2014/11/25

カンボジア人雇用の難しさ(?)について、たまに聞かれる事とよく答える事

カンボジア首都プノンペンではIT事業とクリエイティブ関連事業(主に広告・デザイン)、地方拠点のバッタンバンでは農業事業(耕作、農機販売等)、双方拠点にまたがるものとして物流事業・金融事業、等々を手がけていたら、気がついたら所帯がそこそこ大きくなっていた。



プノンペン本社とバッタンバン支社、合わせてカンボジア人スタッフが五十数名。

ちなみに日本人従業員はゼロ。 
関与している日本人は株主兼経営陣(筆者含む)か、専属業務委託形式のプロフェッショナル(1名)、と修行僧的なインターン生(1名、来年から2名予定)のみである。

他社様の事はよくわからないが、弊社の特色(と言えるのかどうかも分からないが)としては、ほぼ全てのカンボジア人スタッフにそれなりの裁量を任せている。 要は給料が高めである。 あくまで工場系、飲食系、現場建設業系等との対比した場合の話だが。



あまり普段、第三者と仕事の話はしないが、カンボジア関連の懇意な経営者系知人と話していたり、ごくたまに相談を受けたりするとき、よく聞かれるのはカンボジア人スタッフの管理の話。

要は「そこそこ賢いヤツに裁量(≒予算)を与えるとチョロまかされたりゴマかされたりしないか?」という類。 




どの経営者も、いつか現場を出来るカンボジア人に任せたいと思いつつ、そのモラルハザードのリスクがなかなか払拭できずに現場を離れられずにいる、という。

カンボジア(や後進東南アジア諸国)で事業を始めて比較的まだ日が浅い方々から頂く質問に多い。 ので、一朝一夕では構築できない対策をお伝えしても即効性がない。





その類の日が浅い系(かつ小規模系、かつカンボジア人にいつか任せたい系)の方々に、短時間で即効性ある(かもしれない)お答えとしてお話させて頂く内容は、まあTPOに合わせ多少のアレンジはあるものの、骨子はだいたい以下である。

1.
日本人なら絶対にしないチョロマカシやゴマカシをカンボジア人は平気でする、というのは幻想ですよ。 そのせいで日本よりカンボジアの方が管理が大変、というのも幻想、というか幻想を根拠にした言い訳です。

2.
一定のチョロマカしやゴマカシは不可避として、ある程度「抜かれる」事を前提に、うまく回り始めたらその「抜かれ損失」を差引いても十分うまみ(≒利益)が出る、くらいの利幅が見込めるビジネス以外しない方がいいですよ。

ちなみに上記1と2はセットメニューである。



どんな感じな話か、お話口調的に噛み砕くと;
ーーーーーー
1.について
たとえば日本の(そこそこ中堅か大手の)企業に勤めていて、数泊の出張がある場合、多くの企業では各地方の相場にあわせて一泊の出張手当を定額で決めていたりしますね。
仮払いでその出張予算を受け取り、その定額予算より安いビジネスホテル(最近だと24h漫画喫茶など)で宿泊して「ホテル差益」を享受したりする。

たとえば特に必須な接待でもないが、何らか理由をつけて営業先を招いて普通の飲み食いをして、会議費・交際費などの名目で会社から清算してもらう。

バブル華やかなりし時代に比べて控えめにはなったかも知れないが、一定の業者選定をできる立場にいる責任者が、選定した業者からあからさまにキックバックをもらう。
会社には、金額を膨らませた請求書を業者に用意させて報告。

一定の事業者への銀行融資に口添えした偉い人が、融資を受けた事業者からあからさまに謝礼をもらう。

この類の話、昔も今も、日本全国津々浦々で日常茶飯事的に発生している事実ですよ。 カンボジア人スタッフに苦労しているという方の話と、内容的にカブるでしょ?

勤め人の意識なんてそんなもんです。 当然「そんな恥知らずな所業はしようと思った事すらない」という清廉潔白なニッポンのサラリーマンも存在するし、一方で少なからず心当たりがあるその他大勢の方々も存在するでしょう。

清廉潔白系:その他大勢、の人数比率ですが、おそらく日本とカンボジア間で大差はないです。 




2.について
日本人サラリーマンでも(上記1で述べた)それくらいの事は、「そこそこの企業に勤めている正社員の既得権益でしょ」的な発想で当たり前のようにやらかしていて、それでもその不届きサラリーマンを多数抱えているそこそこの企業はしっかり生き延びていたりします。

とすれば、カンボジアでも同じ発想で取り組まざるを得ない、ということですね。
そもそも基本給料は日本人サラリーマンより格段に低いわけだし、やりようはいくらでもあるはず。

たとえば、カンボジア人スタッフが(給与以外の所で)抜きまくったとして全体コストが15%増えたら営業利益が吹っ飛ぶ、というような事業プランなら練り直した方がいいです。

日本人を雇って現場監督に置けば、という発想もよく耳にしますが、(1で述べたように)日本人サラリーマンとカンボジア人スタッフの間のモラルに大差はないし、いざ抜く場合は日本人がやる場合の方が額が大きいですよ、私が存じ上げている事例の限りでは。



ーーーーーー

暴論のように聞こえるかもしれないが、、、暴論かw

まあ、とはいえ「当初はそういう発想で臨んだ方が不測のダメージが少なくて済む」と思うので、即効性ある予防薬(事前の痛み止め?w)的にいいかな、と思い確信犯的に暴論をお届けしている。


ちなみに現在、弊社の管理職クラス(≒残業代がつかないクラス)のカンボジア人が裁量で動かす金額規模は、だいたい上限で3万ドル/件くらい。 申請から支払いまで一任されている。 当然、全員ではないけれど。

6年前の起業当初からずっと七転び八起きだったが(今もだが)、この2年ほどはモラルハザード発現により被った想定外の損失被害額はほぼ皆無、もしくは愚鈍な筆者が全く気がついていない(もしくは耐性ができて気がつかなくなった)、かいずれかである。

カンボジアで生き抜く経営者ための鈍感力、というタイトルの方がよかったかも今回のブログw

これから同じような事を聞かれたら、本稿をご紹介するのもありか、、近いうちにもう誰からも相談されないようになるかも知れないけれどw




・・・なお、一朝一夕では構築するのは難しいが、それなりの対策も合わせて練っておく事が肝要であることは言うまでもない。 

「孫子」十三編の最後を飾る「用間」。 郷間・内間・反間・死間・生間、の五間の活用を説いているが、肝となる「之を知るは必ず反間に在り」。 敵陣の設定をどこにおくか、常に敵国や競合他社とは限らない。 「人に取りて」いろいろと図る必要がある事業についてであれば、状況に合わせて柔軟に解釈・活用できる、シンプルにして卓見の古典である。 睡眠薬代わりに読みやすい解説本あたりを枕元に置くのもいいかもしれない。

最後何か論旨が逸れた、、御放念をw 




0 件のコメント:

コメントを投稿