2014/03/30

ロボコンに見た期待と希望 in カンボジア

ちょっと(筆者的に)感動的なイベントに参加させて頂く機会があったのでご紹介したい。

先日3月29日にカンボジア首都プノンペンで開催された、大学対抗ロボット・コンテスト(通称:ロボコン)。

カンボジアを代表する技術系大学の学生達がチーム単位で参加。 
各チームが、大学で学んだ知識と技術の粋をつくして作り込んだロボット達で、そのワザを競い合う。


参加チーム43組。 各チーム製作の個性的なロボ達が、白線のコースを自走。
コースアウトせず走り抜け、終点でピタッと止まれればゴールで、走行タイムを競い合う。
センサーの感度・配置(蛇行する白線をしっかり読み取れるかどうか)とスピード(早過ぎると脱線)の調整バランスが勝負の分かれ目(たぶん)。


大会主催は、参加する各大学による自治運営、という形になっている。

が、実際のところは、大会放送局を担うカンボジア国営テレビ(National Television of Cambodia)と、「日本人ボランティア支援隊」および協賛日系企業(主にスポンサー)からなる、日カン共同戦線メンバーによる強力な下支えにより、無事大会開催にこぎ着けた。


各チームが自信作のロボを手に抱負を語る。 みなホントにいい笑顔。


共同戦線といっても、ほぼ全ての段取り・準備は「日本人ボランティア支援隊」の獅子奮迅の働きによるものだ(筆者私見、なお筆者は入隊しておりません)。

発案から開催まで、ほぼ全てを司った日本人シニアボランティア(支援隊長)の奮戦記は、ビジネスオンラインマガジン「JBPress」で今年頭から連載中なので、ぜひご一読頂きたい(ブログ後段にURL記載)。


一周してゴールすれば良し、制限時間内であれば何度もトライ可能。
 途中で止まってしまったロボを必死に修理(調整?)する学生。
参加していた大学生はみな真剣そのもの。


(筆者的に)感動的だったのは、何よりカンボジア人大学生達(および関係者達)の、本大会に対する熱意、真剣度が、大会をチラ見しにいっただけの観客(である筆者)にもヒシヒシと伝わったことである。

この企画を昨年の段階で聞いたとき、良い話だな、、とは思いつつ、果たして真剣に参加するカンボジア人大学生(および大学教授・運営主体などのカンボジア人オトナ)がどれだけいるのか(そもそも開催まで辿りつけるのか)、、と感じたのが正直な所である。

そもそもカンボジア人は、自分達が見た事・やった事がないモノやコトに極めて慎重・消極的だ(当社比)。 

しかも、やったところでお小遣いになる話でもなく(賞金は出るにしても)、大学の成績に何らか有利に働く事もなく(たぶん・・もしかしてあるかも)、国営テレビ局員等のオトナ達にも何の実入りもない(はず、たぶん)、、そもそも誰も見向きもしない可能性も十分にあったはずだ。

まあ、趣旨たるは良い話だし、仮に実現はしないにしても、取り組む事自体に意義もあろう、という諦観の境地も念頭に、微力ながらご協力をさせて頂いてきた。


今大会最速タイム26秒44をたたき出した瞬間。 控え目だが全身から喜びオーラが発散。


ところがフタを開けてみれば、熱意あふれる大学生達43チームによるガチンコ・レース。
各チームが2回走るので、果たしてこれ今日中に終わるのか、、と余計な心配をしてしまうほど。

レース中も悲喜こもごも、控え目ながら嬉しさあふれる(小さな)ガッツポーズから、ホントに悔しそうな表情まで。 

いつもとは違う角度から、カンボジア人若者達の将来に期待と希望を感じさせるイベントだった。


ロボコン初回を激走したロボ達、全員集合。 お疲れ様でした。


筆者はこの企画に関与するまで知らなかったが、そもそもロボコンとは日本発のコンテンツだ。

日本のNHKが1991年に日本国内大学対抗コンテストとして開催したのがスタート。
その2年後の1993年には、日本国内大会にタイ、アメリカが参加。 

2002年からはABU(アジア太平洋放送連盟)主催のアジア大会開催。 以来毎年開催されるアジア大会は12回を数え、現在では19の国と地域が参加するまでになっている、らしい。


優勝チームを表彰。 緊張と喜びが入り交じり。


日本発で世界に展開したコンテンツを、日本人ボランティアとカンボジア人が協力しあってカンボジアに初導入、そのコンテンツに将来あるカンボジア人の若者が熱意をもって参加する。

毎年開催することで、先述のABUアジア大会への出場権も得られるらしい。
隣国のタイやベトナムは、すでにかなりの強豪国とのこと。 カンボジア代表チームがアジア大会で活躍する日も、そう遠くはない、、、か?

