2016/02/13

中国がコケたら皆コケる?:我らがカンボジアへの影響について愚考

気がついたら前回投稿から1ヶ月が経過していて、今年もう2月半ばが近づいている。

ブログ投稿する間もなく(・・いや、時間はあったはずなんだけれど、このブログ含め仕事外の作業になかなか気を回せず、、)カンボジアで気忙しくしているうちに、前回ブログアップからあっという間に1ヶ月が流れ、為替やら株価やらも何だかエラい事になっている。

よくニュースで話題に上るアメリカの金利も、リーマンショック後の2008年12月に実質ゼロに引き下げた後、昨年の2015年12月に9年ぶりに利上げしたばかりだが、今年に入って追加利上げには結構慎重になってきてる模様。

なお、ここで言う「アメリカの金利」とは、アメリカ国民生活に直接関係ある預金金利ではなく、連邦準備制度委員会(FRB)と呼ばれる御上の機関が世の中の景気誘導のために操作する政策金利の事だ(一般国民生活とは直接関わりがない数値)。

細かい話は省くけれど、要は「アメリカの判断で、世界の景気が悪い時は下げて、良くなってきたら上げる数値」である。  下げると世の中のお金回りは良くなり、上げるとお金回りにブレーキがかかる。 アメリカは世界の覇権国なだけに、その上げ下げ(もしくは「上げるぞ or 下げるぞ」という発信)だけで、実際に世の中のお金の動きがけっこう変わってくるのだ。 
ニュースに良く出てくる「アメリカの利上げ・利下げ」については、これだけ分かっていれば内容理解にはほぼ事足りる(と思う)。


リーマンショックがあった2008年以降、世の中の景気はすごく悪くなったから、アメリカはこの金利を下げられるだけ下げて(実質ゼロに)、9年たった去年2015年末に世の中の景気が少し良くなって来た感が出たから(主にアメリカの景気が良くなったから)、ようやくその金利を少し引き上げた。 
去年末の段階では「(2016年も)更に追加で引き上げていきたい」というな意向を明示していた。

で、今年に入ってからのアメリカの言い分は一転して「アメリカの景気は緩やかに回復しているんだけれど、中国経済の不安定さが市場の不安と動揺を招いているから、追加利上げするかどうかは微妙。」、という事に変わったらしい。
(FRB議長が2月10日に発言した内容のざっくりまとめ)


以上、だいたい誰もが知っている経済ニュース話を焼き直しただけの薄い冒頭スタートで恐縮だが、このアメリカを始め世界中が不安視している「中国経済の不安定さ」というのが、我らがカンボジアにどう影響するのか、ちょっと対岸の火事では済まされそうな気配なので、浅知恵ながら自分なりに考えている事をまとめようと思う。


そもそも「中国がヤバくなる」と、周り(諸外国)にどう影響がでるのだろう。 
中国がコケたら世界中がコケる、というようなざっくりしたニュアンスで不安だけが煽られているようにも見えたりするが、皆が総じて中国と一緒にコケる事態になるのだろうか。

為替とか株式とかをグローバルに運用している人達にとっては、中国がコケたら下がる数値と上がる数値がそれぞれあって、その数値を買ってるか・売ってるかによって損得が分かれてくる・・・・のだと思うが、この界隈は小国カンボジアの零細実業主からはとても遠い世界なので、より実業的な商売や現物投資に近い話だけ考えてみる。

中国からみて外国人・外国法人が「中国関連で何か商売か投資やってます」という場合、具体的にどんなお付き合いを中国としているか、をおおまかに分類すると、だいたい以下の4パターンのどれか(複数関与可)に当てはまるはずだ。

1. 中国にモノやサービスを売っている
2. 中国からモノやサービスを買っている
3. 中国に何かの投資している
4. 中国から何かの投資を受けている

上記各々のケースで、中国国内の景気が悪くなってきたらどういう影響が及ぶか、分けて考えてみたい。

1. 中国にモノやサービスを売っている
このケースは確かに苦しくなる可能性が高いように見受けられる。
今までいろんなものを大量に買ってくれていた中国が、中国国内景気の冷え込みのせいである時パタッと以前ほど買わなくなると、中国の爆買い(主に輸入の方)を前提に生産設備や体制に投資していたら、その設備や体制が余剰になってしまう恐れは確かにある。

生産設備等への投資がだいぶ前に済んでいて、すでに中国爆買いで投資回収できてしまっている事業主さん達はまだいいが、投資が最近だったりすると、中国からだけの回収を見込むにはリスクが高くなっていると考える方が妥当だろう。


2. 中国からモノやサービスを買っている
このケースは、むしろ変わらないか、少し状況が良くなる可能性もある・・ような気もする。 
海外輸出を手がける中国の業者であれば、国内景気が冷えきってる現在、海外からの受注に対しより真剣にならざるを得ない(はずだ)し、中国人の離職率も昨年あたりから減って来ている(国内景気が悪いから現職にしがみつく傾向が見られる)という話も聞こえてきたりしている。 

国としてもより多くの外貨獲得に必死だろうから、輸出は引き続き奨励されるはず。 国内景気の悪化のせいで潰れたりしない中国仕入れ先があれば、より良い取引ができるようになる、、かも知れない。


