つぶやかれるお姿が目に浮かぶ。

お客さんと値段交渉。 なんか仲間感漂う笑顔な会話。

確かに「それは相手(顧客・取引先)カンボジア人と結託して、会社から高値を引き出した上で、相手からの分け前にあやかるフトドキモノですよ」と切って捨てるのはたやすい。

おそらく筆者が他人(例えばカンボジアに来たばかりの方)から同じような話を聞いたとしても、同じような遠い目をしてしまう、かもしれない。  

とはいえ一応筆者としても、カンボジア人達と約5年半にわたり珍道中を渡り歩き、一通りの辛酸は舐めさせて頂いているし、しかも困ったイイ人クン達は、本人も家族もそれなりに存じ上げている幹部スタッフ達だ(弊社勤務年数 3年〜5年)。 そう簡単にはダマされない、、つもりなのだが(自信いまだナシ)。

まあ、どんな話で困っているのか、具体事例を以下。。;


弊社のバッタンバン主力事業に中古農機の販売がある。

極力品質のいい中古農機(主にトラクター)を仕入れてきて、カンボジア人農家に販売。 その後の修理サポートも手厚く行なっている。

当然、所詮は中古だから、カンボジアの荒れた農地で使っていれば、必ずガタが来る。
そこで修理(部品)を提供しながら末永くお付き合いさせて頂く、というモデルなわけだが。

以下、弊社期待の星である幹部A君とのやりとり、ほぼ実録である。

オクラも担当していたA君。 乾期の間はオクラはいったんお休み。
今は農機の販売展開に猪突猛進中。


幹部A「社長、この前仕入れた中古農機ですが、機械内部のチェックをメカニックにさせたいと思います!」

社長「(うわ目がキラキラしてる・・)仕入れた時に、機械の状況について、最低限のチェックはしたでしょ?」

幹部A「しましたが、メカニックが改めて分解して中を見たところ、ギアがもうすぐスタれてしまうので、納品前に変えてあげた方がいいと思います。」

社長「(もうしてんのか、、しかも分解まで。。あ、時制酔い(※前回ブログ参照)来た・・。)でも、この前その農機を見にウチに来てくれて、買う事決めてくれたお客の農家さん、もうモノを見てOKと言ったんでしょ? 中古品であることを納得の上で。」

幹部A「はい。でも使ってみてすぐ壊れたら、お客さんががっかりします。」

社長「ちなみに何で分解したの?  お客さんはモノみて納得した後でしょ?」

幹部A「はい、でも納品前に、一度もっと詳しく見た方がいいかと思いました。」

社長「でも、お客さんが使ってみて壊れた場合、ウチのメカニックが補修・修理アフターサービスさせて頂く事も説明したんでしょ?」

幹部A「はい。お客さんも喜んでくれてました。」

社長「なあA君、納品前に、お客さんから文句言われてもない部分を、勝手に修理しても、それはウチに費用がかかって、お客さんには請求できないよね?」

幹部A「はい。」

社長「でももし、納品した後、そこが壊れて、修理サービスをしたら、それはウチの売上になるよね?」

幹部A「はい。」

社長「しかも、お客さんは、安い中古だから新車と違って壊れやすいことを納得して注文くれたんだよね?」

幹部A「はい。」

社長「では、先に納品して、後で本当に壊れたら、すぐに修理してさしあげてはどうかな? 事前に壊れそうな部を分かってるから、早く治せて、お客さんも感心してくれるんでは?」

幹部A「でも、きっとすぐ壊れるし、そうなったらウチの評判が悪くなると思います。」

社長「(・・・)でも、中古はある程度すぐ壊れるものだし、だから安いわけでしょ? うちもそれを踏まえて安い値段でお売りしているわけだから、評判が悪くなることはないのでは?」

幹部A「でも、品質のいい中古を提供する方が、ウチの評判も良くなり、お客さんも増えると思います!」

社長「・・・。(どうしてくれよう マジで・・( #))」


疲れる、ホントに。 


普段は頼もしく、かわいく、そして時にイラッと来る
彼等のどや顔。

小ウソをついたり、わかってないのにわかったフリしたりするのを、改善指導するのはむしろラクだが、この真っ当なイイ人論に基づく主張を変節させるのは、かなり面倒くさい。 
会話(説得)に時間がかかり疲弊度が高い割に、極めて非生産的なタスクである。

この話、仮に性悪説に立った(Aが客と握っているかも疑惑)としても、A君の「実入り」は実質ないはずだ。
部品の値段なんてたかが知れてるし、弊社としても仕入れ価格・販売価格も決まっていて、キックバック云々の余地はほぼないからだ。

純粋に、お客さん満足向上させて、今は損(自腹で修理)してでも将来の得(レピュテーション向上→顧客増)を取ろう、、という、どこかの薄いビジネス本かネット情報でCS(顧客満足)的な話をかじってしまったばかりに投げ込んできた、としか思えないド真ん中直球ストレートである。

しかもここ、適当に見逃したり、流したりでもしたら(社長的に)致命傷になる所である。 

A君の主張自体は、薄くても一応まっとうな顧客志向ロジックに基づいているから、なぜそうではなく会社利益を重視すべきケースなのか、ガチンコにビジネス的な理屈で打ち返さないといけない、しかも納得させて意見を変えさせるように。。

「いいから言う通りにしろ」系の強行突破は、社長的に実行する権利を持ってはいるが、行使してはならないオプションだったりする。 特に「自分は優秀」と「隠れ自認」している彼等(≒ ほぼ全てのカンボジア人)に対しては。。。


上記は最近起こった実例だが、この手の話が非常に多い。

その度に「イイ人君達」が利益を代弁してくれる対象は、オクラ農家だったり、内装業者だったり、雇った車の運転手だったり、と様々だが、事の本質は一緒である。

やはりウチが(カンボジアから見て)外資だからだろうか。 外資に働きながら地元カンボジア人のためになる事にまい進する事が、彼等の自尊心をくすぐったりするんだろうか・・。 

仮にそうだどしても、総論はおおいに賛成だが、各論でちょっと歯止めかけたい中小企業社長の悩み。
まだまだ理解できない事が多いなクメール文化・・。


本当に体の芯から疲れるこの類の会話。 トークが極めて長くなるので、はからずも英会話のいい訓練になってしまっていることだけは間違いない。

思い出しながら書いてたら、あの時の疲れがぶり返してきてしまった。。。 

今回もまた尻切れトンボで恐縮だが、どうやってA君を説き伏せたか、たいした話ではないが他にネタがなければまた次回。。。

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