何にせよステキな話である。 たまにはこういう素直に良い話を、クドい曲がりくねりナシで素直にお伝えしたいと思った今回のブログ。


今回おおいに株を上げたNPIC(カンボジア国立工科専門学校)。
優勝チーム含め上位をほぼ独占。(筆者の勝手な)事前予想では技術系メジャーなITC(カンボジア工科大学)が優勝候補筆頭と思っていたが、実際の結果はNPIC.。
これが広まれば、技術系大学のブランディングに効果あり?

大会運営もまだ途に着いたばかり、ということで、事前連絡が何もないまま意外に盛大だった協力企業の紹介(おそらく誰も聞いていない、偶発的サプライズ)もご愛嬌。
 
まさか賞状まで頂けるとは思っていなかったが、不覚にも短パン・サンダルで来てしまった筆者は遠慮させて頂いた。


微力ながら弊社JCGroupも、スポンサーかつホームページ制作等々ご協力させて頂き、
多くの日系企業スポンサーとともに紹介して頂きました。

事前に話聞いてなかったサプライズ表彰(協力企業向け)。
弊社JCGroupを代表して、今大会のホームーページデザイン等を手がけた弊社アートディレクター中村が。

本大会開催まで見事にこぎ着けた、日本人支援隊長 金廣 純子さんの「ロボコン奮戦記」(勝手に筆者がそう呼んでいます)は、先述のJBPressで連載中。

ちなみに筆者もJBPressでカンボジア関連記事(カタい話ばかりだが・・)を定期的に寄稿させて頂いているが、、、最近お留守になっている。 
暖かい編集の方々に見捨てられないうちに何かまた書かないと。。。



2014/03/23

離島の楽園 in カンボジア

3年(以上)ぶりに訪れたシアヌークビル(カンボジア語名称:コンポンソム)。 

カンボジア首都プノンペンから西へ約230Km、国道4号線を4時間ほど走った先にある、タイランド湾に面した当国随一(というか唯一)の港湾都市(というか町)。 

今はプレハシアヌークという州の新名称が付されているらしいが、まあ旧名の方がしっくり来る在住者が多いと思う。

ふと思い立って、ちょうど出港20分前だったツアーボートにすべり込み、離れ小島に渡ってみたら、なんと本当にパラダイス。 期待値高くなかっただけに、衝撃は大きく。。。本当にカンボジアかここは?

やや曇り空だったのとスマホ写真解像度の限界(というか写真のワザの未熟さ)が悔しいところだが、実際は写真の数倍美しいビーチでした。 


注:カンボジアです。


海水の暖かさ、温めの温泉な感じ。。。気持ち良すぎ。


左側に広がる青のグラデーションを、、伝えきれず。

本当に白い砂浜。。

バンガロー宿泊施設もあり。


空いてるバンガローを勝手に覗く。

分かる、、その気持ち良さ。

名残惜しそう1

名残惜しそう2

気の良いボートクルー達。

帰港。


Koh Rong Samloem (ロン・サムロェム島)。 
シアヌークビルからツアーボートで2時間半、スピードボートなら45分程度の離島。

まさかの楽園 in カンボジア。 
今回は短時間の滞在だったが、いつか必ずまたゆっくりと来たい。

2014/03/19

恐るべしカンボジア人の「値付け」感

カンボジア第2の都市と言われる地方都市(というか町)バッタンバン。

第2位とはいえ、第1位の首都プノンペンには何十馬身も引き離されており、距離が縮む気配を感じさせた事は歴史的にも所感的にも一度もない。
「1位以外はビリと一緒」という某カリスマ経営者の言をリアルに体現している片田舎町だ。
仕事を終えた後、夕食を食べて、そのあと特にすることがない。(ない事もないが、ほぼない)