3. 中国に何かの投資している
中国に生産体制(設備や人員)を投資している場合、売り先が中国国内か海外か(上記1か2か)の組み合わせによって変わってくる。 1であれば苦しく、2であれば意外と(人員確保とか)安定する要素も多分にあるように思われる。

一方、不動産とか株式とか金融商品とかへの投資となると、おそらくかなり厳しい状況になる事が想定される。
公共事業・民間事業あわせ、作りすぎた建物や街自体がゴーストタウン化しているという話はよく聞くし、次の4とも絡む話になるが中国からの資金流出がいきなり巨額になっていて、これは投資商品の値崩れに直結する可能性のある事態、と言えるはずだ。


4. 中国から何かの投資を受けている
このケースは、あくまで私見だけれども、実はかなりの恩恵を享受できる立ち位置にいると考えられる。

去年、中国関係のニュースで大きく取りざたされたのが、中国からのキャピタルフライト(資金流出)が急増しているという話。 ざっくりいうと、中国がコケる事を危惧して、中国内にある大量のおカネが中国から外に逃げ出している、という話だ。

中国自身が発表している公的な統計データから見ても、2014年まではほぼ毎年資金流入が続いていた中国だが、2015年は一気に巨額の資金が流出している。 
2015年1月〜9月でいきなり3000億ドル(約34兆円)のマイナス。。


直接投資は減ってない(簡単には減らせない)が、現預金と貸出が一気に流出・・。

国際収支の項目の集計は結構複雑(素人的に分かりづらい内容がいろいろ足し引きされている)なので、この項目名称と数値から直観的に「この金額がキャピタルフライトしている」とまでは言えないはずだけれど、それでも過去10年近くほぼ資金流入となっていた数値が(同じ計算方法で)いきなり巨額の流出に転じているわけだから、大きな流出が実際に起こっていることは間違いないはずだ。

かつ一方で、統計上は現れない、中国ならではの資金流出もある。
昨年中国関連で賑わったニュースの一つに、地下銀行の摘発があった。 要は中国と海外との間で違法送金を行っていた非合法組織の摘発の事で、大きな摘発のニュースが2回ほど流れたが、その各々で違法送金(主に中国から海外への送金)の摘発金額が日本円の単位でなんと「兆」の規模だった(確か去年の4月に7兆円、11月に8兆円)。
摘発されていない流出も考慮すると、果たして総額が何兆円規模になるのか、ちょっと想像がつかない。

で、中国がら公式・非公式に流出してるマネーは、当然どこかの(中国から見た)海外にためておかざるを得ない。 中国人が安心してためておけるどこかの国で、銀行預金や不動産、株式などにその姿を変えているはずだ。



・・また話が長くなってしまって恐縮だが、さて肝心な我らがカンボジアにとってどういう事になるのか、、を考えると、私見としてはカンボジアは上記1〜4のうちの2と4に当てはまると思う。

まずカンボジアは、中国に当然いろいろとモノを売っているけれども、それ以上に中国からいろいろなものを買っている。 以下は日本外務省のサイトから失敬したカンボジア統計数値だが、輸入の40%が中国からとなっている。


輸入の40%は中国から。。


で、中国からカンボジアへの投資額も相当なものである。
2015年の海外からのカンボジア投資規模は46億ドル(約5,340億円)に達する規模だったそうだが、その内訳としてはカンボジア現地資本が32億ドル(約3,712億円)、中国資本が8.6億ドル(約1,000億円)、英国資本が1.4億ドル(163億円、、意外w)と、中国が3位を大きく引き離して2位。

かつ、この現地資本32億ドルというのも、カンボジアの土地や不動産を投資するにあたって、外国人がカンボジア国籍を買ったりカンボジア法人(持ち分の過半がカンボジア人名義)を設立したり、というのは日常茶飯事なので、その多くは実態としては海外資本と考えられる。で、きっとそこでも中国が筆頭である、たぶん(私見)。

2015年、カンボジア進出がますます盛んになってきた日系企業の現地法人登記数は250社(過去最高)になったが、一方の中国系企業はこの数年毎年1,000社以上が現地法人登記されている。 商業省(Ministry of Commerce)に登記されている法人の数は3万社とも言われるが、そのうちほぼ1万社は中国系企業だそうである。

カンボジアは東南アジア諸国の中でも特に中国と仲が良く、かつ米ドルで実物投資が実行できる強烈な魅力がある国である。 リッチな中国人が自分の資産をフライトさせる先として、当然有力な候補にあがる事は間違いない・・と思う。


・・・ということで、カンボジアは1〜4のカテゴリーのうち、2と4に当てはまる。
その2と4は、中国がコケる流れの中で、実は意外と恩恵を享受できる立ち位置である(私見)。 ということは、カンボジアにとってはむしろチャンスが到来してきているんではなかろうか・・(どれだけ続くかどうかは分からないけれど)、というのが筆者愚考のまとめである。

・・・まあ、カンボジアびいきのお気楽な楽観愚考としてご笑読くださいませ。 まいどホント長くてすみません、おつきあい頂き感謝です。 <(_ _;)>

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