2015/08/09

もし警官の給料が罰金歩合制になったら?:カンボジアでは来年から。。

異常猛暑な日本から一転、すっかり快適なカンボジアの気候にすっかり馴染んだ今日この頃。

とはいえ本格雨期に突入しているので、夕方あたりにザッと来るスコールのせいでうっかり道路が一時的に激流の河のようになったりするが、たった数分間の都バス待ち時間の間だけで命の危険を感じてしまうあの東京の炎天下に比べれば、まあ十二分に許容範囲内の出来事である。 やはり涼しいのはいい事だ。

さて思考力も奪われる事のない快適なカンボジアの気候の中で、日本滞在中のように氾濫する情報強制流入byマスメディアに惑わされることなく、改めてカンボジアに関する最近の時事情報などを眺めてみると、やはりいろいろと気になる事が起っているようである。


今回何となく気に留まった時事ネタは、来年2016年頭から実施される「交通違反の罰金の70%が正式に警察官の懐に入りますよ」という新制度。

現地報道紙プノンペンポストにも「Traffic cops personally pocket 70% of the fines they give out・・・」と書いてあるから、まあ「懐に入ります」というニュアンスで下々に伝わっている事は間違いないと思われる。

ちなみに残りの30%については、25%が管轄警察署の備品・消耗品予算に組み込まれ、5%が経済財政省への上納金、とご丁寧にアガリの配分先までリリースされている。


プノンペン市内の目抜き通り(モニボン通り)にはほぼ全ての交差点の角(信号を超えた側)に警察官が潜んでいる配置されている。 
まさに路上の釣り人(Fisherman on the road)。


更にちなみに遡る事2014年頭から、カンボジア税務総局は税務調査により発覚・徴収した追徴課税・重加算税等の課徴金の10%を担当税務調査官に「インセンティブ」として配分していると公式に発表している。 現地報道を見る限り、これも完全な歩合制である。

国家権力を象徴する2大強制執行機関といっても過言ではない、集金装置としての徴税機関と暴力装置としての警察機関。 
その権力を背景に国民・住民に対して物理的強制執行手段を持つ役職員が、その権力行使の結果(による違反の摘発)に応じた成功(?)報酬を受け取る制度。 

強制的に徴収された課徴金・罰金が直接的に公務員の歩合制給料原資として配分される、、という公式制度は、もしかしたら世界で他に類を見ないのではないだろうか?

ほんの少しググってみたが、似たような制度の情報はネット上では見受けられなかった(調査不足だったらすみません)。


いつどう計ったのかわからないスピード違反で罰金とられた際に渡されたレシート。 カンボジアの公的機関から頂いた初めての領収書(的なもの)として記念撮影。 ちなみに金額は10,000クメールリエル(≒ 2.5米ドル ≒ 312円)
両面ともに記念撮影。 さっぱり読めないが、スピード違反の行にチェックマークされているらしい。


当然日本でも、警察官の人事評価には犯罪や違反の検挙率が反映されるし、税務調査官の昇進には増差(税務調査で見つかった申告漏れ所得)実績の大きさが大きく影響するとも言われる。

が、これはあくまで犯罪や違反を摘発した実績が間接的に人事に反映されるだけであって、その実績が直接給料に歩合的に反映されるわけではない(はずだ)。

自国の証券取引所の基本取引通貨を外貨(米ドル)にしてみようとしたり、など意外と大胆かつ壮大な社会実験をあっさり敢行してしまうクセがある我らが小国カンボジアだが、今回のこの制度も実はその類に属するものと捉えられても不思議じゃない話なんじゃないだろうか。。。 
(実はこの歩合制公務員給与の方式を既に取り入れている国は結構あります、、という事実があれば、ぜひ教えてくださいませ <(_ _;)>)


まあ制度自体の是非はさておき、実際の運用にあたってこの新制度に果たして実効性があるのかどうか、、は、担当役職員が従来慣行と新制度の各々に基づいて強制徴収した課徴金・罰金を処理した場合の(本人の懐に入る)収入期待値の比較検討次第かと考えられる。

絶賛発展中の後進開発途上国カンボジアでは従来、税務調査官であろうが交通警察官であろうが、税務調査や交通取り締まりで カタギ 違反者から 召し上げた 徴収した 見かじめ料 課徴金・罰金を、ほぼ100%自らの懐に入れていた(当然、仲間内の配分やボスへの上納分も含めて)、はずだ。

その状況に対し、新たなルールとして課徴金・罰金を正規に国庫に納めたらその一部(税務署は10%、交通警察は70%)を正規報酬として各担当役職員にキックバックします、とのお達しが御上からあった。

後ろめたいけど100%ゲット(ただし配分あり) or 公明正大に10%-70%ゲット。 さて彼らはどちらを採るだろう。


現地報道紙プノンペンポストより拝借した生々しい「路上の釣り」ヒットの瞬間 交通違反取り締まり現場。
取り立てたシノギ 罰金をさあどうする?


まあそういうルールができた以上、ある程度の シノギ、いや釣果、いや業績は御上に報告しないといけないだろうし、懐に入る金額の単純比較だけで決めるわけには行かないだろうが、まあ取り立てた分を報告用・非報告用に適当に配分していく感じになるんだろうか。。

さすがに御上もその実態をある程度把握しているから、かどうかわからないが、今回の交通警察の新ルールには、上記に加えてさらに困った制度改正を織り込んでくるつもりらしい、、というのが実は現地報道紙で一番気になったところである。

先ほど引用した「Traffic cops personally pocket 70% of the fines they give out・・・」には文章の続きがある。 全文を以下コピペすると;

「Traffic cops personally pocket 70% of the fines they give out from January 2016 onwards, when the country's new traffic law is implemented and penalties will rise five-fold.

地元で運転するカタギの身として最も気になるのはこの rise five-foldである。 日本出身だとあまり馴染みのない英語の言い回しだが、筆者のつたない英語力だと、どうも罰金が5倍になる、としか読めない。

親分から子分に対する「見かじめ料を5倍にしてやるから、取り分70%でも元々の3.5倍だろ」という理屈なのかどうかは定かではないが、、、何にせよ来年から諸々5倍になりそうは気配だけは漂っている。。。

居心地良かったカンボジアがますます世知辛くなっていく、、途上国の発展のとある一側面には違いない。

なお、筆者はカンボジアの自動車免許を正式に取得しているので、気をつけるべきはスピード違反、標識違反、シートベルト付け忘れ、ライト等の整備不良、飲酒運転、交通事故、くらいのはずであるw

と、そういえばそろそろ免許更新しないと。 毎年更新にも関わらずまた1.5ヶ月くらいかかるのだろうか。。1年間のうち1.5ヶ月免許が手元にない、という状況もこれまた改善してほしいプチストレス要因であるinカンボジア (==#)



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