そんなバッタンバン市内に比較的最近できて、個人的にお気に入りな、
完全に「地元カンボジア人向け」のスパがある。 
(※ 以下、「地元カンボジア人」を書きやすさの便宜上「ローカル」と表記しますが、特に他意はありません)

なんで「完全にローカル向け」と思うのか、と言えば、例えばシャワールームに備え付けてある以下;
どちらかがシャンプーで、どちらかがボディソープである確率が極めて高いが、
クメール語(カンボジア語)が読めない身にはさっぱり解読不能。

「Shampoo」と「Body Soap」の英語ラベルくらい張っても良かったんじゃないか、と首を傾げたくなるが、、ソフト面でここまで「ガイジン度外視」の姿勢を取られると、やはり「ローカルのローカルによるローカルのための」スパなんだと思わざるを得ない。

もう1つ、「ローカルのローカルによるローカルのための感」を痛烈に
醸し出すのは、ソフト設計の極みとも言うべき「値付け」の部分である。


例えばちょっと良さげな新しいホテルがバッタンバンに出来たとする。

そのうち泊まってみようかな、と思いながら中をのぞいて値段を聞くと、たいがいが近くのゲストハウスや古いホテルと大して差がない部屋代を提示してくる。

ちなみにバッタンバン出張時に筆者が常用しているホテルは、WiFi完備(YouTubeがカクカクせず見られるくらいの強さ)・空調完備・部屋も清潔・お湯もOK(ちょっと弱いが)、で素泊まり一泊14ドル(約1400円)。

一方、近くの古いゲストハウスだと、エアコン付きの部屋は素泊まり一泊12ドル(1200円)だ。 その差たったの2ドル(約200円)。
・ちなみにエアコンなしでいいなら一泊7ドル(約700円)だ。

我が常宿は決して新しくはないが、仮に部屋が毎日フル稼働していたとしても、一泊14ドルで果たして元が取れるのか。。。と他人事ながら心配になる。

だが、この「元が取れるのか」という発想が、どうやらローカル意識の
初期設定にインストールされていない、ようである(筆者私見)。


中途半端にビジネス算数をかじってしまった身としては、たとえば5億円でホテルを建てたとして(カンボジアであれば結構立派なのが建つはずだ)、

「建物が50年もつとして、5億円÷50年=1千万円は毎年回収していかないとな 」(いわゆる耐用年数を50年とした減価償却)。

「銀行から借りてたとしたら、元利の返済原資は毎年回収していかないとな。」

とか、みみっちくも当たり前の収支計算をしてしまう。

その回収分を部屋代に乗せるので、当然ゴツいホテルを建てれば部屋代はそれなりに高くなるはず、なのだが、ローカルの発想はどうやらチョット(いや、かなり)違う。


外国人が余計な関与・アドバイスをしていない場合(≒ ローカルだけで建てた場合)、どうも彼等は「建物を建てたコスト(資産計上額)の回収」をあまり想定していない、気がする。

「いいホテルを建てたら、価値は減らないし、将来きっと高く(外国人に)売れるし、しかも銀行から借りてないし、あぶく銭で造ってるし、将来子供達に残す資産ですが何か?」(某ローカルの言、筆者意訳)。
・たしか相続税も贈与税もカンボジアにはないはずだ。
 (間違ってたらすみません)

人件費や水道光熱費などの諸経費はカバーしなければならない、とは思っている。
だから、古いホテルやゲストハウスとの違いは、スタッフ数や部屋数の規模(による経費の違い)だけだ。 
光熱費は設備によって結構変わるが、スタッフ人件費はホテルの品質とは無関係にほぼ横並びである(地方だと特に)。 基本的な所にかかる経費は新しいホテルも古いホテルも大差ないのだ。

しかもターゲットは、豪華ホテル(非日常空間)を楽しむ事に意義を見出すほどの文化成熟度にいたるにはまだ時間がちょっとかかるローカルだ(当然、例外もいるが)。 夜寝るだけの部屋に高値を払うのはナゼ?、という初期的疑問から抜け出せずにいる。

結果として、ゲストハウスとガチンコ競合するような値付けの提示となる。

言い換えれば、「ローカルのローカルによるローカルのための」ハコモノ施設を経営するローカルの念頭には、EBITDAの概念しかない(筆者私見)。 
 ※ EBITDA : ここまで長々と話した内容を一言で表せる便利な会計用語
  (詳細気になるレアな方は、リンク参照してください。。)

それが、ハコモノの空間品質レベルによって払う対価が異なる事をまだ理解しないターゲット(ローカル)の値頃感とバッチリかみ合って、常軌を逸した値付けがまかり通っている。

経常利益を意識せざるを得ない普通の外国人が勝負しても、勝てる見込みは薄そうだ。


日本でお世話になった前職会社の創業者いわく、
「差別化戦略ってのは、平たくいえば『真似できない』『真似したくない』『真似したら損する』のどれかを相手に思い込ませる事だ」
との事だが、、、、(たぶん)意図せずそれを体現しているローカル。

まあ、どこかの先進国の民も、20年ちょっと前までは「土地はぜったい価値が上がり続ける」と盲信して、国民みんなで年収の数倍のレバレッジをかけて土地&住居に資産をぶち込んで、アジアのキセキを言われる経済成長を達成したわけだから、、、あながち「ローカルってやっぱおバ●なんじゃないの?」と吐き捨てられる話でもない。 

むしろ、歴史が繰り返すとすれば、カンボジアが今そういうフェーズなんだ、、という事だろうか(筆者にはとてもじゃないが乗れない仮説)。

というわけで、まあハコモノ系でローカルと勝負される勇気ある外国人の方々にとって、上述のような無邪気なローカルが実在している事を念頭に置いておかれることは、たぶん無駄にはならない。。。と思います。


シャンプーとボディソープがどっちかわからない、、というネタから、
またあらぬクドい方向に話が進んでしまい、反省のかけらも見えないこのブログ。

今回、ここまでお付き合い頂いた方々に感謝を込めて、バッタンバンの
穴場情報を以下;

筆者お気に入りのローカル向けスパ in バッタンバン、客がいたら写真撮れないが、客がいないスキを見て内部撮影に成功。 おそらく本邦初公開。

40℃チョットのほど良い温度に調整されている大浴場。
カンボジアで手足のばしてゆっくり浸かれる風呂は貴重。

奥のドアは、左がサウナ・中央がスチーム(右はお手洗い)。
 サウナは香りがする木片を焼べてたりして、リラックス効果満点。
手前の風呂はサウナ用水風呂。
停電した時ジェネレータ発電に切り替わるスピードはカンボジア最速(筆者所感)、まさに電光石火。

この浴場を好きなだけ楽しんで、冷たい水やお茶も実質飲み放題で、しめてたったの3ドル(約300円)。
・フリードリンクはホントは1杯だけらしいが、従業員が
 誰も理解しておらず、頼んだだけ持って来てくれる。

浴場 + マッサージ(正統派マッサージ、約1時間)をつけたセットメニューは、ボディ・マッサージで5ドル(約500円)、フット・マッサージで6ドル(約600円)。

これぞローカルの値付け感、と肌で感じられる、脅威的なコスパのスパである。

普段たいして客は入ってないが、小リッチ風のカンボジア人♂が数名、こうるさく談笑しながら慣れない感じで施設利用している。

妙に低く温度設定したサウナに短時間入り、その後妙に長く水風呂につかる、、という、ローカルの体感温度の不思議さをシュールに観察する事もできる。
・サウナの温度を下げるのは停電ではなく彼等である。


ちなみに、あまりのお得感でローカルに知れ渡り始めたのか、大挙してやってきた弊社バッタンバン事務所のトラクター野郎軍団(従業員達)とバッタリ裸(レンタル水着は着用)で鉢合わせしてしまい、かなり気まずい感じ(軍団の方が)が醸成された先日。

彼等の月給から生活水準まで、一応社長なのでよく知っているつもりだが、そのローカル一般所得層な彼等がプライベートで押し寄せるんだから、ここは近々、ローカル庶民の遊園地になってしまう確率が極めて高い。

リラックス空間としての耐用年数はかなり短めになりそうだが、ローカルな値付けはたぶん変わらないので、静かなうちに十分楽しんでおかないと。

・・そもそもバッタンバン自体が、穴場を通り越して僻地すぎて、あまりお役立ち情報になってなかったら恐縮です。。。 
バッタンバンにお越しのレアな方、ぜひ一度お試しを。



2014/03/15

国境物流:カンボジア稼ぎ頭の必殺技

他の新興国事例のご多分に漏れず、お役所にはいろいろと手を焼かされるカンボジア事業。

その最たるものと言っても過言ではない”カンボジアの伏魔殿”こそ、
「カンボジア関税・消費税総局(General Department of Customs and Excise, GDCE)」である(当社比)。

所得税や法人税(いわゆる直接税)を徴収する機能が全く備わっていない(と言っても過言ではない)カンボジアにおいて、国の稼ぎ(歳入)の堂々約6割を占める間接税。 

この間接税の内訳の大部分を、関税と消費税(付加価値税、Value Added Tax)が占めている。 その関税とVATの徴収をその双肩に担う、まさに国を支える「稼ぎ頭」だ。 

カンボジア地方での農業事業を営む弊社にとって、コメやオクラなどの生産物を輸出するにしろ、農機や資材を輸入するにしろ、常に避けては通れない面倒な難敵 いつもお世話になっているお役所の皆様である。

農業事業の拠点がタイに近い関係で、取引先もタイに多く、タイとカンボジアの陸路国境でよくお世話になる。 
苦節X年、GDCE皆様にいろいろと手を焼かされて来た ご指導ご鞭撻を頂いてきたおかげ様で、ようやく諸々スムーズに通関処理をこなせるようになってきた。 

普段はシャイであまり表にお出ましにならないGDCEの皆様。 普段すっかりお世話になっている御礼も兼ねて、勤務に励まれている風景を支障ない範囲内で少しご紹介したい。

パイリン特別市に近いタイとの国境地帯”プラム”。
カンボジアとタイとの陸路国境はいくつかあり、ここはどちらかというとマイナーな穴場スポット。 

陸路国境エリアではお約束のカジノ。 右手前の小さい建物はカジノスタッフ宿舎、、
ではなく国境警察と入国管理局。 カジノと役所がなぜか建物の色調を合わせたり。

伏魔殿プラム支店 プラムの関税消費税総局(GDCE)。 
戦いは会議室の中で起こっている。
          
GDCEプラム支店オフィスでは、数名のお役人皆様が、カジュアル気ままな服装で勤務に励んでおられる。 カジュアルすぎて、誰が作業スタッフで誰が偉い人なのか、一筋縄では分からない。

GDCEプラム支店の内部。 勤務中の服装は意外やカジュアル。

ヒマそうにスマホ眺めている右側女性。 やる事ない事務スタッフ、かと思いきや
実は実権握ってる要ケア人物。やる事ないという点は合ってる模様。

首都プノンペンですらまだまだシステム化が進まない現状において、辺境のプラム支店とあっては当然、全て手書きである。

何を記入しているのかはさっぱり定かではないが、全ての書類に何かクメール語で熱心に手書きして頂いている。 
腱鞘炎が心配されるくらいの文章量だが、イライラに歯ぎしりしながら ご尽力に感謝しながら見つめるのみの弊社メンバーである。
全ての書類に手書きで何やら記入。 効率化させるつもりを毛頭感じさせない。

以下、「彼等」 が誰かは特に言及しない、筆者の独り言である;


数あるお役所の中で「彼等」にだけ与えられた特別強烈な必殺技は
「何もしない事」だ。

例えば税務署などは、納税を怠ってそうな法人を自ら選定・アプローチし(カンボジアでは個人には来ない)、難癖をつける 指導を行なう事で小遣い稼ぎをする 徴税を実施する。
つまり、税務署は自分で”攻めに”行かなければ稼げない。

一方「彼等」は、モノを動かしたい個人・法人に対し、何もしてあげない事で強烈なダメージを与える事ができる。
攻めるでも守るでもなく、何もしない放置プレイが必殺技。 国の稼ぎ頭になれるわけだ。

当然、ライセンス許認可の権限を持つ省庁等も、同様なワザは持っている(実際に駆使しているケースもある)。
が、東南アジアに進出する企業であれば、許認可には時間がかかる事くらい、ある程度事前に想定しており、計画的な持久戦に持ち込む事も不可能ではない。

一方、物流の場合、モノはもう国境まで来ているわけで、モノによっては時間の経過で劣化するものもあり、納期の問題もあり、「国境でストップ」という状況が与えるダメージは計り知れない。

しかも国境保管の一定フリー期間(一週間程度)が過ぎると日数ベースでペナルティが発生するというボディブロー付き。 一見地味だがかなり強烈だ。

体感してみると分かるが、高利貸しのトイチやトサンを彷彿とさせる勢いで日々蓄積していくダメージ(増額していくペナルティ)。 

しかも更に一定期間がすぎるとペナルティ金額(率)が一気に跳ね上がり、しかもそれが全く通知されず、身代金 請求額を聞いた段階で初めて知らされて腰を抜かす。
払わないと当然、身柄を引き渡してもらえない 保管倉庫から出してもらえない。 パケ死ならぬペナ死である。

この”はじめの一歩”並みのボディーブロー連打で、あえなくノックアウト(カンボジア撤退)した日系企業も実在する。


どこかの国の国会で以前よく見かけた「牛歩戦術」に似ているが、さすがにそこは先進国だけあって「牛歩」程度の進捗は見せる。

が、「彼等」はそう甘くはない。  何もしない事など造作もないのだ。
ふと事務所からフラリと外に出て、いつ帰ってくるか分からず、電話も通じない、という状況を作り出せば良いだけである。 

モノを動かしたい個人・法人がいなければ一気にメシの種に詰まるはずの「彼等」だが、2015年のASEAN経済統合に向け、ますますヒト・モノ・カネの流れが自由になる潮流の中、南部経済回廊の要衝となる(はずの)カンボジア。 
放置プレイで苦しめる お世話をする相手には当面事欠かなそうである。

弊社の”ブツ”は半日で通関終了。 国境警察官が物珍しそうに写真を撮っていた。

弊社は幸運な事に、放置プレイをされる事もなく、正規な形で普通にモノを出し入れさせて頂いている。 

日々「彼等」皆様に感謝です。  
あ、同じくスムーズな処理でいつもお世話になっている、首都と港(海の方)の「彼等」皆様にもMy Best Regards。



2014/03/07

最強のローカル麺屋 in バッタンバン

「カンボジア情報を発信していこう」とブログを始めた時(思い立ったのは去年、やっと始めたのは今年の年明け)、「カンボジアでの飲み食い・ぐるめネタなど柔らかい情報も発信したいです」などとご挨拶で書いたりしたが、有言不実行のまま今日にいたる。

むしろ、カンボジアを無理矢理引き合いに出してるけど、中身は全然関係ないじゃないか、みたいなクドい話に走ってみたり、、出だしから方向性を見失いかけている本ブログ。

初心に帰って「カンボジアにも美味しいものありますよ」という気楽な情報も少しずつお伝えしていきたい。

なお、飲み食いネタの味についての書評はすべて独断・私見、味の好みは人によって千差万別ですので、お好みに合わない場合は悪しからずご容赦を。。


首都プノンペンから北西に300km、弊社の農業事業拠点となるバッタンバン州の州都バッタンバンに、その「最強のローカル麺屋」はある。

店の名前はいまだに知らない。看板もないし。 
でもバッタンバン市ではかなりの有名店で、特に朝食の時間など、かなりの頻度で(あやうく毎日)通っているが、すいているのを見た試しがない。

結構大きな店構え。 看板なんて無粋なものはつける気もなさそう。
弊社内での通り名は「朝飯の店」。 

値段は実はあまり安くない、むしろ高級店な価格帯だが、毎朝カンボジア人で賑わっている。
毎朝これくらいの込み具合がほぼ通常。


断トツのイチオシは鴨肉のミーティウ(小麦麺) ↓
ミーティウ(小麦麺)・サイッティア(鴨肉)・オッチュアン(骨抜き)。
ちと高めで9000リエル(2ドルちょっと)だが、断トツ人気メニュー。
本ブログのトップバナーにも写真使わせて頂いている個人的に最も好きなローカル食。

写真だと麺に隠れて見えないが、キーヴ(カンボジア語でワンタンのこと)が平均2つ程入っており、たまに鴨の肝も入っている、ボリューミーな一品。

ちなみにキーヴはバッタンバン名物、、とバッタンバンの民(弊社スタッフ)は言うが、ホントかどうかはわからない。

注文時に「骨抜き(オッチュアン)」と言うのがポイント。  これを言わないと、骨付き肉が好きなローカル仕様で出て来て、食べるのがかなり面倒くさい。

「ティア」は翻訳本とかだと「アヒル」と訳されるケースが多いが、ここはあえて「鴨」と言っておきたい。 きっと合鴨あたりのはず、と信じて。 
やはり「アヒル蕎麦」より「鴨蕎麦」の方が食べたい気持ちになってくる。


定番の豚肉クイティウ(米麺)↓も、プノンペンでも滅多に出会わない美味さ。
クイティウ(米麺)・サイッチュルーッ(豚肉)。これもかなり美味、
6000リエル(約1.5ドル)。


どちらの写真にも右端に控えめに写っているツケダレが、肉&スープの美味さを引き立てるのだが、原料が何か等はさっぱりわからないし、考えない事にする。


麺以外にも美味いものあり、人気は↓の肉まん(?)
混んでる店内に入らないテイクアウトの客に、店頭で飛ぶように売れて行く肉まん
中にはタマゴも入ってます。


昼も夜も店は開いている。 夜になると人気の麺類(特にミーティウ)はスープ・具材等がなくなっていて終了している事が多いが、普通の単品夜メニューのレベルも結構高い。


グルメネタ初回ということで、カンボジアで最も足繁く通っているローカルレストランをご紹介させて頂いた。
バッタンバンにお立ち寄りの際はぜひトライ頂きたい。

バッタンバン中心地の川沿い近く、街で唯一のレストラン街にあります(わかりづらい説明で恐縮です。。。)。


2014/03/01

北の漁場のカンボジア船:なぜカンボジア船籍が日本近海で火災・座礁するのか

昨今の日系企業によるアジア進出ブームのおかげで、「カンボジア」という国名も各種ニュース報道にだいぶ前向きな話で名前があがるようになってきた。

とはいえ、果敢な日系企業のカンボジア進出チャレンジ話はまだチラホラ出て来る程度で、むしろ定期的に「カンボジア」の名前がニュースに出て来るのは、火災や座礁で日本に迷惑をかけ続ける「船」の話の方だろう。

日本近海、主に北の海で、しょっちゅう船上火災や座礁などを引き起こし、各県の海上保安部にご迷惑をおかけしている貨物船は、たいがい
「カンボジア船籍」の何某、として各種ニュースに報道される。

昨年3月に青森県で座礁したカンボジア船籍の貨物船(朝日新聞Digitalより)。
放置されたまま丸1年が経過。海流で南に500m程移動したとか。

多くの方が既にご存知(もしくはお察し)の通り、実際に約4,000km彼方のカンボジアから貨物船が遠洋はるばるやってきて、日本の海で力尽きて(座礁)もしくは燃え尽きて(火災)しまってるわけではない。

そもそも申し訳程度にタイ湾に接した部分(海岸線約440km)でしか海との接点のないカンボジアに、遠洋航海のスペックなど蓄積されるわけがない。
・ちなみに島国日本の海岸線は約30,000km(世界6位)

カンボジア的には、浅瀬な近海(海岸からすぐそこ)でラクにとれるエビ・イカ・カニを胡椒で炒めて十分美味しいシーフードを堪能しているだけで、当面のところ海との付き合いは十分なのである。
・当然、気前良い先進国が海辺に自腹で立派な港をガツンと
 作り込んでくれる分にはやぶさかではない。

日本にご迷惑をおかけしている「カンボジア船籍」の船は、「船籍」がカンボジアであるだけで、実際の船主・船員ともに全くの「外国人」である。
※カンボジアから見て「外国」(以下同じ)

人間(自然人)や会社(法人)と同じく、船にも法律上の「国籍」があり、それを「船籍」という。

船に「船籍」を与える要件は国によって異なる。 
その船が自国で製造された事だったり、所有者が自国民である事、船員が自国民である事・・、etcなどのルールがあって、要件(および管理・監督)が厳しい国と緩い国がある。 当然、日本は厳しいし、カンボジアは緩い。

実際の所有者の「国籍」と「船籍」が異なる船を、「便宜置籍船(べんぎちせきせん)」と言い、そういう船に船籍を与えることができる国を「便宜置籍船国」と言う。

「便宜置籍船国」は、緩い要件や税金メリットをこしらえて、外国船を積極的に誘致する。 外国企業を誘致するのと動機の構造は一緒である。

つまり日本近海を騒がす「カンボジア船籍の貨物船」とは、形式上の船主(船の所有者)はカンボジア人だが、そのカンボジア人は船に乗っておらず(もしくは乗った事もない、もしくは見た事もない)、実質上の船の支配者や乗組員は外国人である船、ということだ。
・そのカンボジア人は船主の名義貸しで何らか見返りをもらっている
 、、かもしれない。

同様な便宜置籍船国として有名なのはパナマで、一時期は世界の船の
20%くらいはパナマ船籍の船だった事もあるはずだ(記憶違いだったらすみません)。

ちなみに日本船籍の船だと、一定の法定職員(海技免許など持ってる技術系スタッフ等)は日本人乗組員でなければならず、人件費的に海運コストとしては全く割りに合わない、、から日本の貨物船もパナマ船籍にしている、という話が多かった(これも昔の記憶ベース、間違いだったらすみません)。

カンボジアも便宜置籍船国として、他国に比べて緩い船籍取得基準(乗組員の国籍・資格制限がない等)を提供し、また国際ルール上義務づけられている外国船舶監督官(PSC)による船舶検査もおそらくは緩い、はずだ。 
よく船上火災や座礁が起こる、ということは、船の整備状況が劣悪であることの裏返しである。 基準も検査も緩ければ、整備不良の船となり、至る所で事故を起こす。

国際基準を満たさない整備状況で航海する船の問題は、サブ・スタンダード船問題と言われ、船舶事故の大きな原因の1つとして海運業界では取り沙汰されている、、らしい。
(ここはカンボジアとは関係ないので深入りしない)


日本では水産庁によるロシア船籍漁船の入港規制が厳しくなり、かの国の勇猛な海の男達は、なんとか美味しい日本の「北の漁場」にラクに入場する為のあの手この手を考えざるを得なくなった。

カンボジア船籍の入港数や、主に北の海での迷惑事の案件数が急激に増えた2001年以降と、タイミング的に符号する、という説もある。
カンボジアの港町でうごめく活動されている外国人に、かの国の方々(と思しき方々)が妙に多い気がするのが、本件と関係あるのかどうかは定かではない。

日本では、おそらく報道上のルールか何かで、悪さをしたヒト(自然人、法人、船、etc)の国籍を明示する事になっているから、「XX国籍の男(女)」とか「XX国の企業」とか「XX船籍の貨物船」とかがニュース上で必ずコメントされるが、日本が国としてその国籍(船籍)が置かれている国に実際に文句を言うまでには至らない。 

そのヒトがその国籍の国と実際どれくらい関係があるかわからないし、そもそも日本はそういう細かい事を「外交上のツールにしよう」などという狭い了見を持たない「大人の成熟国」だからだ。

一方、日本ほど大人に成りきれていない他国だと、それなりに問題になったりもする。

カンボジア船籍の漁船がヨーロッパの国際水域で違法に漁業をしていたのが発覚した時のこと;
欧州委員会:
 「悪さするカンボジアの水産物は輸入禁止する!」(威嚇)。
カンボジア:
 「いやそれは韓国の船ですから、悪いのは韓国でしょ!」(反論)。
韓国 :
 「国際ルールを遵守するのは船主の義務!」(??)。 

韓国がいう「船主」とは形式上(名義上)の所有者であるカンボジア人。 そもそも船に乗ってもいない、どころかその船がどこで何してるかすら、きっと知らない人のはずだ。

ただの名義人であるカンボジア人に、遠いヨーロッパ海上でのルール遵守責任をムチャ振りする韓国もさすがだが、カンボジア人も「名義を貸すって事には、こういうリスクも伴うのだよ」という事を学ぶべき、とも思えばいい教訓にもなる事件か。

ともあれ日本では、そんな国際紛争的な香りもする大事っぽい話には到底いたらず、今まで通り「北の漁場で『カンボジア船籍』の船がやらかしました」という報道が淡々と流され、それを目にした(耳にした)日本人は「カンボジアから悪い船が来てるのか。。」と一瞬眉をしかめ、すぐまた忘れ去ってくれるだろう。